ホームページはこちらです。→瀬名秀明の博物館
瀬名秀明のプロフィール最新版 *Researchmap
瀬名秀明の本棚β *著作一覧はこちら
webほんのしるべ編集部+瀬名秀明「文系人間のための〈科学本棚〉」

2014年06月14日

モンテカルロ国際テレビ祭

 知人であるNHKプロデューサー・篠原圭(しのはらけい)さんの制作したドラマ作品、『東京が戦場になった日』が、第54回モンテカルロ国際テレビ祭でテレビジョン・フィルム部門の最終6作品に残り(英語タイトルはBattlefield Tokyo)、特別賞としてモナコ赤十字賞を受賞されました。赤十字の精神を少なくともひとつ表現しているフィクション作品に贈られるのだそうです。おめでとうございます!

 映画祭トップページに次々と登場する受賞者の写真を、ずっと横にクリックしてゆくと、篠原さんが出てきますよ。

 →候補作一覧PDFはこちら。
 →結果発表のリリースPDFはこちら

 ドラマ『東京が戦場になった日』は、8月ころにまた再放送されるそうです。 →制作当時のドラマスタッフブログはこちら。

 そのほか、篠原圭さんが制作統括し、昨年の東京国際映画祭で上映された8Kドラマ『コーラス』についてはこちら
posted by 瀬名秀明 at 00:21| ちょっとしたお知らせ | 更新情報をチェックする

2014年06月02日

近況

 昨日は芸能山城組の『群芸 鳴神』を観るため、なかのZEROホールへ。会場には人工知能関係の偉い人のお顔もちらほら。『鳴神』は今回でいったん終了とのこと。山城先生にご挨拶して日帰り。
 ほぼ10ヵ月ぶりに短編を書いた! 「なつこん」の書き下ろしアンソロジー用。といっても気がついたら97枚になっていました……。これじゃ短編じゃなくて中編だよ。以前、SFWJ50用で『SF JACK』というアンソロジーに、「よし、SFとタイトルにも謳うのだから、これぞSFというものを書いてやれ」と思って、気合いを入れて「不死の市」なる短編を書いたら、SFファンの人たちにさえ「難しすぎてよくわからない」といわれたので反省し、今回はあえて2、3行読み飛ばしてもわかるくらいの文体で書いてみたのだけど、どうだろう。まだ反応をいただいていないのでわからない。どきどき。
 『スペース☆ダンディ』のイベントの抽選が当たっていた! すごい! 本当は7月のDJナイトにも興味があったのだけれど、「なつこん」当日朝までのオールナイトイベントだから行けない。だからもうひとつの方に応募したのだ。

 本日午前は病院へ。「その後どうですか」で始まる、いわゆる5分間診療というやつだけれど、「8割方はよくなってきたと思います」と伝える。最後に「前と比べて自分が変わったなと思うところはありますか」と訊かれて、不意にいろんなことが頭を過ぎり、言葉につかえてしまった。たぶん医師はこういうことを聞きたかったわけではないと思うが、こんなふうに答えた。
「こちらから周囲に病気のことを伝えたので、環境は一年前と大きく変わりました。ほとんどの人は、私を避けるようになったと思います。仕事量は半分に減りました。いまはほとんど人から連絡が来ることはありません。たぶん以前の知り合いたちは、飲み屋でいまも私の悪口を言って嘲笑っているでしょう。そうした雰囲気の一端は実際に(ウェブ等で)見かけることもありますが、気にしないようにしています。仕事上の問題で本当に怒らなければならないときは、病気と関係なく怒りますが」
 口に出してはいわなかったが、こうつけ加えることもできたと思う。
「飲み屋で人の悪口や噂話を言って憂さ晴らしをすること。それが私のいる業界の特徴なので、仕方がないのです。まだいまも、新しい仕事に取りかかるときは、少し労力が要ります。以前のように3食自分で楽しみながら料理できるようになったら、たぶんそれが全快したときだと思います」

