車のナンバー:自動読み取りで顧客分析 進むビジネス化

毎日新聞 2014年07月27日 08時39分(最終更新 07月27日 14時00分)

パチンコ店駐車場入り口に設置されたカメラ
パチンコ店駐車場入り口に設置されたカメラ
自動車ナンバー読み取りビジネスの概念
自動車ナンバー読み取りビジネスの概念

 同様のサービスは、建設コンサルタント「エイテック」(東京都)も提供している。こちらは道路を走る車が主な対象だ。道路脇などに計測器をセットしてナンバーを読み取る。「道の駅」の利用動向調査などに利用されているという。

 デモ画面を見ると、計測器は時速約80キロで走り去る車のナンバーを「神戸 530 〇 〇〇〇〇 自家用 小型」などと瞬時に読み取る。時速180キロまで対応可能という。同社の堤慎司・関東支社調査技術部統括リーダーは「10年ほど前から読み取り技術の正確性が飛躍的に進歩して、マーケティング調査に応用しようという発想が生まれた」と説明する。

 ただ、ビジネスとしての広がりは未知数だ。安田屋は駐車場綜研のシステムを導入しないという。「得られた結果は想定の範囲を大きく超えるものではなかった。今後もデータを取り続ける必要はない」(松下氏)と判断し、カメラは近く返却する予定だ。

 道路運送車両法は自動車登録情報は不動産登記と同じ公開情報と定めている。

 このため、国土交通省はナンバーを含む自動車登録情報を個人情報保護法の適用外とみなしている。同法は、保護すべき「個人情報」について、氏名や住所など直接本人を特定できる情報か、「他の情報と容易に照合できて、特定の個人を識別できる」情報と定義する。集めた個人情報を第三者に渡す時は本人の同意が必要と定めているが、自動車登録情報については本人同意が法的には不要だ。

 やすだ戸田店での試験運用も客に告知されなかった。しかし、戸田店に何度か行った埼玉県川口市の建築業の男性(38)は「勝手に情報を取られるのはいい気持ちはしない」と首をかしげており、駐車場綜研は「今後は告知することもあり得る」と説明している。

 小さな集落に住んでいる人や珍しい車に乗っている人は、地名や車種だけで個人が特定されないだろうか。駐車場綜研の吉本国隆常務は「その可能性はある」と話す。「私たちはそこまで調べないが、何らかの法的なガイドラインは必要かもしれない」

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