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【大相撲】

稀勢、白鵬ブン投げた! 弟弟子・高安を援護 

2014年7月26日 紙面から

小手投げで白鵬(手前)を破る稀勢の里=愛知県体育館で(黒田淳一撮影)

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◇名古屋場所<13日目>

 (25日・愛知県体育館)

 大関稀勢の里(28)=田子ノ浦=が、ただ一人1敗だった横綱白鵬を逆転の右小手投げで破り、照ノ富士を寄り切った弟弟子・高安を援護射撃。琴奨菊も大砂嵐を押し出し2敗を守った。13日目を終了して首位に3人が並んだのは、旭天鵬が平幕優勝した2012年夏場所以来。鶴竜は日馬富士との横綱対決で寄り切られ、3敗に後退。首位の3人を鶴竜と関脇豪栄道が1差で追う。十両は逸ノ城が1敗で単独トップを守った。

 外の暑さに負けない熱気が、一瞬にして館内にあふれた。白鵬との結びの一番。すでに優勝戦線から脱落している稀勢の里が勝った瞬間、揺れるような大歓声と拍手が沸き起こり、無数の座布団が舞った。

 支度部屋に戻ると、稀勢の里はVTRをじっくり眺めてからどっしりと座り、激闘を振り返った。「必死でした。勝ったことが一番。(立ち合いは)相手が勝っていた。まあ、いつもと同じように立とうと思いました」

 毎回のように白鵬戦で立ち合いが合わない。だが、この日は1回でピタリと呼吸が合った。右を差させまいと稀勢の里は左からおっつける。相手をいなすと土俵際に追い込まれたが、捨て身の小手投げ。「ああするしかなかった」と逆転劇を思い返した。

 同じ過ちは繰り返さなかった。夏場所の対戦では、立ち合いで稀勢の里が2回つっかけ、3回目で中途半端に立ったところをあっけなく寄り切られた。それだけに期する思いもあった。意地を見せたか、と問われると「それだけです」。今場所4敗していることもあり、「ふがいない相撲が多かったので、何とか諦めずに」と白鵬戦にかけた強い思いを続けた。

 相撲は「心技体」と言われるが、稀勢の里にはよく心の弱さが指摘される。父・貞彦さん(68)によると、この1、2年で多くの時間をかけて心を鍛えたという。「心の鍛錬の達人みたいな人を紹介された。先生に恵まれ、アドバイスを受けて身に付けていった」。心技体のうち、唯一の弱点だった「心」の成長が、一回で成立した立ち合いに見て取れた。

 優勝争いに食らい付く同じ部屋の高安が11勝目を挙げ、白鵬、琴奨菊とともに2敗で並んだ。結果的に稀勢の里の白星が高安への“援護射撃”になった。「まあ、頑張っているからね。少しでも」と稀勢の里。自身は賜杯も綱とりもないが、「しっかり(残り)二日を締めて、また自信をつける場所にしたい」。秋場所につなげるためにも、残る2横綱を倒してみせる。 (永井響太)

 

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