 去年から今年にかけては、小説公募新人賞にも関わったので、その入選者や受賞者とメールでやりとりする機会がここ数ヵ月あった。「感謝しています」とか「大恩ある先生に……」などといったお言葉を頂戴することもあるけれど、受賞・入選した方々が、ご自身の実力を存分に発揮し、今後もたくさん活躍してくだされば、私はそれだけで本当に嬉しいのだから、こちらのことは気にしていただかなくて大丈夫。かえって受賞者・入選者の方々に苦しい思いをさせてしまったかもしれない。むしろ私のことなどもう忘れて、新しい編集者や出版社との出会いをどんどんつくっていってくれればと願っている。もちろん最初は紹介したりもするけれど、やはりいちばん大切なのはその人自身の作品が持つ実力なのだから。
 SF業界の一部では、ふしぎなことにこうして編集者や出版社を紹介してもらうことにすごく恩義を感じる人がいるようで、ずっとその恩義を引きずって人間関係が構築される。書評してもらったり、エッセイで名前を挙げてもらったりすることで、必要以上に感謝する人もいるようだ。
 これは逆にいえば、自分が少し偉い立場になったら、知り合いの出版社を紹介してやることで、一生その相手を自分の手下・舎弟・奴隷・傀儡として使えてしまうことを意味しているんじゃないかな。たとえば平凡社・作品社・彩流社・図書新聞、このへんを紹介すればいいのかしら。ああ、こう書くと、これが悪口になる?? でもそうしている人も実際「誰それはおれの舎弟だ」「(自分が推薦する)○○さんの入会に反対する人がいたら、おれが弾圧してやる」「瀬名くんにはそろそろ本当の帝王学を学んでもらいたい」とか平気で人前で口にしていたのだから悪口ではないね。
 こんな話を帰省のときにつらつら父と話していたら「少なくとも自分のいる自然科学の分野ではありえないな」といっていた。
 私もそういう人間関係はよくわからない。書評だって、ふだんはあえて自分のよく知らない人の本を選んでいる。知り合いの人の本を誉めるときは、本当にそれが相手にとってエポックとなるような傑作のときだ。
 そんなよくわからない関係は抜きにして、本当に原稿の善し悪しで、編集者と自分の間で信頼関係が築けるようになればいい。というわけで私はいまも図書新聞にはときどき書いている。
 ここ一年で読ませていただいた新人の皆様の受賞作・入選作は、どれも私にとって本当に面白かった。きっとどこかで、彼らの単行本が出たら、まっさきに買うと思う。読んで面白かったらどこかの書評で誉めることもあると思う。でもそれは恩義云々とか、知り合いだからとか、そういうことじゃないのだという単純な話を、ここでは伝えたかっただけだ。
posted by 瀬名秀明 at 21:03| 読んで書く、書いて読む | 更新情報をチェックする

2014年05月30日

日経「星新一賞」の件(最後に)

 さて第2回日経「星新一賞」の応募要項が発表されました。ですが応募しようかどうか迷っている方は、以下の点によくご注意いただきたく思います。

・第1回における「入選作」に相当するものがなくなった。第1回のときは一般部門で受賞作4編と入選作6編あわせて10編、ジュニア部門で受賞作1編と入選作9編あわせて10編がそれぞれ選ばれ、これら20編が入賞として扱われたわけだが、今回はグランプリ、準グランプリ、優秀賞だけになっている(代わりにジュニア部門で準グランプリと優秀賞が増えた)。第1回で一般部門入選作の扱いがあまりにひどくてクレームがついたためと思われる。

・注意事項欄において「※ 審査結果の通知に関しましては、受賞作の発表をもってかえさせていただきます。」とあることに注意。つまり受賞作を最後に発表するだけで、第1回と同様に最終選考に至るまでの選考経過はいっさい公表しないということだ。
 これにはねじれた理由がある。日経新聞社のウェブページには海外からのサイバーアタックが多いため、星賞の応募作とそれに関わる応募者の個人情報は、すべて星賞実行委員会と「守秘義務契約」を交わした別会社が一括管理している。それら応募者の個人情報は主催者である日経のごく一部の人しかアクセスできず、星賞実行委員会メンバーですら知ることはできない(だから完全チューリングテスト状態で予備審査から最終審査までがおこなわれており、受賞者決定後も実行委員会はその人の素性を知ることができないのだ!)。
 こういうシステムであるため、建前上は主催者である日経も、星賞実行委員会も、応募者や受賞者に対して直接連絡することはできない。必ずこの管理会社から連絡が行くことになっている。主催者サイドが受賞者のケアに冷たいのは、こうしたシステムに起因するところも大きいと感じる(私は主催者サイドや星賞実行委員会が受賞者にコンタクトを取ることと、日経本社がサイバーアタックから身を守ることは、まったく別の話だと思う。意味がわからない)。
 ということで、完全チューリングテスト状態で審査を進めるから、途中選考経過をウェブ等で発表することが不可能なのだ。ではせめてエントリー番号とタイトルだけでも発表すればいい、と私は提案したのだが、いまのシステムだと自動的にエントリー番号を割り振れないらしい。おそらくそのシステム改善にお金がかかるので、途中経過を発表する手立てがないのである。(タイトルだけだと同じものが複数あるので、それだけでは個別化できない)
 第1回のときは、それでも最終選考に残った人には個別にメールで連絡が行ったらしいが、今回もそうなるかは不明。そのことさえ明記されていないのは主催者サイドの不備としかいいようがない。よって、今回も応募者は、受賞作が発表されるまで、いらいらすることになるだろう。

