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とあるおっさんのVRMMO活動記 作者:椎名ほわほわ

不毛な探索・後編

「見つからんなぁ……もう誰かに狩られたのか?」

 ツヴァイがこぼしているな。 まあ絶対に見つからんのだがなぁ……ユニークモンスター? の正体が今一緒に同行しているのだから……体のサイズが大幅に違うだけで……。

 ちなみに狩りの方は、ここまでにゴブリンの団体3PT,オークの団体PT2PTを潰している。 レイジが挑発アーツで相手の注意を引き、レイジに群がったモンスターをツヴァイが叩き潰し、カザミネが斬り払った。 ミリーは支援を中心に動き、エリザが魔法による高火力遠距離攻撃。 そしてモンスターの魔法使いなどは自分が矢で打ち抜いて出来る限り詠唱をさせずに倒している。

「狩り場的には色々おいしいですから、見つからなくても問題は少ないですけどね」

 実際直接ドロップしたグローだけでもそれなりの資金にはなる、6等分しても十分な収入だろう。 後はゴブリンたちが使っていたと思われる武器や防具がドロップしている。 これらも店に売ればそれなりに……いや、金属部分はインゴットに戻すという手段があるな、鉄不足の今ならそうしたほうが良いかも知れないな、もしかしたら面白い結果が出るかもしれない。

「に、してもだ。 アース、その弓は何なのだ? 魔法使い系とはいえ、この辺のモンスターをあそこまであっさり倒す事が出来るというのは少々異常だぞ? オーク達は魔法使いだとしてもそれなりに体力が高いはずなのだが……?」

 レイジが首をかしげている。 無理もない、ドラゴン素材なんて出回っているはずが無い素材で作られたこのドラゴン・ボウの威力は非常に高い。 もう少ししたら更に手を入れるつもりなので、能力が更に伸びる可能性がある。

「しばらく見ないうちに大幅に装備が変わっていますね~、その緑の外套もそうですけど~」

 ミリーもこちらを遠慮なく見てくる……まあ以前であった時と比べると、色々と大幅に変わりすぎているからな……。

「やれやれ……弓は偶然取れた新しい素材を使っているからな……試作品でもある。 それから外套は妖精国に売っていたのを買っただけだよ、レンジャーっぽく見えるかなと思ってね」

 適当に装備に対しての質問は適度に流しておこう、この辺はうかつに喋るとボロが出そうだ。

「だから人前にあまり姿を見せることが無かったということですか……」

 カザミネはある程度納得したようだ。

「私のこの大太刀もいろんな材料を集めて作ってもらいましたが、作り方などは秘密ですしね、生産もやっているアースさんなら、その辺で色々作業をやっているのでしょう」

 カザミネの説明を受けてレイジも「そう言えば以前レシピについて教えてもらったな……」と思い出しているようだ。

「おしゃべりはいったん中止、オークの団体さんがいるぞ、数は8だな」

 〈危険察知〉によるサーチでモンスターが引っかかったので注意を促す。 流石にそうなれば素早く戦闘体制に入るブルーカラーメンバー。

「今回も狙撃して向こうの戦力を軽く削りつつこちらにおびき寄せる、その後はレイジ、頼む」

 レイジは頷く、任せておけと言ったところか。

「始めるぞ、構えてくれ」

 そうPTに告げて、弓を構える。 〈ホークショット〉による狙撃と不意打ちをかねた攻撃を開始する……最初のターゲットは自分と同じ弓使いのオークアーチャー。 狙いをつけて弓を引く……この一瞬の緊張感と集中する瞬間が最近は妙に楽しい。 狙いは頭……タイミングは……今。 勢い良く放たれた矢は、アーツの恩恵もあって長距離を難なく飛んで行き……狙い通りにオークアーチャーの頭をぶち抜いた、そのまま倒れこんで塵になるオークアーチャー。

「狙撃成功、来るぞ!」

 後はこちらに来るまでにある程度削っておきたい。 次の狙いは魔法使い、タンカーはどうしても金属防具が多くなりがちなので、雷系統の魔法が危険すぎるからだ。 狙いを定めて……〈アローツイスター〉を放つ。 オークたちは走っているので、ぶれている頭ではなく胴体を狙う。 当たらなければどんな攻撃だって無意味なのだから。 オーク達は8人PTだったが、レイジ達前衛と戦い始めた時にはこちらと同じ数の6人PTにまで数を減らしていた。

「相変わらずふざけた弓の腕前ですね、ですが頼もしいですわ!」

 エリザがそういいつつ、氷のツララをオークたちの集団に降らせる、アレは痛そうだな。 ツララは容赦なくオーク達の体を貫いてゆく、この火力が魔法使いの真骨頂だ。 耐久力を削った分の瞬間火力はやはり魔法使いがトップだな……その上に追撃とばかりにエリザの妖精であるタツノオトシゴも、水を細く打ち出してウォーターカッターのように扱い、オーク達を攻撃していた。 レイジに阻まれ、エリザに貫かれ、弱ったところをツヴァイとカザミネが当人達の妖精とのコンビネーションで確実にトドメを入れて行き、今回のオークPTとの戦闘も問題なく討伐が完了した。

「うーん、なあアース、やっぱりギルドにこないか? その弓の腕はギルドに欲しいんだよなぁ」

 ツヴァイが再び勧誘してくる。 気持ちは分からんでもないがなぁ。

「新しく入ってきた人たちも頑張ってはおりますが……、ここまでの弓の腕をお持ちな人はまだいらっしゃいませんからね……」

 エリザも歯切れが悪そうに言う。

「悪いね」

 こちらはそう言うしかない。 色々自分が持っているものが物騒すぎるので、別の意味でギルドに参加できない状況になっている。 手持ちのドラゴン素材……特に硬いあのクリスタルみたいな素材で大剣なんて作ったらでたらめに目立ってしまうだろう。 それに作った武器にどんな特殊能力が付与するかが全く分からない部分も恐ろしい。

「そろそろ1時間半ですね~、残念ですが戻りましょうか~」

 ミリーがそう告げてくる。 自分も時計を確認してみると、確かに1時間半が経過していた、そろそろ自分はログアウトしなければならないか……。

「目的のモンスターが見つからなかったのは残念だったが、資金的には大きくプラスだったからまあ良しだな! 引き上げよう」

 PTリーダーも兼任していたツヴァイの声で一が武に帰還した。 内心ツヴァイ達に自分が詫びていたのは、当然内緒である……。
正体の大きさが変化するのは反則ですよね(苦笑)、見つかりっこない。

スキル

風震狩弓Lv17 ↑2UP 蹴撃Lv46 遠視Lv63 ↑3UP 製作の指先Lv83 小盾Lv14
隠蔽Lv41 身体能力強化lv64 ↑1UP 義賊Lv40 ↑3UP 上級鞭術Lv5 
妖精言語Lv99(強制習得)(控えスキルへの移動不可能)

控えスキル

木工Lv39 上級鍛冶Lv36 薬剤Lv43 上級料理Lv36

ExP 17

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人

同行者 青のピカーシャ(アクア) 飛行可能 騎乗可能 戦闘可能 魔法所持 ???の可能性
+注意+
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