東証:売買10銭単位に 取引活性化を期待

毎日新聞 2014年07月14日 21時25分(最終更新 07月15日 01時56分)

株価の表示がこう変わる
株価の表示がこう変わる

 東京証券取引所は22日から、大企業を中心とした一部銘柄の株価の単位を、現在の1円から10銭や50銭に変更する。より細かい価格表示にすることで投資家の利便性を高め、売買を活発にする狙い。大口の機関投資家の要請で実施するが、個人投資家に浸透するかどうかが取引活性化のカギとなりそうだ。

 東証1部上場企業1822社のうち、「TOPIX(東証株価指数)100」と呼ばれる100銘柄が対象。取引量が多く時価総額が高い大企業の株で構成される。現在は株価が1万円以下だと売買注文は1円単位。22日からは、株価が1000円以下なら10銭単位、1000円超〜5000円以下なら50銭単位で取引できる。5000円を超すと1円刻みになる。

 例えば株価が500円の銘柄1万株をもう少しだけ高い値段で買おうとすれば、現在は最低でも501万円(501円で1万株)必要だが、22日以降は500万1000円(500円10銭で1万株)で買い注文が出せる。

 対象100銘柄のうち、単位が銭刻みになる企業は70〜80社になりそうだ。14日の終値が1000円以下だった銘柄はANAホールディングスやみずほフィナンシャルグループ、新日鉄住金など。1000円超〜5000円以下は三井物産、パナソニック、武田薬品工業など。5000円超はトヨタ自動車、ソフトバンクなど。

 米国では株価が1ドル(約101円)未満だと1万分の1ドル単位で取引される。英国は取引が活発な20銘柄で株価が5〜10ポンド(1ポンド=約173円)だと1000分の1ポンド、1〜5ポンドなら1万分の5ポンド刻みになっている。

 大量の売り買いを常時行う投資ファンドや金融機関にとっては、少しでも安く買って、少しでも高く売るためには価格設定が細かい方が有利。中長期の投資を目的とした個人も株価が小刻みになれば価格変動のリスク軽減が期待できる。野村総合研究所の大崎貞和主席研究員は「株の買値と売値が1円単位の選択肢しかないよりは、間の10〜90銭があった方が買い手や売り手が付きやすく、取引量は増える」と指摘する。

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