・注意事項欄に「※ 受賞作は電子書籍として日本経済新聞社より無料で配信される予定です。この電子書籍の配信について印税は支払われません。」と出た。第1回のときと微妙に違うのは、今回主催者サイドが紙の本による受賞作出版の可能性を放棄したと読めることである。よくよくご注意いただきたい。

・「第2回 日経「星新一賞」における追記事項」に、潔く「※ 本賞は、受賞者の次作以降の出版を保証するものではありません。」と明記された。つまりこの賞は今回から、プロの作家や各種クリエイター、ないし科学者としてのステップアップを目指すものではなく、ひと夏の思い出づくり、懸賞小説の類くらいに考えておくのが妥当であろう。

応募にあたっての注意事項|第2回のページに行くと、第1回のときよりも応募者にとって不利な条件が課されたことがわかる。
「受賞作を書籍または電子書籍として利用する権利は、授賞発表の日から3年間、日本経済新聞社に独占的に利用許諾される(※1)ものとします。」「※1 日本経済新聞社は、自ら受賞作を書籍または電子書籍として出版することができ、また、第三者に対して、書籍または電子書籍として出版することを再許諾できるものとします。受賞者の著作者は、日本経済新聞社以外の者に受賞作の利用を許諾したり、出版権を設定したりすることはできません。」とくにこのあたり、応募者はよくよく注意し、自覚の上で行動してほしい。

・第2回の協力団体に「ロボコンマガジン」誌が新たに入った。本年4月以降の私・瀬名の紹介によるものと思われる。受賞者の新作発表の場として検討してくださっている最中だと思うが、どうなるかはわからない。

 以上、気づいた点をまとめました。
 私が星賞についてブログで発言するのはこれが最後とします。星賞に応募しようかどうしようか迷っている方への私からのアドバイスは、残念ながら以前に書いた通りで、変わりません。

「星賞は運営体制が整うまで応募するな。下手に受賞してもあなたのキャリアに傷がつくだけだ。もし本当に理系文学を目指したいなら、むしろいまは創元SF短編賞かハヤカワSFコンテストを狙いなさい」

 そして、それでもなお星賞に応募し今後受賞される方々も、どうか他の新人賞への応募を続け、そちらで受賞し、大きく羽ばたくことで、理系文学の未来を切り拓いていっていただきたいと切に願います。


*私・瀬名秀明がこれまで日経「星新一賞」について書いてきたのは、このように具体的な問題点を公的に示すことで、主催者や星賞実行委員会の皆様にどこがまずいのか、何を改善すべきなのかはっきりと理解していただき、組織内でよく話し合って、よりよい賞にしてほしいと願ってのことであることを、ご理解いただきたく存じます。
posted by 瀬名秀明 at 18:44| 読んで書く、書いて読む | 更新情報をチェックする

2014年05月29日

これからの講演

【トークイベント】東日本大震災文庫展W関連企画「小松左京が遺したもの―震災の記憶・未来へのことば―」瀬名秀明・圓山翠陵・乙部順子/2014.6.21(土)13:00-14:30/宮城県図書館2階 ホール養賢堂/定員200名/参加料=無料 *お申し込みはこちら


【講演】東北大学多元物質科学研究所同窓会「多友会」講演会/2014.7.17(木)16:30-17:30/「今、東北の地で未来を創造することについて」/東北大学 片平さくらホール/入場無料・申込不要
【シンポジウム他】第53回日本SF大会 なつこん/2014.7.19(土)〜20(日)/つくば国際会議場ゲスト・オブ・オナー/特別シンポジウム企画(出演=豊橋技術科学大学学長・榊佳之先生、筑波大学名誉教授・星野力先生、公立はこだて未来大学教授・松原仁先生、東北大学教授・山家智之先生、司会=京都大学iPS細胞研究所准教授・八代嘉美先生)など


【講演】第24回 日本外来小児科学会年次集会/2014.8.31(日)/「未来を想像し、未来を創ることについて 〜生まれかけの贈りもの≠ニしての生命科学と医療を考える〜」/大阪国際会議場
posted by 瀬名秀明 at 23:48| 仕事の記録 | 更新情報をチェックする

