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【社説】

政府予算方針 露骨な地方選対策だ

 政府が決めた来年度予算編成方針は、地方活性化を名目に来春の統一地方選を意識した「地方バラマキ予算」の様相だ。「選挙で勝てば何でもできる」という政権運営がいつまでも許されるのか。

 安倍政権が来年度の予算編成で柱としたのは、予想された統一地方選対策である。各省庁が予算要求する際のルールとなる概算要求基準で、人件費などの義務的経費は本年度予算と同額以下にしたが、地方活性化や成長戦略に関して四兆円もの特別枠「新しい日本のための優先課題推進枠」を設けたのである。

 各省庁は、旧来型の公共事業だろうが「地方活性化」にこじつければ本年度より17%増まで政策経費を要求できる。これではメリハリも財政規律もなく、地方バラマキがまかり通るであろう。

 安倍晋三首相は先月下旬に決めた新成長戦略で「成長戦略の最大の柱は、何といっても地方の活性化だ。成長の主役は地方」と突如として言いだし、政府も「ローカル・アベノミクス」という珍妙な造語を使いだした。統一地方選を多分に意識した「まち・ひと・しごと創生本部」という新組織の設置まで決めた。

 もちろん景気回復を全国津々浦々に行き渡らせたいとの考えは否定しない。人口減や高齢化の波に洗われる地方の立て直しは喫緊の課題である。

 しかし、肝心の新成長戦略に散見される地方再生策は具体性に乏しい建前論ばかりではないか。地方が求めてきた税財源の移譲には応えず、むしろ財政健全化を盾に地方側に自助努力を頼む冷淡な対応であった。都合のいい時だけ「地方重視」の声を上げて予算をばらまくのであれば、「金目発言」で陳謝した環境相のように最後はカネだといわんばかりの傲慢(ごうまん)さを感じる。

 なぜ一年前の成長戦略では「地方が主役」と言わずに、統一地方選の年の予算編成になって急に地方が主役に躍り出るのか。有権者、納税者、そして主権者である国民をばかにするにも程がある。 

 政府は財政健全化の指標である基礎的財政収支の見通しについて「来年十月に消費税率を10%に引き上げたとしても、二〇二〇年度に黒字化する目標の達成は困難」との試算を示した。

 だからといって消費税率の再引き上げを当然視するのはお門違いだ。それは、むしろ選挙対策のバラマキをする余裕などないと受け止めるべきなのである。

 

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