挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
とあるおっさんのVRMMO活動記 作者:椎名ほわほわ

木工関連

 不毛な探索を終えた翌日。 ログインしたらなんだか体が妙に重い。

(ヘルメットに何か不具合でも発生したか……?)

 そう思いながら目を開けると……目に入ってきた物は青一色だった。

「え?」

「ぴゅい♪」

 そこにはほどほどに体躯を調節したと思われるピカーシャが居た。 大きさは……高さが2.5mぐらいだろうか? 3mはない。 そのピカーシャが布団の中に潜り込んでいた為に、視界が青一色だったというわけだ。

「──もしかして、体躯をある程度自由に操れるようになったのか?」

「ぴゅい♪」

 そうだ、といわんばかりに元気良く答えるピカーシャ。 生物として色々間違った方向に進んでいないか……? そのうち擬人化とか、ガルーダ化とかに進化しそうで怖いんだが。 Bボタンはドコだ。 

「分かった、でもあんまり派手に人前でやらないようにな……いつかのように取り囲まれて、下手したらいろんな場所を撫で回されるかも知れんからな……」

 特に女性に。 もふもふしていそうなあの体を触ってみたいなんていうピカーシャ愛好の会と言う団体が、密かに存在している事を自分は知っている。

「ぴ、ぴゅい!」

 気のせいか、ピカーシャも心理的な冷や汗を流しているように見える。 見られるのはいいとしても、あちこち遠慮なくモフモフされるのは辛いだろうからな、不特定多数ならなおさら。

「それはまあ、後で考えるとして……今日はどうするかな……」

 正直やることがちょっと見つからない状態。 戦闘は昨日思いっきりやったから今日はやるつもりはないし、鍛冶はまだちょっと時間をおきたい。 料理はドラゴン丼がもう少し減ってからにしたい。 残りは木工か。

「ピカーシャ、その大きさで背中に乗せてくれ。 昨日行った林の木材を調べに行きたい」

────────────────────────

(うーむ、これもダメ、さっきの木も話にならん……)

 使えそうな木材を探しに、○ョ○ボサイズピカーシャに乗って林を歩いているのだが……どれもネクシア近辺の木材に比べると質が大幅に落ちる。

(ネクシア付近も伐採が競争になっていて、まともに取れないんだよな……お陰で木工系統の品物全般が値上がり傾向にある……どういうわけかNPCの方のお店も敏感で、弓や盾の値段が上がっているし……)

 盾の値上がりの理由は、盾の裏地が大半が木である為。 自分の盾の様に全部が特定の素材オンリーで作られた盾と言うものは非常に少ない。 表面は鉄系統をを使い裏地を木にする事で重量を軽減するのが基本なのである。 ちなみに、遊びでとある鍛冶屋がライトメタルオンリーでラージシールドを作ったら、本職の腕力自慢なタンカーですら「これは重すぎる!」と怒鳴った事があったりする。

(せいぜい使えて矢といった所か……手持ちの矢も、やや少なくなってきているから一本切り倒して作るか……)

 それからも時間を掛けて木を調べるが、これといって良い木は見つからなかった。 ちなみにモンスターはこっちをひたすらに避けているので、戦闘も発生していない。 あの時のトラウマはまだ解除されていないようだ。

 帰り際にピカーシャから降りて一本だけ木を切り倒し、その場で木の矢に細工する。 材質にあまり左右されない木の矢位しか使い道がないのがなんだかな……しかもなんだか非常に加工しにくい。 もし将来ハウジングシステムが実装されたとしても、この近辺の木では全く使い物にならないだろう。 そこでふと思った、町の人達が住んでいる木材建築に使われている木はドコから調達してきたのだろう?

「聞いてみるか……ピカーシャ、一が武に戻ろうか」

「ぴゅい♪」

────────────────────────

「冒険者がそんなことを気にするなんて初めてだよ」

 町に帰って、泊まっている宿の女将さんに聞いてみた所、そういって宿屋の女将さんは笑っている。

「そうかもしれませんが、どうしても気になってしまったもので。 多少自分が木工細工をかじっているという事もあります」

 この疑問に、女将さんは丁寧に教えてくれた。 なんでも高品質な木材はよつが武近辺で取れるらしく、この国の家に使われている木材の中で、最高級木材は全て四が武産なんだそうだ。 この近辺の木はほったらかしにされるぐらい質が下と言うことか。

「そうそう、とても大事な事だから教えておくけどね、四が武の木材は国指定の保護がかかっているからね。 外の国の人はもちろん、あたし達だって勝手に切り倒しでもしたら犯罪だからね、馬鹿なことは考えないでおくれよ」

 そう釘を刺された。 そりゃそうだな、保護されてないネクシア近辺の木は見る影もないし。

「ありがとうございます、犯罪者にならずに済みました」

 そういって頭を下げてお礼を言う。 国の保護指定を受けている物に手を出すような行動はしたくない。 しかし、こうなると良質の木材を入手するのが厳しくなって来たか……。

「そのほかの場所で、いい木材と言うのはありませんかね?」

 一応女将さんに聞いてみる。

「さあねえ……あたしゃそこまで詳しくないからね。 ただ、手に入れるのはとても難しいと思うよ。 この国は見て分かるだろうけど、木をよく使う国柄だからね。 四が武に限らず、他の町でも良い木材が取れる場所は大抵誰かが抑えていると思うよ。 例外はここ一が武とが武ぐらいだね。 この二つの町近辺にある木は、質が国全体から見ても最低だからね」

 ああ、やっぱりここの木材は質が悪かったのか、調べる手間はなくなったけれどがっかりでもある……せいぜい木の矢としての材料にするのが関の山か。

「そうですか、やはり難しいか……」

 ついがりがりと頭をかいてしまう。 頭に乗っていたひよこピカーシャが「ぴゅぴゅ!?」と驚いている。

「まあ、売ってもらうことは可能かもしれないけれど、相当に高いと思われるね。 四が武の最高級木材で家を建てることは龍族にとっても最高の贅沢の一つに上げられているからねぇ。 余計な事かもしれないけど、うちの宿はいつが武製の木材だよ。 これだってかなりの高級品だからね?」

 女将さんの話を聞くほどに、こちらとしてはしかめっ面にならざるを得ないな。 木工職人としては当分厳しい状況が続くと宣言されたような物だ。 ネクシア近辺の木材の回転率を運営が上げてくれる事に期待するしかないな……。 素材をいちいち買っていたら破産してしまう。
木材近辺は不遇が続いています。 職人同士の木材争奪戦が非常に激しい。

スキル

風震狩弓Lv17 蹴撃Lv46 遠視Lv63 製作の指先Lv83 小盾Lv14
隠蔽Lv41 身体能力強化lv64 義賊Lv40 上級鞭術Lv5 
妖精言語Lv99(強制習得)(控えスキルへの移動不可能)

控えスキル

木工Lv42 ↑3UP 上級鍛冶Lv36 薬剤Lv43 上級料理Lv36

ExP 17

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人

同行者 青のピカーシャ(アクア) 飛行可能 騎乗可能 戦闘可能 魔法所持 ???の可能性
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