2014年05月21日

「日本のSFの厳しい現実」

 こんな記事が出ていた。
 朝日新聞(ニュースQ3)「日本のSFの厳しい現実」2014.5.21付

 ふーん、という感じで、一点を除いては特にコメントなし。その一点とは、「作家たちも自立の道を探り始めた」のところ。設立50周年の各イベントが進んでいたときは、私が退会するまで他の退会者はいなかったので、この文脈はちょっと時系列がおかしい。
 さて「10名ほどが退会を表明」とのことだが、実際にどのくらいの人が退会したのか、把握しているのはクラブの会員しかいないだろう。
 ここに2014年4月30日現在の日本SF作家クラブの会員名簿がある。一方、『日本SF短篇50』全5巻には、2013年1月現在の会員名簿が載っているので、比較すれば誰がその後入会し、誰が退会したかすぐにわかる。私の数え間違いがなければ、以下の通り。大森望さんの入会が否決される前から退会している人もいる。

【退会者】2014年4月30日現在
・東浩紀
・上田早夕里
・榎木洋子
・笠井潔
・倉阪鬼一郎
・菅浩江
・瀬名秀明
・堀晃
・松崎有理
・山田正紀
・横田順彌
以上11名 *2014年6月20日付で更新された会員名簿をもとに、初稿時の誤りを訂正。

【入会者】2014年4月30日現在
・池澤春菜
・タヤンディエー・ドゥニ
・月村了衛
・平田真夫(森山安雄)
・藤井太洋
以上5名 *2014年6月20日付で更新された会員名簿をもとに、初稿時の誤りを訂正。

 「会員数250名のうち、たかが10名くらいの退会者で騒ぐな」という意見の人もいるかもしれないが、日本SF作家クラブ編『日本SF短篇50』収録作家50名のうち、一割にあたる5名が退会していることは重視されてよいと思う。そして今後も増える可能性があるわけだ。
 さて、大森望さんの入会が否決されたのは2014年4月25日の総会だが、このとき新たに入会が承認された人もいる。しかしその人の名前は4月30日付の名簿に載っていない。鏡明さんは名誉会員になることを意思表明したそうだが、名簿上はまだ名誉会員になっていない。ツイッターで退会すると明言した人でも、まだ名簿に残っている人がいる。まあ5月以降もクラブ関係のイベントが色々あったので、それが終わるまでは退会しない、という人もいただろう。
 クラブの名簿管理は、私が会長時代のとき、ひとりの事務局次長がおこなっていた。兼業作家だったのでお忙しかったのだと思う。名簿の更新は遅れがちで、半年近く新規会員が登録されないこともあった。お忙しいのならサポートをつけようと私は提案したこともあったが固辞された。現在も同じ人がやっているようなので、名簿の更新は遅れているのだろう。だから現在の名簿が実情を反映しているとは限らない。ただ、日本SF作家クラブの会員になることを名誉だと考える方は、一刻も早くこうした名簿に載りたいと思うはずだし、連絡などにも支障を来す可能性があるので、名簿管理はもっと改善した方がよいと私は思う。


