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とあるおっさんのVRMMO活動記 作者:椎名ほわほわ

久々のファスト

 久々のファストの町が見えてきた、が。

「ピカーシャのこの大きさじゃ外で待っていてもらうしかないかなぁ」

 何せピカーシャの体躯は……高さが12~13メートルほど、横幅も5メートル少々ある。 その大きさを例えるなら、日本の生活道路をロールスロイスで走るような物……要はとても邪魔になるって事だ。 が、それは杞憂だった。

「ぴゅい」

 街の手前で着地し、自分が降りた後に一鳴きしたかと思うと、ピカーシャが『ぽうん』と可愛い音を立てて煙に包まれる……煙が晴れるとそこにはひよこレベルまで縮んだピカーシャが居た。

「ぴゅぴゅ♪」

 ──深く考えたり、突っ込んだら負けなんだろうなー……物理法則も何もあったもんじゃない。 とりあえずこのサイズなら頭に乗っけていれば良いか……。 手に乗せて、頭に運んで乗って貰った。 今後街に入る時はこうしてもらえば良いと言う訳か……。

────────────────────────

「さあいらっしゃいいらっしゃい!」

 活気のある声が飛び交う。 以前と比べてファストはかなり変わっていた。 もちろん街の形が変わったと言うわけではなく、露店などがかなり色々と変わっているのでそう感じるのだろう、特に食べ物のおいしそうな匂いがそこらへんから漂ってくる。

「まずは飯でも食うとするかね……」

 適当なお店を探していると、おいしそうな焼肉の匂いを漂わせる露店があったので立ち寄ってみる事にした。 そういえば、他のプレイヤーの作った料理を食するのは久しぶりだ。

「はいいらっしゃい、何にします?」

「そうだな……この900グローのステーキをお願いします、3人前ほど」

 内わけは、自分に1人分、ピカーシャ用に2人分である。

「お買い上げありがとうございます~」

 購入したステーキを離れた場所に腰を下ろして、かぶりつく。 ピカーシャも降ろして食べさせる。

「──これは美味いな、正直今の自分では……このレベルの物は作れんな」

 念入りに仕込みをして、丁寧に仕上げているのだろう、肉は柔らかく、ソースも絶品で、リアルで食べるとなると、1万2万では食べれそうに無い。 その上、ステータス上昇効果がなんと三つもあった。 そういう意味でもかなりの上級料理なのだろう。

 お店を見つけたのは全く持って偶然だったが、このステーキを焼いていたプレイヤーは料理に集中しているのだろうな……そういった努力があるから、こんなおいしいステーキが出来る。 自分のように色々手を出している人間には届かない世界か。

 その後も、色々露店めぐりをしているが、初心者向けの武器、上級者向けの武器を一通り見てみると全体的にかなり品質が上がっていた。 両手剣などはAtkが80を超えていたし、両手斧は90台に突入している物すらあった、だがお値段もそういうものは相応にお高いが。 純粋な職人プレイをしているプレイヤーはここまで高品質な物を作れるようになっていたのかと自分は驚いていた。

「なんだこれ? 外見がもろパイナップルなんだが……」

 そんな武器屋露店の中に、一風変わった手榴……パイナップルが陳列していた。

「おや? 最近完成したばかりだから知らない人もまだいるか」

 その露店を開いていたプレイヤーの説明によると作り方は当然秘密だが、爆裂鉱石を用いた爆弾の製作に成功して、これがその商品用なのだそうだ。

「3つ1セットで1200グローで売ってるんだが、どうだい?」

「じゃあ物は試しで1セット買わせて貰う事にしよう」

 どうなっているのか楽しみだ、次の狩りで使わせてもらうことにしよう。 それにしても色々な商品が新しく開発されている物だ、自分が妖精国を右往左往しているうちに研究が進んでいたんだろうな。 それにしても……。

「なんで初心者用武器だけでなく、前線用の武器まで陳列されているんだ?」

 ついでに武器露店のプレイヤーに聞いてみる。

「あれ? あんた妖精国ばっかりいってたクチかい? 最近街の東側に新しいルートが開けてて、そこのモンスターが強い代わりにスキルをガンガン上げるのに向いてるってことで、武器の需要が高いんだよ」

 そんな事になっていたのか……ずいぶんと自分は置いていかれていたな。

「だから、妖精国でお金を稼いで、スキルはこっちで上げるってのが今の主流だな、あんたも上げて来た方が良いんじゃないか?」

 ん?

「上げてこないとまずい理由があるのかな?」

 そう聞くと、武器露店のプレイヤーは首をかしげた。

「次のアップデートの発表が出たじゃないか? 龍の国のアップデートが。 で、そこに一定の力を持たない者は入国を禁ずるってあったから、生産者は生産をより頑張ってあげているし、戦闘職の人たちも必死でスキル上げしているぞ? ボーダーラインは4段階目だって予想されてるし」

 そんな話が。 そういえば公式を最近は一切見てなかった……。

「良い情報をありがとう、最近公式全然見てなかったのは不味かったか……」

 武器露店のプレイヤーにお礼を言って別れ、公式HPを確認すると、確かにそういった情報が上がっていた……これはとりあえず弓が4段階……つまり後1回進化させておかないとまずい事になりそうだ。

「ピカーシャ、しばらく戦う日々が続くことになりそうだよ」

「ぴゅぴゅ」

 久々に本腰を入れてスキルを上げることにしますかね。
職人プレイヤーの一端をお見せできました。
特に料理ははっきりと差が出ていますね。

追記 ピカーシャの大きさを再調整しました。

スキル

風塵狩弓Lv23 蹴撃Lv22 遠視Lv53 製作の指先Lv58 小盾Lv9
隠蔽Lv41 身体能力強化Lv41 義賊Lv28 鞭術Lv38 
妖精言語Lv99(強制習得)(控えスキルへの移動不可能)

控えスキル

木工Lv39 鍛冶Lv40 薬剤Lv43 上級料理Lv13

ExP 4

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人

状態異常 〈虚弱・弱〉〈移動速度15%ダウン〉

同行者 青のピカーシャ(アクア) 飛行可能 騎乗可能 戦闘可能 魔法所持
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