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【大相撲】

優勝は白鵬か琴奨菊か

2014年7月27日 紙面から

高安を下し引き揚げる琴奨菊=愛知県体育館で(内山田正夫撮影)

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◇名古屋場所<14日目>

(26日・愛知県体育館)

 日本出身力士で8年半ぶりの賜杯獲得となる初優勝を目指す大関琴奨菊(30)=佐渡ケ嶽=と、史上3人目の30度目の優勝を狙う横綱白鵬(29)=宮城野=が2敗で首位に並んだ。琴奨菊は高安との2敗対決を一気の寄りで制し、白鵬は横綱鶴竜を寄り切った。鶴竜は4敗目。関脇豪栄道が照ノ富士を寄り切って11勝目を挙げた。千秋楽はトップの2人と3敗の豪栄道、高安までに優勝の可能性がある。十両は逸ノ城が1敗で単独首位を守った。

◆日本力士Vへキラキラ

 好調の相手を寄せつけなかった。負ければ賜杯が遠のく「2敗決戦」で、琴奨菊は1回目の立ち合いで高安に突っかけられても動じない。2回目で力強い踏み込みから左を差すと、一気に寄り切った。白星をかみしめるように口を真一文字に結び、すがすがしい表情を浮かべた。

 「しっかりやることをやろうと、自分の相撲を取ろうと思って。(ここまでの)過程がよかったから結果が出ている」。今場所最高とも言える相撲内容に、琴奨菊がえびす顔になった。

 優勝争いを繰り広げる中で、プレッシャーもあることだろう。だが、「緊張するなって言っても緊張するんだから。でも、しっかり心も体もついてきていてうれしい」と琴奨菊。その充実感を味わえている理由に1枚の紙があった。

 「自分に勝つ イメージ 実行 結果 反省 相撲道を貫く 勝つ」

 今場所から宿舎の稽古場に掲げている目標の紙だ。場所前にテーマを書いたといい、神棚近くの目につきやすい所に張ってある。「場所前はまさかここまで来るとは思わなかった」と驚いたが、テーマを常に意識できるようにしたことが、絶好調の要因なのだろう。

 2敗を守り、残すは千秋楽だけとなった。関脇だった2011年秋場所も白鵬とともに12勝2敗のまま千秋楽を迎えたが、最後の最後に負けて賜杯を逃した。「ここまできてもがいてもバカらしい。1日中冷静だけど、熱い気持ちをどう抑えられるかだね」と琴奨菊。この日、優勝した時に使う8キロのタイも届いた。2006年初場所の栃東(現玉ノ井親方)以来、8年半ぶりとなる日本出身力士の賜杯獲得にも「欲を出して一日一番やること」と意欲満々に語っていた30歳が、いよいよ悲願を実現する。 (永井響太)

◆30度目賜杯へギラギラ

 鶴竜にもろ差しを許したが、白鵬に焦りはなかったという。「負けた2番は慌てて自分で墓穴を掘った。ひと呼吸、ふた呼吸おいて、落ち着いてから」。巻きかえて右四つになると、万全の寄りを見せた。

 「チャンスを待ってタイミングよく決まったと思います」。稀勢の里に喫した13日目の黒星を振り払う快勝だった。

 千秋楽に勝てば、優勝もしくは琴奨菊との決定戦が待っている。決定戦になってもいいという気持ちか? と問われた横綱は「きのう負けた時点でその辺は切り替えてやりました」と望むところだ。

 場所後の28日から夏巡業前日の来月6日までモンゴルへ帰国する予定を立てている。

 「確かに街(ウランバートル)で生まれて街で育ったけど、子どものころは年に一回、草原に行って1、2カ月生活していました。そこでは食べるものも違ってた。ある人にこう言われた。子どものころに食べたものが違うから今があるんだよって」と強さの秘密を打ち明けたが、同時に「前にも言ったけど、自分の古里を愛せなければ、ほかの国を愛せない」と日本と大相撲への思いも同様に持っている。

 背負うものは大きくてたくさんある。優勝30回という重い数字も背負っていくつもりだ。 (岸本隆)

 

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