 ところで第34回日本SF大賞贈賞式の中継も「ニコニコ生放送」で観た。今回の協賛は株式会社ドワンゴである(公式ページにも記されている)。「ニコニコ生放送」の開始30分くらいから、株式会社ドワンゴの夏野剛取締役が挨拶しているのを聴いた。「次回はこの賞自身も私どもが関与して、この(贈賞)式自身もかなり盛り上げた演出を入れた、イノべーティブなことをやらせていただきたい」というスピーチに一抹の不安がw。
 なお私は会長時代、次回以降の日本SF大賞のスポンサー探しにはいっさい関わっていない。当時の事務局長は「次は早川書房に頼めばいい」などと気軽に考えていて、呆れたことくらいか。あとは「若いクラブ会員たちを中心に、一年で根本から立て直してほしい」と東野次期会長に心からお願いしただけだ。いくつかスポンサーの狙い目も東野次期会長と話し合ったが、ドワンゴさんの名前は出さなかったし、思いつきもしなかった。星新一賞のときに苦労したので、移り代わりの激しいゲーム・IT系企業は文芸賞のスポンサーには向かないと悟っていたからだ。
 ドワンゴさんがスポンサーになるらしいと私が初めて聞いたのは、2014年1月11日にゲンロンカフェで東浩紀さんや大森望さんと鼎談したとき。そこで大森さんから、
「ドワンゴさんが『とにかくSFを応援したい』と作家の野尻抱介さんに連絡してきた。野尻さんが自分(大森さん)に連絡してきたので、日本SF作家クラブを紹介し、いまその詰めに入っている段階のようだ」
 といった世間話を聞いたのである。実際のところは知らない。なおドワンゴさんは日本SF大会と日本SF作家クラブの違いも知らなかったそうだ。
 その後、星賞の調整で、2014年4月5日に3次選考委員の牧眞司さんと大森望さんと共に電通へ出向いた。その帰り、3人で喫茶店に寄った際、日本SF大賞のスポンサーのことが再び話に出た。先の星賞のこともあったので、「私が会長なら引き受けないなあ。でも会長の東野司さんや事務局長の北原尚彦さんがそれでいいと納得なさったのなら、いいのではないか」と個人的感想を述べた。まあとにかく、急いでスポンサーは決まったのだろう。ドワンゴとKADOKAWAの関係がどうなるかという点については、たぶん大森さんも東野さんも北原さんも知らなかったんじゃないかな。私も当然、どうなるかなんて知らなかった。
 なお退会した私・瀬名が、たとえば牧眞司さんのような日本SF作家クラブ会員と協同で、何かSFの仕事をしていることがクラブ内にわかると、面倒なことをいってくる人が出てくる可能性があるそうだw。へんな陰謀論を妄想する人がいるのだろう。だからそうした動きはたとえあってもいわないでくれと東野さんから忠告された。東野さんがご苦労されていることはわかっているので私も了解したし、牧さんも了解した。なので2014年4月5日の会合でわたしたちが会ったことを、牧さんは当時ツイートでほのめかしたが、それ以降は私について、あくまで評論家として以上の言及はしていないはずである。
#そうだ、こんな風に書くと、また「東野会長は裏で密かに瀬名と何度も連絡して通じている」などとくだらない陰謀論を展開する人が出るかもしれないのでひと言。この後書くように、第1回星賞の受賞作・入選作が出版できそうだとなった時点で、では編者名をどうするかという話になった。詳細は省略するが、日経の名前を出す方法と、あえて出さない方策が考えられた。それで私の方から東野さんに連絡し、「こういう本が出るとき日本SF作家クラブは協力団体なので『日本SF作家クラブ編』とすることは可能か」と4月に打診したのだ。東野さんの答は込み入ったもので、それらの条件をクリアするのは無理だとわかったので、早い段階でこの案は消えた。そのとき久しぶりに東野さんと電話で話しただけである。ついでに、先のような忠告があっただけのことだ。誤解ないように。


 星賞に関してはいままであえて黙っていたが、3月以降、かなり動いた。受賞作・入選作の書籍化も、あとは日経側が承諾すればすぐに出せるという段階まで某大手出版社の某有名叢書編集部と話をつけたし、ポピュラーサイエンスの有力誌に新作発表の場も持てるよう私が率先して交渉した。運営費が足りないなら、私が毎年50万円か100万円を運営費として寄附しよう、瀬名の名前はいっさい出さなくてよい、という提案まで出した! 
 だが日経サイドのねじれと星賞実行委員会側の力不足で、結果としては何も変わらなかった。星賞実行委員の人たちは「少しずつ星賞はよくなってきている」と主張するが、まったくそんなことはないと私は思う。実際、第2回の受賞者に対するケアも、いまはまったく決まっていない。
 もし今後、星賞に応募しようかどうしようか迷っている方がいらっしゃるのなら、私個人は次のようにアドバイスする。
「星賞は運営体制が整うまで応募するな。下手に受賞してもあなたのキャリアに傷がつくだけだ。もし本当に理系文学を目指したいなら、むしろいまは創元SF短編賞かハヤカワSFコンテストを狙いなさい」

 そして第1回の星賞に入選した一般部門の方は、難しいとは思うがどうか気持ちを切り替えて、他の新人賞への応募を続け、そこで受賞することで力強く羽ばたいていっていただきたい。実際、第1回入選者の高島雄哉さんは、第5回創元SF短編賞の受賞者となった。ペンネームが別のものだったので、私は当初同一人物だとわからなかったのだが(だから審査段階で不正にプッシュしたりはしていない)、実力のある人はこうして星賞に関係なく表に出てゆくことができる。どうか頑張って欲しい。応援しています。
 とにかく受賞者・入選者を大切にしない賞はだめだ。これらの思いについては、またいずれ、まとめて書くかもしれない。

 追伸:遠藤慎一さん(作家の藤崎慎吾さん)が第1回グランプリ受賞者だったということは、本当に星賞実行委員会の誰も知らなかったそうだ。完全なチューリングテスト状態で審査はおこなわれた(ただし作品の本文中にご自身の職業などを書き込んでいた応募者は、最初のうち本文と一緒に予備選考委員へ情報が流れてしまった。途中でそのことに気づいた実行委員会は、本文以外の記載を消してから予備選考委員に渡すよう努力したらしい)。最終選考委員の方々も、なんと授賞式当日まで受賞者が藤崎さんだったとは知らなかったそうだ。この点に関してはいろいろ訊いて確認した。だから審査に不正が働いたということはない。
 藤崎さんの小説は昔から愛読している。だから彼を囲んで、近いうちにささやかなお祝いを兼ねた食事会をしようと思っている。



