先日、南シナ海における中国とベトナムの紛争について、ベトナム外交学院南シナ海研究所副所長のグエン・フン・ソン博士の話を聞く機会があった。博士の話は大変有意義で、感動的なものであった。
博士は、「ベトナムは絶対に中国の圧力に屈しない。絶対に戦いを止めない。いま融和的な姿勢をとれば、中国はますます増長する。中国に抗議するためあらゆる平和的措置をとる」と明言した。そして中国の蛮行と無法を、以下に述べるように鋭く告発した。
南シナ海で繰り広げられた蛮行
周知のように中国は5月2日、ベトナムが自国の排他的経済水域(EEZ)だと主張している海域で一方的に海洋掘削リグを設置し、掘削作業を開始した。この海域はベトナムの排他的経済水域(EEZ)と大陸棚にある。当然、ベトナム政府はただちに海上警備の船舶などを派遣し、中国側に掘削の中止を要求した。だが中国側は艦隊や軍用機まで配備して、ベトナムの船舶を排除しながら掘削を強行してきた。中国側は、軍の艦隊や軍用機を配備したことについて、「海洋掘削リグをエスコートするため」だと釈明したが、140隻もの軍艦などを配備するエスコートなどあり得ない。
それどころか、ベトナムの民間船に衝突などを繰り返し、ベトナム船舶を沈没させるだけでなく、救出の妨害活動まで繰り返し行ってきた。この結果、ベトナム船は36隻が破壊され、12人のベトナム人が負傷したという。
ベトナム国民が激怒したのも当然である。各地で反中デモが発生し、中国系工場が放火された。ベトナムは国際世論の支持を取り付け、東南アジア諸国は対中不信を高めてきた。
中国の拡張主義に世界が反発
南シナ海のほとんどを自国の領海だとする中国の主張は、ベトナムやフィリピンはもちろん、東南アジア諸国にとっても受け入れがたいものである。しかも、この主張は国際法上、何らの根拠も持たない。