久々のPT戦闘
ログインしたが、今日はとてもじゃないがスミスハンマーを持つつもりはない。 ピカーシャもへたり気味だし、自分もあのじわじわと跳ね返ってくる反射ダメージでかなり精神的にきつい状態になっているので、とてもやる気にならない。 単純に鍛冶のスキルレベルが低いのにあんな物を扱っているゆえの反動なのだろうが……。
ついでにネクシアの鉱山にも向かってみたが、需要は相変わらずのようであまり鉱石を掘る事は出来なかった。 まあある程度ライトメタル鉱石や、爆裂鉱石を手に入れることは出来たのでよしとしておく。 ある程度なので、とても弓を作るだけの量はない。
褒められた理由ではないが、製作行為でたまった鬱憤晴らしもかねて戦闘行動をすることに決めた。 ファストの東で狩りをする予定のPTを探し始めると、すぐにPTは見つかった。 と言うよりは、たくさん募集を出しているPTがあったの方が言い方としては正しい。 その中から遠距離攻撃可能な人募集を出しているPTに声をかけてみる。
「すまない、メインが弓なのだが、PT参加いいだろうか?」
そのPTのリーダーはすぐに承諾する。
「ああ、OKだぜ、ちょうど良かった、これで5人になったから出発できるぜ」
なんともまあ、渡りに船と言う状態だったか、たまにはそういう時があってもいいだろう。 お互い簡単な自己紹介をしつつ、狩場に向かう。 PTをフルにいれれば6人なのだが、バランスさえ取れていればさっさと出発するのが最近のPT傾向のようだ。
「それにしても、アースといったか? 何でそんな外套に全身を隠しているんだよ?」
体どころか、頭まですっぽりと隠している自分はかなり異様に見られているのか……。
「それは、装備がちょいと派手でね、光の反射でモンスターに気が付かれない様に隠しているんだよ」
と説明しておく。 実際派手なのは外見ではなく中身なのだが、そこまで説明する理由はない。 説明しておくと、一般的に出回っているスケイルメイルは、動物の鱗ではなく鉄をわざわざうろこ状に作って繋ぐと言う、非常に手間がかかる一品なので値段もそこそこお高い上に流通も少ない。 だが薄く延ばし、接合するので重量はプレートに比べればはるかに軽い事、防御力は意外に高い事もあって需要はそれなりにあるそうだ。
そんな中で明らかに金属ではないスケイルアーマーを着ていたらそれだけでも注目の的になる。 それは面倒だし、質問に答えてたら自分の行動する時間が無くなるので見せることは出来ない。
「ちょっと中の装備を見せて欲しいなぁ、ダメ?」
と言う声も聞こえてくるが、ごめんねとやんわりとだがはっきりと断っておく。 そんな話をしているうちに目的地の狩場に到着する。 ここに居るモンスターは殺人モンスターのあだ名がつくモンスター達で、マーダーベアという口元が鮮血に染まったように真っ赤な熊、マーダーサイスという両手の鎌が真っ赤に染まっているカマキリ、マーダーホーンという角が真っ赤に染まっているサイの三種類が闊歩している。
「よし、始めるか、油断すんなよ」
今回のPTリーダーである大太刀使いが注意を呼びかけてくる。 ここに居るモンスターのマーダーという名前は伊達ではなく、こいつらは攻撃を直撃させられてしまうと低確率ながらダメージを2.5倍にすると言う特殊能力を持っている上に、不運にも心臓や首などのウィークポイントに攻撃を当てられると即死する可能性が他のモンスターより高めと言う能力持ちであると情報が上がっている。 その強さゆえに、スキルの上がりもべらぼうに良いのだが。
その危険性は皆が理解していたようで、無言で頷く自分を含めた四人。 狩りが始まる。
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基本的にタンカーが耐え、アタッカーが削り、魔法による回復や支援といったベーシックな戦い方は変わらない。 ただタンカーは1番危険な場所なので即死を食らったりしないように丁寧に盾で捌く事を最重視している様子が見て取れる。 自分は確実にモンスターの目などに矢を射ることで、モンスターの攻撃精度を落としタンカーの防御がやりやすいように立ち回っている。 休憩の時にタンカーが「ありがとよ、助かってる」と言ってきたので彼は理解してくれているのだろう。
スキルを確認したが、すでに弓のスキルレベルは12も上がっている。 即死の恐怖があることを考えても、上がるスピード的にはかなりおいしいと言えるだろう。 タンカー役のプレイヤーも防御がかなり上手く、大した被弾は今まで一度もない。 そのお陰で魔法使いのプレイヤーの2人も攻撃中心に動けており、殲滅速度もなかなかだ。
「かなり稼げてる、今日のPTは当たりだわ」
そう、女性の魔法使いの一人が言っていた。 なんでも以前組んだPTは連携がいまいちで、前衛がさくさくモンスターに狩られまくるという状況に陥り、早期撤退をせざるを得なかったんだとか。 野良PTにはどうしても当たりはずれが付きまとうのは仕方がない、固定でない以上仕方がないのだが……。
確実に一匹だけを自分の弓の長射程を生かして引っ張り、タンカー役が壁となってあとはみんなで叩く。 流れ作業になってしまった一面こそあれ、スキルを上げるという最大目的は十分に叶うので繰り返す。 同時に複数が沸いてピンチになったりするといったアクシデントも最後まで発生しなかった。
どうにも今まで巻き込まれてきたことが多いためか、少々物足りないという悪癖が出そうになったがそれが普通なんだと頭を冷やす。 狩りの最中にも盗賊スキルの〈危険察知〉は展開しておいたのだが、そちらの方でも問題が発生している様子は確認できない。
結果的に、スキルは大幅にアップし、ある程度のお肉や皮なども獲得できた。 ドロップは均等割りにして各自に渡り無事に解散。 今日みたいに順調に進んだ日は実に久々な気がする。 早速手に入れたマーダーベアの肉を調理し、熊肉のサンドイッチに仕上げた。
熊肉はさみのサンドイッチ
マーダーベアの肉を柔らかく加工し、ハーブと共にはさんでサンドイッチとした物
製作評価6
早速試食し、味もそれなりに良かったのでピカーシャにも食べさせる。 もうちょっと味を良くするためにもサンプルがもう少し欲しい。 流石にこの前食べたステーキのようなものすごい一品には出来ないが、ある程度おいしいものを目指すのは悪いことではない。 明日もあの場所で狩りをするPTに混ぜてもらうか……。
極端な出来事がない比較的平和な狩り光景。
いや、それが普通なんですけどね。
スキル
風塵狩弓Lv40 ↑17UP 蹴撃Lv22 遠視Lv53 製作の指先Lv75 小盾Lv9
隠蔽Lv41 身体能力強化Lv55 ↑5UP 義賊Lv31 ↑3UP 鞭術Lv38
妖精言語Lv99(強制習得)(控えスキルへの移動不可能)
控えスキル
木工Lv39 上級鍛冶Lv30 薬剤Lv43 上級料理Lv15 ↑1UP
ExP 17
所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者
二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人
同行者 青のピカーシャ(アクア) 飛行可能 騎乗可能 戦闘可能 魔法所持

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