 追記(2014.6.20):
【退会者】2014年6月20日現在
・我孫子武丸
・小川一水
・神林長平
・図子慧
・田中芳樹
・福田和代
・森下一仁
以上7名

【入会者】2014年6月20日現在
・鬼嶋清美
・服部桂
以上2名
posted by 瀬名秀明 at 18:09| 読んで書く、書いて読む | 更新情報をチェックする

2014年05月17日

これからの講演

【講演】企画展「まんが家 藤子・F・不二雄の『SF』(すこし・ふしぎ)」/2014.5.17(土)14:00-15:30/記念講演「一度も会えなかった藤子・F・不二雄先生が、ぼくに教えてくれたこと」/高志の国文学館研修室101/定員120名、事前申込必要:企画展ウェブページに詳細あり
【テレビ放送】NHK富山/2014.5.17(土)19:06-/「瀬名秀明さんが藤子作品語る
【ラジオ出演】アンコール放送 “耳で楽しむ”藤子・F・不二雄の世界〜SF短編・朗読ライブ〜/2014.5.19(月)17:20-18:50/NHKFM 富山県内 *番組75分+中條誠子アナウンサーと、文学館学芸員・大川原竜一さん、藤子・F・不二雄氏の後輩・成瀬潔さんのトーク。朗読=石田太郎、松田洋治、中條誠子(富山放送局アナウンサー)。ピアノ=西村由紀江。瀬名の部分は再放送。ただし亡くなられた石田太郎さんを偲ぶコメントを寄稿・追加。
posted by 瀬名秀明 at 23:13| 仕事の記録 | 更新情報をチェックする

2014年04月29日

最近のこと

このところ、ふつうの近況をまるで書いていないことに気づいたので、ちょっと書いてみることにした。

 4月25日は上京。お昼にとても楽しい対談企画をやった後、私が退会した日本SF作家クラブの総会がおこなわれているちょうどその時間、わりと大切な案件のミーティングに参加。
 一泊して、中野サンプラザでおこなわれた9nineのライブに行ってきました。昼・夜の2回参加ははじめて。大満足して仙台に帰宅。
 いまは次の長編をこつこつと書いているところです。たぶんいままででいちばん難しい題材とテーマなので、調べ物もなかなか大変……。ですが作品自体はなるべく読みやすくスピーディな文体を心がけています。20年前の『パラサイト・イヴ』のころに戻った気持ち。まだいつ皆さまのお手元へお届けできるかはっきりしたことはいえませんが、努力します。
 「不評を集める」というのをやってみましたが、やはり読者の方からも「悲しくなるからやめて」という声があるので(大森望さんからは「ブログが荒れているというとふつうはコメント欄が荒れるものだが、瀬名さんの場合はブログ自体が荒れている」といわれたw)、いったんここでやめておきましょう。
 それではまた。

 そうだ、今年の星雲賞日本短編部門の参考候補作に拙作「ミシェル」が選ばれていました! これは嬉しい。
posted by 瀬名秀明 at 22:48| 読んで書く、書いて読む | 更新情報をチェックする

2014年04月28日

仕事

【コメント】ワンダーライフスペシャル ドラえもん&藤子・F・不二雄公式ファンブック『Fライフ』01/2014.4.3/ISBN978-4-09-106537-7/本体950円/「マイ・ベスト・Fアンケート」/(無題)p.126
【インタビュー】図書新聞/2014.4.5/interview/馬渡元喜「小松左京を継承し、そしてその先へ」p.8
【インタビュー】女性自身/2014.4.8号/READER’S PARADISE「新刊著者の告白」/(無記名)「新生」P.129
【書評】週刊朝日/2014.4.25号/週刊図書館crossover「サイエンス」/「文章から力みが抜けた純粋のSF=vp.93
【ブックフェア】図書新聞企画 瀬名秀明さん選書コーナー<『新生』刊行記念―瀬名秀明の世界>/2014.4.10-未定/東京堂書店神田神保町店3F 図書新聞常設コーナー →図書新聞さんTwitter投稿写真


posted by 瀬名秀明 at 19:37| 仕事の記録 | 更新情報をチェックする

2014年04月27日

不評を集める3

さらに不評を集めてみました。

(以下引用)


正直、あの書き方はフェアじゃないと思うよ。対談本をどれだけ罵倒してくれてもそれは全然かまわないけど、「パライブ事件」を一方的に書くのはフェアじゃないね。 →引用元

