B級……それが金融市場における今の流行です。
例えば新規株式公開(IPO)。
今カレンダーに上っているIPO案件を見ると、「あっ!」と驚くことがあります。
それは夏休み期間中にもかかわらず案件数が多いということに加えて、驚くほど劣悪な案件を、これまた驚くほどお粗末な幹事団が、スンバラシイ勢いでもって大量捏造中(笑)ということです。
オーリス・メディカル: ジェフリーズ、リーリンク・パートナーズ
アバランチ・バイオ: ジェフリーズ、カウエン、パイパー
バイオブラスト: オッペンハイマー、ロス・キャピタル
キャプニア: マキシム・グループ、ナショナル・セキュリティーズ、ドーソン・ジェームズ
ヘルス・エクイティー: JPモルガン、ウエルズファーゴ
ランセウス・ホールディングス: シティ、ジェフリーズ
ロクソ・オンコロジー: カウエン、スタイフェル
マクロキュアー: クレディスイス、ジェフリーズ
マリナス・ファーマ: スタイフェル、JMP
シルヴァ: モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス、JPモルガン
スパーク・エナジー: ベアード、スタイフェル
シンクロニー・フィナンシャル: ゴールドマン・サックス、JPモルガン
トビラ・セラピューティック: BMO、JMP
トランスオーシャン・パートナーズ: モルガン・スタンレー、バークレイズ
VTTIエナジー: シティ、JPモルガン
ウエストレイク・ケミカルズ: バークレイズ、シティ
ゾサノ・ファーマ: ウェドブッシュ、ラデンバーグ、ロス
上は現在、ロードショウに出ている案件のサンプルですが、太字は、いわゆるバルジ・ブラケットと呼ばれる大手証券です。大手証券が持って回っている案件が少なく、名前を聞いたことすらないような泡沫証券の案件が目白押しです。
劣悪な案件は市場環境がすこぶる良く、投資家のガードが緩んでいるときをめがけて「えいやあ!」とドサクサまぎれに売り捌く……これが引受業者の鉄則です。なぜなら市場環境が厳しいときには投資家の詮索する目も厳しいので、堅い、優良な案件しか値決めまで持ち込めないからです。
だから「IPOはウインドウが開いた最初のディールを買え!」というのが、プロの間での鉄則になっています。
さて、B級の案件はIPOに限らず、M&Aでも盛んになっています。特に最近人気になっているのは「アイルランド籍の小さな会社を買収し、会社登記をアメリカからアイルランドに移すことで、同国の低い税率の恩恵を受ける」という、姑息きわまりないディールです。
例えば新規株式公開(IPO)。
今カレンダーに上っているIPO案件を見ると、「あっ!」と驚くことがあります。
それは夏休み期間中にもかかわらず案件数が多いということに加えて、驚くほど劣悪な案件を、これまた驚くほどお粗末な幹事団が、スンバラシイ勢いでもって大量捏造中(笑)ということです。
オーリス・メディカル: ジェフリーズ、リーリンク・パートナーズ
アバランチ・バイオ: ジェフリーズ、カウエン、パイパー
バイオブラスト: オッペンハイマー、ロス・キャピタル
キャプニア: マキシム・グループ、ナショナル・セキュリティーズ、ドーソン・ジェームズ
ヘルス・エクイティー: JPモルガン、ウエルズファーゴ
ランセウス・ホールディングス: シティ、ジェフリーズ
ロクソ・オンコロジー: カウエン、スタイフェル
マクロキュアー: クレディスイス、ジェフリーズ
マリナス・ファーマ: スタイフェル、JMP
シルヴァ: モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス、JPモルガン
スパーク・エナジー: ベアード、スタイフェル
シンクロニー・フィナンシャル: ゴールドマン・サックス、JPモルガン
トビラ・セラピューティック: BMO、JMP
トランスオーシャン・パートナーズ: モルガン・スタンレー、バークレイズ
VTTIエナジー: シティ、JPモルガン
ウエストレイク・ケミカルズ: バークレイズ、シティ
ゾサノ・ファーマ: ウェドブッシュ、ラデンバーグ、ロス
上は現在、ロードショウに出ている案件のサンプルですが、太字は、いわゆるバルジ・ブラケットと呼ばれる大手証券です。大手証券が持って回っている案件が少なく、名前を聞いたことすらないような泡沫証券の案件が目白押しです。
劣悪な案件は市場環境がすこぶる良く、投資家のガードが緩んでいるときをめがけて「えいやあ!」とドサクサまぎれに売り捌く……これが引受業者の鉄則です。なぜなら市場環境が厳しいときには投資家の詮索する目も厳しいので、堅い、優良な案件しか値決めまで持ち込めないからです。
だから「IPOはウインドウが開いた最初のディールを買え!」というのが、プロの間での鉄則になっています。
さて、B級の案件はIPOに限らず、M&Aでも盛んになっています。特に最近人気になっているのは「アイルランド籍の小さな会社を買収し、会社登記をアメリカからアイルランドに移すことで、同国の低い税率の恩恵を受ける」という、姑息きわまりないディールです。
こういう「下の下」がやるような財務ギミックを、医療機器最大手のメドトロニックのような企業が恥知らずにも平気でやる……
