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 日本を訪れる外国人が急増している。日本政府観光局が23日発表した今年1~6月の訪日外国人は626万人で、初めて1千万人を超えた昨年の同時期より26・4%多かった。円安や、査証(ビザ)の条件を緩めたことが背景にあるが、地方の地道な取り組みも多くの客を引きつけている。

 「ファンタスティック!(素晴らしい)」。先週末の岐阜県高山市。通り雨が上がって澄んだ空気のなか、英国人のヒュー・ベラーズさん(47)は、見渡す限りの青々とした田んぼに声を上げた。

 ベラーズさんが妻と2人の子どもと参加した「里山サイクリング」は、江戸時代の風情が残る市内の散策と並び、飛驒高山を訪れる外国人に人気だ。半日かけてかやぶき屋根の民家などをめぐる。「東京、箱根、京都にも寄ったが、ここが最も日本らしく美しい」

 運営する観光コンサルティング会社「美(ちゅ)ら地球(ぼし)」(飛驒市)によると、サイクリングに参加する外国人は4年で18倍に増え、参加者の約6割を占める。高山市は1980年代から海外で旅行業界の展示会に出展し、市のウェブサイトは11言語対応にしてPR。人口9万1千人の同市に、昨年は22万5千人の外国人が訪れた。

 「日本らしさ」で外国人を呼び込む取り組みは各地に広がっている。北海道枝幸(えさし)町のうたのぼりグリーンパークホテルは、旭川空港から車で3時間半の山中だが、冬場は予約がなかなか取れない人気だ。宿泊客の大半がタイ人で、女性は浴衣、男性は甚兵衛に着替え、サケの解体ショーや生け花を体験する。冬場はかまくらで飲み物を出す。