あとになって「擬人化してないよ」と言われても、「そんなのわかるわけないじゃん」という感想しか出てこない。一読目ではっきりわかるように、もっとあからさまに書け、と文句を言うことになる。最初に読者に「擬人化している」と思われたら、それでおしまいなのだ。そして、「擬人化している」と思うか思わないかは読者の勝手である。 →引用元

今現在の瀬名さんの姿勢自体は「あんたはアムロかよ」とツッコミを入れたくなるくらい幼児退行的且つ視野狭窄的で、全然同情する気になれません。 →引用元

瀬名さんのニセ科学問題に対する他人事のような突き放し方には、正直言って一種の知的な鈍感さすら感じた。 →引用元

産学連携でお金をもらってるんでしょ? そこでもらってる金額からするとちゃんとしたプロのウェブ業者にウェブサイト構築を頼む費用なんてわずかなものだと思うけど。そんなところをけちって、いちばん安価な情報伝達手段さえおろそかにするのはどうか。 →引用元


多くの方が割と信じていらっしゃるようなので念の為付け加えておくと、瀬名秀明さんのブログに書かれている日本SF作家クラブ批判の内容は、ぼくの記憶や認識とは大きく異なっている、とだけは言っておきます。SF作家クラブはそれに対してちゃんと対応するべきだったかもしれません。 →引用元 From: naoya_fujita at: 2014/04/26 06:03:32 JST

辞めた人(批判的な見解を持っている場合がある)は中のことなども含めて(会則に縛られないで)好き勝手書けるのに対して、会の中に留まって、色々と奮闘したりなんとかしようと努力している人たちは、そのことを何も書けないんだもの。……ネット時代の「透明性」への希求に対応が鈍かったかもだね。 →引用元 From: naoya_fujita at: 2014/04/26 13:39:57 JST

私は日本SF作家クラブに恩義がありますし、少しでも良くされようと尽力し、奮闘されてきた方々の姿を見て来たので(往々にして、そういうものは表に出ないし、自己宣伝するような方々ではない)、それを無碍にするような真似はできない、と心情的に思っております。 →引用元 naoya_fujita 5:24 - 2014年4月26日



以前の会長の瀬名さんの努力を揶揄するようで申し訳ないが。 →引用元 shinichiroinaba at: 2014/04/26 20:45:20 JST


SF作家クラブがどうこう以前に、瀬名さんは誰かと一緒に何かを運営するっていうのが向いてない人っぽい
多分、きれいなSF作家クラブを作ったとしても何の感のいってこうなってた気がする
敵の敵は味方とばかりに東みたいなのともつるめる人って時点で色々お察しだけど →引用元#574

瀬名のブログ痛すぎる
もはや触れない人だな →引用元#625


ブログ読むと被害者ぶりっこの達人だなw
鬱病の人は自分を心の中だけで責めるんだよ、自分の正義だけを主張してあんなに他人を糾弾しない →引用元#600


瀬名はミトコンだけで他ぱっとしなかったね →引用元#115

セナのメンヘラブログまたくるのかな →引用元#186

瀬名(中略)はただのサークルクラッシャー →引用元#491

瀬名が余計なことしなかったら入会できてたかもな →引用元#518

ああ、瀬名ってなんだったんだろうなw
今はただの危ないメンヘラちゃんだし →引用元#531

瀬名がそもそもあてにならない →引用元#731

瀬名さんは、ブログのエントリーがおかしいんだよね
(中略)東とやった時の喋り変だったもん →引用元#826

メンヘラーではあるよね。セナ。 →引用元#830

瀬名は最近のブログがおかしくない? →引用元#911

自分を批判した人の呟きを挙げたブログは狂気を感じた>瀬名氏 →引用元#914
posted by 瀬名秀明 at 15:54| ちょっとしたお知らせ | 更新情報をチェックする

2014年03月30日

不評を集める2

引き続き、ざっと不評を集めてみました。探せばまだたくさんあるよね。さあ、どんどん瀬名秀明を嫌いになっていこう! 今日はこのくらいで。

(以下引用)


この北川所長は、「きみはドストエフスキーを読んだか、ブレイクを読んだか」という。瀬名は読んだだろうか。 →引用元

いつもの瀬名秀明の欠点はこの作品でも健在。最終的に失敗し、倒される側がいつも、あまりに薄いんだ。 →引用元

作者のあなたにわかるだろうか、ぼくがこの最後の数十ページで感じた憤りを。 →引用元


特殊な業界のプチカリスマが、一般にも知名度のある人物とのツーショット写真を掲げて自慢しているのを見て、見ているこっちの方が恥ずかしくなることがある。だがそんな写真は信者にとっては教祖さまの権威を実証する、誇らかなものなのだろう。 →引用元