2000年のドットコム・バブル崩壊以降、リーマンショックなどの危機に際しても、アメリカ経済にとってひとつの救いだったのは、少なくとも企業のバランスシートに関する限り、極めて健全だったということがあります。
でも5年以上に渡るFRBのゼロ金利政策で、「わざと借金をこしらえない経営者は、愚鈍」という根性が、経営者の間に、しっかり染み付いてしまいました。これはバーナンキ前FRB議長と、イエレン議長の功罪。
さらに最近、新聞紙上を賑わしているのが、信用の低い劣悪な借り手を狙い撃ちした、サブプライム・オートローンです。貧困層に、アクセサリーやオプションを満載したクルマを売りつけ、クレジットカード金利も顔負けの金利を請求することが流行っているわけです。
このような調子に乗った金融取引が跋扈する原因は、そもそもFRBがゼロ金利政策を「とうぶんの間続ける」と宣言していることによってもたらされた現象です。
その意味で、今週水曜日のGDPの発表は興味深いです。今回は第2四半期のGDPが発表されますが、コンセンサス予想は+2.9%になっています。因みに第1四半期は-2.9%という、信じられないほど悪い数字でした。
なお、今回は過去3年に遡って過去のGDPの見直しが行われ、改訂されます。従って、第1四半期の-2.9%が「蜃気楼」に終わる可能性も無いとは言えないのです。
同じく今週は連邦公開市場委員会がありますが、FRBは、そろそろ「テーパー後の市場との対話」を考えなければいけない時期に来ています。なぜなら現在のFRBのステートメントは「資産購入プログラムが終了した後も、当分の間、フェデラル・ファンズ・レートは現在の水準を維持することが適当だと考えている」という言い回しになっているからです。
10月には債券買い入れプログラムが終了するので、上の表現のうち「資産購入プログラムが終了した後も……」という部分は自動的に欠落することが決まっているわけです。
すると「当分の間」という表現だけが残り、これが独り歩きしはじめることをFRBは心配しなければいけません。何か別の方法で、市場参加者の期待をアンカーする必要があるのです。
さらにFRBの在庫になっている4.1兆ドルの債券類を、どのような方法で圧縮してゆくのかの基本方針も決めないといけません。
つまり今週の展開如何によっては、FRB周辺が俄かに忙しくなるシナリオも無いとは言えないのです。
(文責:広瀬隆雄、Editor in Chief、Market Hack)
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相場のこまごまとした材料のアップデートはMarket HackのFacebookページの方で行って行きたいと考えています。
2000年のドットコム・バブル崩壊以降、リーマンショックなどの危機に際しても、アメリカ経済にとってひとつの救いだったのは、少なくとも企業のバランスシートに関する限り、極めて健全だったということがあります。
でも5年以上に渡るFRBのゼロ金利政策で、「わざと借金をこしらえない経営者は、愚鈍」という根性が、経営者の間に、しっかり染み付いてしまいました。これはバーナンキ前FRB議長と、イエレン議長の功罪。
さらに最近、新聞紙上を賑わしているのが、信用の低い劣悪な借り手を狙い撃ちした、サブプライム・オートローンです。貧困層に、アクセサリーやオプションを満載したクルマを売りつけ、クレジットカード金利も顔負けの金利を請求することが流行っているわけです。
このような調子に乗った金融取引が跋扈する原因は、そもそもFRBがゼロ金利政策を「とうぶんの間続ける」と宣言していることによってもたらされた現象です。
その意味で、今週水曜日のGDPの発表は興味深いです。今回は第2四半期のGDPが発表されますが、コンセンサス予想は+2.9%になっています。因みに第1四半期は-2.9%という、信じられないほど悪い数字でした。
なお、今回は過去3年に遡って過去のGDPの見直しが行われ、改訂されます。従って、第1四半期の-2.9%が「蜃気楼」に終わる可能性も無いとは言えないのです。
同じく今週は連邦公開市場委員会がありますが、FRBは、そろそろ「テーパー後の市場との対話」を考えなければいけない時期に来ています。なぜなら現在のFRBのステートメントは「資産購入プログラムが終了した後も、当分の間、フェデラル・ファンズ・レートは現在の水準を維持することが適当だと考えている」という言い回しになっているからです。
10月には債券買い入れプログラムが終了するので、上の表現のうち「資産購入プログラムが終了した後も……」という部分は自動的に欠落することが決まっているわけです。
すると「当分の間」という表現だけが残り、これが独り歩きしはじめることをFRBは心配しなければいけません。何か別の方法で、市場参加者の期待をアンカーする必要があるのです。
さらにFRBの在庫になっている4.1兆ドルの債券類を、どのような方法で圧縮してゆくのかの基本方針も決めないといけません。
つまり今週の展開如何によっては、FRB周辺が俄かに忙しくなるシナリオも無いとは言えないのです。
(文責:広瀬隆雄、Editor in Chief、Market Hack)
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