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とあるおっさんのVRMMO活動記 作者:椎名ほわほわ

丼物はおいしいよね

 昨日のキリングマシーン・ピカーシャの影響でお金がたっぷり入ってしまったので、今日は狩りをお休みして、料理を楽しむ予定である、本日の材料は……ドラゴンのお肉。 いい加減調理をしてみたくなっていたし、色々と都合が良いのでついに使用することにした。

 倉庫からドラゴンのお肉をいくつか引っ張り出し、一が武の隅っこに陣取って料理を開始する。 まずはうすーく切って塩と胡椒だけの大雑把な味付けで試食してみる。 ──思ったほど味はくどくは無い、というか柔らかくて実においしい。 ドラゴン同士の死闘で勝ったドラゴンが負けたドラゴンを食べることがあるが、変な方向で納得した。 それとも、完全な同族じゃないのならドラゴン同士で食べあっても、純粋な共食いには該当しないのかもしれない。

 このお肉は、牛丼ならぬドラゴン丼にせざるを得ないだろう。 幸い米も買ってきてあるし、調味料も醤油にみりん、お酒と揃っている、だしも何とか作れるだろう。 現実ではどう頑張っても食べることが出来ない物だからこそ作る価値があるというものだ。 外から見れば馬鹿にもほどがあるかもしれないが。

 じゃこじゃこじゃこっとお米をとぎ、底が丸い釜に入れて水を張り、水を吸わせる。 吸水時間をある程度置かないとおいしいご飯が炊けない。 おいしくないご飯で丼物をつくるなど、それは丼物に対しての侮辱でしかない。 しっかりとした下ごしらえこそが、おいしい料理を作るのに欠かせない手間である。 また、底が丸い釜を使う理由は、米を炊く時に米を泳がせるためである。 底が角ばっているとその米の泳ぎ、温度による循環が上手く行かなくなり、炊きあがったご飯が不味くなってしまうのだ。

 吸水時間を利用して、味をつけるための出汁を作る。 醤油にみりん、少々の砂糖にお酒。 それから大事な昆布。 良くうまみ調味料なんてものがあるが、アレのうまみは昆布が元であったりする。 昆布である程度味ををとって、各種調味料をいれ、手の甲に取り出し、味を確認、調整する。


 まだまだ米の吸水時間が足りないので、その時間を利用してシンプルなドラゴンステーキを3枚焼いてみる。 ある意味ロマンがこもっているドラゴンステーキだが、柔らかな肉質は霜降りの牛肉に劣るところは無い。 塩コショウは最小限で十分、せっかくの肉の味を壊すわけには行かない。 焼きあがった熱々のドラゴンステーキを1枚は自分が、2枚はピカーシャが食べる。 めったに食せぬ肉だけに感動すら覚えたのは気のせいではないだろう。

ドラゴンステーキ

ドラゴンの肉を最小限の調味料による味付けだけで焼いた幻に近い一品。
これを食せるのはごく一部の人間に限られる……よほどの強者か、金持ちか、権力者、もしくは幸運

製作評価6


 と、じっくりドラゴンステーキを味わったところで、ようやく米を入れた釜に火を入れる。 リアルだと炊飯器頼りのため、感覚に不安がある。 〈料理促進〉による加熱時間の短縮はやらないことにした。 ご飯が炊けて来るまでに、ドラゴンのお肉を薄切りにして行く。 出来たドラゴン丼は大量にアイテムボックスに保管しておくつもりなのでどんどん薄切り肉を製作する。

 後はタマネギも大量にさくさく切る。 さすがは上級セットの包丁、タマネギを切っても涙が全く出ない。 良く誤解される事だが、タマネギを切って涙がでるのは包丁に原因がある。 安物の包丁はタマネギを『押し切る』為に、タマネギの刺激物質を空気中にばら撒いてしまい、それが鼻にはいってしみるため涙を流すのだ。 一方の高い包丁、日本刀に近い包丁はスパッと文字通り『斬る』事が出来るのでタマネギの細胞を押しつぶすことが無く、そのため涙が出ないのだ。 機会があったら試してみるのも良いかも知れない。

 ドラゴン肉の薄切りに軽く火を入れて、そこに調味料とタマネギを投入して、炒め始める。 肉とタマネギに調味料をしみこませつつ余計な水分を飛ばしていく。 両手でフライパンを使い、気合を入れて振る作業を続ける。 しばらく炒めるとたまねぎがうっすらと狐色になり、肉の色もいい感じに染まった、頃合いだろう。

 米のほうもちょうど炊けたようで、釜の蓋をとるとそこには美しい銀シャリともいえる輝くホッカホカのご飯がお出迎えをしてくれた。 周りに米特有の甘い香りがふわりと漂い始める。 この香りに酔っていたいがそうも行かない、後は冷めてしまう前に急いで丼にガンガン米を入れて、その上にどっさりとドラゴン肉とタマネギを乗っけていく作業をしなくてはならない。 そして盛り付けたら素早くアイテムボックスへどんどん入れていく。 しばらくして、ようやく食べるために残した2つを残して全ての丼を入れ終わった。 アイテムボックスにはドラゴン丼×64と表記されている。

ドラゴン丼

貴重なドラゴンの肉を丼物にしてしまったと言うある意味贅沢な、ある意味馬鹿な丼。
だがその味は卑怯なまでに病みつきになる可能性を秘めている罪作りな一品。
これを食するあなたは何を思うのだろうか……。

製作評価8 Atk上昇(大) Def上昇(中)

 おおっと、二つも能力が上がる料理が出来た。 しかし、説明文にまで馬鹿と言われてしまったが考えたら負けだ! それにまだまだお肉はあるから気にしない! まずは食う、それから考える。

 ピカーシャの前に1つ丼を置き、自分は1つ丼を抱えて、ここはあえて下品に大きく口を開けてがばっと食う。 ──ああ、天国はあった……ここにあった……なんでだろう、涙が止まらないや……まるで童心に返るような気持ちになる……あーだこーだめんどくさい批評は全くいらない、ただただ美味い、美味いんだ……。 ふと顔を上げればピカーシャもどこか遠くを見ている……。

「美味いか?」

「ぴゅい♪」

 その後はお互い無言で丼をかっ込んだ。 肉だけじゃない、肉とたまねぎが出すエキスに出汁が絡まり、その出汁がご飯に染み渡り、そしてそのご飯と共に肉を食う。 ああ、なんて丼物とは偉大な存在なのだろう……。 食べ終わるまで回りを気にせずがっつき続けた。 実に満足な一日だった。
丼物には不思議な魅力があると思います。 お米万歳。

スキル

風震狩弓Lv15 蹴撃Lv46 遠視Lv60 製作の指先Lv83 ↑5UP 小盾Lv14
隠蔽Lv41 身体能力強化lv63 義賊Lv37 上級鞭術Lv5 
妖精言語Lv99(強制習得)(控えスキルへの移動不可能)

控えスキル

木工Lv39 上級鍛冶Lv36 薬剤Lv43 上級料理Lv36 ↑21UP

ExP 17

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人

同行者 青のピカーシャ(アクア) 飛行可能 騎乗可能 戦闘可能 魔法所持 ???の可能性
+注意+
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