PS4に迫る初のAndroidゲームタブレットをレヴュー

2014.07.27 11:30
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ついにここまで来たか!

コンソールゲーム機とテレビの大画面でゲームをプレイするのがスタンダード……と思って育ってきた世代にとっては、最近の専用ゲーム機市場の凋落ぶりはショッキングな事態でもあるのでは? だって、いま最も売れているのは、iPhoneやAndroidスマートフォン向けのゲームアプリで、でもあんなのスペック的には本格ゲーム派にとって物足りなすぎるでしょう?

いえいえ、実はとうとう登場したんですよね~。なんとPS4やXbox Oneなどのコンソールゲーム機のタイトルだって移植プレイ可能な、バリバリとゲームを堪能できるスペックと仕様を兼ね備えたゲームタブレット「Shield Tablet」Nvidiaから発売されることが決定しました。このAndroidタブレットは、ゲーム業界へ大きな一石を投じることになりそうですよ。


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Shield Tabletは、Nvidiaが以前にもリリースしていた「Shield Portable」ポータブルゲーム機の後継機種に位置づけられています。Shield PortableもOSにAndroidを採用してはいましたが、その実体は5インチのディスプレイをパカッと開くとコントローラが現われる、クラムシェルデザインの一体型専用ゲーム機というスタンスでした。しかしながら、Shield Tabletは、れっきとした8インチサイズのAndroidタブレットとなっていますよ。

そのスペックは、Android 4.4 KitkatをOSに採用し、IPS液晶ディスプレイ、2GBのRAM、ともに5メガピクセルの解像度のフロントカメラおよびリアカメラ、ステレオスピーカー、microSDカードスロットを備え、普通にAndroidタブレットとしても十分使えるモデルになっていますね。

とはいえ、Shield Tabletを大いに他のタブレットと異ならせているのは、CPUとして採用されているNvidia製の「Tegra K1」プロセッサです。グラフィックス性能の高さをアピールして開発されてきたTegraファミリーの中でも、Tegra K1は、192ものGPUコアで、モバイルでもPCと同じ「Kepler」アーキテクチャを備えたパワフルCPUになっており、要はPC向けのハイスペックゲームでさえShield Tabletでプレイ可能にしてしまう完成度に仕上がっているのです!

Shield Tablet向けには、発売と同時に「Portal」「Half-Life 2」「Trine 2」「War Thunder」などなど、PCゲームとしてリリースされていた16タイトルものゲームが用意される予定も明らかにされており、実際にプレイしてみましたけど、高フレームレートでもスムーズに表示されていることに驚きを覚えましたね。Trine 2をShield Tabletで存分に試す機会があったのですが、もしかしてPS4バージョン? 思わず、そんなつぶやきが口を突いて出てくるほどの素晴らしいグラフィックスでした……。


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もちろん、Shield Tabletは単体でもゲームマシンとして動作しますけど、HDMI出力で4K解像度の大画面テレビなどへ1080p表示をさせて楽しめる「コンソールモード」や、パソコンから「GameStream」機能を使ってPCゲームのストリーミングを行なったりするプレイスタイルもサポートされています。そのテストの様子が上の画像に示されていますけど、もはやAndroidタブレットからの入出力とは侮れないクオリティの高さではありませんか!

あまりよいことばかり書き立てないで、シヴィアな評価も一応はしておきますと、最新の「Unreal Engine 4」エンジンのデモを試してみた感想は、ややラフなエッジが気になるかなと感じさせられましたね。あと「GRID 2」をGameStreamでプレイした時は、ちょっぴり遅延が認められることもありました。ただこれはWi-Fiのスピードに問題があったと考えることもできるかもしれませんね。つまり、よほどの高速グラフィックス表示を必要とするシューティングゲームでもなければ、プレイに大きな支障が出るとも思えず、これは基本的にXbox OneやPS4ゲームでもストレスなくプレイできるAndroidタブレットだなというのが正直な印象ですよ。


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さてさて、ここまで本格的にゲームプレイを楽しめるAndroidタブレットということは、操作用にスクリーンタップではなくコントローラにもこだわってみたいところですが、Shield Tabletには、専用コントローラ「Shield Controller」が用意されていますよ。各ボタンやスティックの操作性は、Xbox Oneのコントローラと比較して飛び抜けて優れているわけではないものの、十分にコンソールゲーム機のコントローラレベルをクリアしていると評することができるでしょう。Androidタブレットでお馴染みのホームボタンやメニューボタンなども装備されているのが特徴的ですよね……。

なお、Shield Tabletと標準的なBluetooth接続のゲームコントローラをペアリングさせてプレイすることは可能ですが、専用のShield Controllerをお勧めする最大の理由は、Wi-Fi Directによる接続方式が採用されている点にあります。Bluetoothよりも遅延が起こりにくく、帯域も太いため、Shield Tablet本体にではなく、Shield Controllerへマイクやヘッドセットを接続しても問題ありませんし、なによりも入力操作に待たされるイライラ感がないのがいいですね。せっかく本体のゲーム性能はスゴいものがあるのに、コントロールが遅れてゲームプレイにストレスを覚えるというのでは本末転倒ですから。


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最後になりましたけど、もしかして最強のアピールポイントとなるのでは? そんなShield Tabletの特徴をお知らせしておきましょう。それはShield Tabletの販売価格です。なななんと、これだけのハイスペックなのにWi-Fiモデルの価格は299ドル! あのRetinaディスプレイではない「iPad mini」と同じ価格帯を狙ってきてるんですよね。スペック的には絶対にShield Tabletこそ買いでしょうって思わせられるのではないでしょうか。別売りのShield Controllerの価格は59ドルとなっていますよ。

なお、北米では今月末から販売が開始されるShield Tabletの今後の課題は、どれだけネイティブでプレイ可能なタイトルがそろうかという点にあるでしょう。これまでのゲームアプリとは一線を画した、コンソールゲーム機向けのタイトルが続々とShield Tabletに対応して充実してくれば、Androidタブレットで新たなゲームの世界が開けることにもなりそうですよ~。


Eric Limer - Gizmodo US[原文
(湯木進悟)

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