よくこんなんで批評できたな…自信過剰すぎる。 →引用元


特に瀬名作品は全然ダメ。こんな小説書いて売れるわけがない。小説家としての勢いが、そのまま作品の質&面白さに反映されていると感じた。 →引用元


「パラサイト・イブ」がSFかどうかとか、SFとしてどうかとか、擬人化がどうかとか、そういう話をするのは読者の勝手なんだけどね kikumaco 2013-12-07 11:06:01 →2次引用元

とばっちりは困るねえ kikumaco 2013-12-07 11:07:39 →2次引用元


一会員の意見として瀬名さんの件について。僕はSF作家クラブを親睦団体だと認識して入会し、その見解は今まで揺らいだことはない。いろいろな活動もしてるけど、それは親睦団体としての範疇を超えるものではなかったと思う。瀬名さんはそもそものところで思い違いをされていたように思える。 tadashi_ohta 2013-12-30 00:53:35 →2次引用元

創立50周年企画で瀬名会長が企画を矢継ぎ早に出してきたとき「このひとも小松さんみたいに頑張るひとなんだ」と感心した。ただ小松さんがまわりの人間をうまく引き入れてプロジェクトを成功させたようには、できなかったみたいだ。これは人の使い方の問題なのだろうと瀬名さんの文章を読んで思った。 tadashi_ohta 2013-12-30 00:57:42 →2次引用元

瀬名秀明のキャラクターが掴めないと前に書いたが、【変革への高い志→実現できず→対象を批判】というパターンが俺が読んだ限りでは三度見られる。『インフルエンザ21世紀』から『3・11の未来』で医療従事者や研究者や自分の父親を、日本SF作家クラブ会長辞任では日本SF作家クラブを、 akapon 2013-12-30 18:51:54 →2次引用元

星新一賞審査員辞任では賞関係者を。 akapon 2013-12-30 18:52:37 →2次引用元

どっちでもええやん、としか思えないので、何で揉めているのかがわからない。そんなことではいかんと言われても知らんがな。 yuusakukitano 2013-12-31 08:54:49 →2次引用元

昨夜寝る前にあの更新分を読んでしまいあっさり「売れなかった」とか書いてあって「売る方の身にもなってみろ」とかなり怒った。書いてる内容の一部はブーメランとなってご自身の身に突き刺さっているのではないか。俺けっこう共感してた筈なんだけど。 akapon 2013-12-31 10:43:42 →2次引用元

人心が離れていく過程を我が身で体験するっていう。 akapon 2013-12-31 10:44:00 →2次引用元


文章が下手である。もともと瀬名は東北大学薬学部の大学院生だか助手だかの時に、「ミトコンドリアDNAの一部が核に移行している」という事実を誤解して、『パラサイト・イブ』というけったいなSFを書き、たまたま世の中に「パラサイト・シングル」という言葉が流行していたので、小説が売れ映画にもなっただけの人だ。(中略)ただ、瀬名は気づいていないが、訳者の柴田裕之は(中略)選書と翻訳の能力において傑出した人である。 →引用元


これも含めて瀬名秀明の作品はことごとく詰めが甘いのだが、その中でも超一級の駄作であることは確かである。 →引用元


結局、長々とした脳科学の説明は謎解きとは何も関係がなく、ただ本作の物語の貧弱さをごまかすためのものに過ぎない。次々と短い単語を使って場面を展開していくラストの書き方も、謎めいた最後の展開に科学的な理由づけを与えないようにするトリックであり、実に姑息である。 →引用元


ちなみに最低点を獲得したのは瀬名秀明「不死の市」(10/40)。(中略)文章下手すぎワロタ、との評価も多かったです。これには第7回〈マジで誰が得するんだよこれ賞〉を授与します。
瀬名秀明「不死の市」 1点 →引用元

まるで世界の全てを背負っているような悲壮感を感じさせる主人公の態度がひたすらうっとうしい。
瀬名秀明「For a breath I tarry」 4点 →引用元

うぐう。最近の瀬名秀明は読むのがつらい。文学かぶれというか、あえてわかりにくくしている。
瀬名秀明「光の栞」 2点 →引用元

ちなみに最低点を獲得したのは瀬名秀明「希望」(16/40)。難解な構成と登場人物の行動の意味不明さが嫌われたようです。これには〈マジで誰が得するんだよこれ賞〉を授与します。
こんなの突き付けられてドヤ顔されても困りますよ。失望が最後に残る。
瀬名秀明「希望」 3点 →引用元
posted by 瀬名秀明 at 21:15| ちょっとしたお知らせ | 更新情報をチェックする