番外編、各陣営
──レッド・ブラック・ホワイトドラゴン視点 上空1500m
「エメルがあの男を嬲りだす前にその行動を止めようと駆けつけたのだが……」
「まさか……人族が1人で倒すだと!? ……確かに奴の全盛期に比べれば今の奴は3割ぐらいの力しかない状態であったのは事実だが……」
「機動力があるドラゴンゆえに防御的な意味でも下位ではありますが、それでも……」
「2人とも、見苦しいぞ、認めろ。 我らがドラゴン族をその身を犠牲にしてまで止めうる存在が居ると言う事を、そのやり遂げる意思を認めろ、今の我らの多くが忘れてしまっているあの誇り高い意思を認めろ」
「「はっ……」」
「そして、その勇士をあのような姿のままにしておくわけにはいかぬ。 ノワール、準備は良いな? ノエル、薬草のほうは十分に量はあるな?」
「「問題ございません」」
「よし、地上に降りるぞ。 急いで治療すれば間に合うだろう」
「陛下、エメルの方はいかがいたしましょう?」
「やはり、治療を行ったほうが宜しいですか?」
「──捨て置け。 あの者、エメルは死してしかるべきだ。 話し合いのフリをした脅ししか出来ぬ無能を、生かしておく理由も助けてやる理由も無い。 それにあの人族の意志も尊重する。エメルには、絶対に治療による蘇生は行ってはならぬ」
「「はっ」」
──クィーン視点 妖精城執務室
「女王陛下、陛下!」
「陛下、聞こえていますか!」
「見届けなくて宜しいのですか!?」
3人の側近がそれぞれに声をかけるが、フェアリー・クィーンは全く反応を見せない。
「ど、どうしましょう!?」
「脈などは平常通りありますが……」
6人の側近はとりあえず、アースとグリーン・ドラゴンの戦いを見届ける側とクィーンの傍に居る側半々に別れ、ここに残っている3人はクィーンの傍に居る側の方である。
「ダメだ……全く反応しない」
「目が虚空を見つめているような……」
一向に改善しないクィーンの様子に焦りばかりが積み重なっていく側近。 と、その時クィーンが動いた。
「陛下!」
「女王陛下!」
「お気を確かに!」
が、そのままクィーンは座っていた椅子をひっくり返し……床に倒れこんだ。
「「「へ、陛下ーー!?」」」
──?と??視点
「やっぱり来ていたわね、姉さん」
「……当然、私たちの種族はドラゴン、特にあの緑のドラゴンに苦しめられてきた」
「全く……私達の歴代長老も、お互いの民の命を守るためにいやいや煮え湯のような話を飲まされてきたのだもの……」
「チャンスがあれば……倒そうと……するのが自然」
「そうなんだけど、こんなこと報告しても信じてもらえると思う? 『我々より弱い人族の一人が、たった一人で恫喝してくるあのグリーン・ドラゴンを殺した』なんて……」
「……うん、信じてもらえないと思う……」
「そうよね……誰も信じてくれないわよ。 人族って言うだけで弱いものと決め付ける偏見も強くあるのが現実だものね」
「……だから私は水晶へ先ほどの戦いを記録していた……水晶の記録は事実しか記録できない……だから族長や、偏見主義者も反論できない……」
「え!? ね、姉さん、その水晶、後で貸して貰えない!?」
「……大丈夫、初めからそちらにも貸すつもりだった……やり遂げた事実を捻じ曲げるような恥知らずには、制裁が必要……」
「その部分には同意だわ。 勇気が無い奴ほど吠えるものね」
「ええ……じゃ、撤収……」
──????合同会議室
アースとグリーン・ドラゴンの戦いがあってからゲーム時間で5日後。
「各指導者の皆様へ報告がございます!」
伝令兵が息を切らせながら駆け込む。
「なんじゃ、騒々しいのう」
「何か問題でも起きたのかにゃ?」
「あのグリーン・ドラゴンへの対処をどうしようかとの話し合いの時に……」
「まあ、まあ、一応は聞いてみようよぅ」
各自、耳の形が狐、猫、犬、兎である。
「報告! 恫喝による我々の大量の富を巻き上げ続けたあのグリーン・ドラゴンが、人族の1人によって討たれました!」
静まり返る会議室……。
「この報告が虚偽でない事の証の為に、ここに水晶に記録された映像がございます! ご確認を!」
伝令兵が取り出した水晶を慌てて起動し、静まり返った会議場に映像が流れ出す。
「う、嘘でしょう……身体的には我々獣人やエルフに劣り……」
「ま、魔力では精霊や妖精族に劣ると言うにょに」
「あ、あのグリーン・ドラゴンがこうやって死ぬ姿を見る日が来るなんて……」
「もう一度確認するよ、これは間違いないのよね!?」
伝令兵は「私も目を疑いました、しかし、事実であります!」と力強く答える。 その瞬間、会議場は大きな歓声に包まれた。
──現実サイド
「おいおい……」
「まさか勝つとは」
開発室はとある記録動画の前に人が集まっていた。 動画の内容はアースとグリーン・ドラゴンの戦闘記録である。
「おい、このドラゴンの強さはどのレベルだった?」
「はい、数字的には最弱ですね、老竜で寿命も残りはドラゴンとしては少ない方です」
「なるほど、それならば勝ち目があるか?」
開発者達はバランスと言う面も含めて唸っている。
「オイルを弱体化する必要があるか?」
「いや、ダメだろう、工夫で生み出したものを弱体化させたら、工夫する意思を奪うぞ」
「それに、弓まで犠牲にしている。 良く思い切ったものだ、あの威力は長く使い込んだ弓でないと出せん」
調整を話すもの、賞賛するもの、それぞれが会話を繰り広げる。
「だが、いくら老いていたとはいえ、ソロで討伐なんてされては」
「おいおい、じゃあお前は出来るのか? あの巨体がぶつかって来ても対処する事と、倒すことが」
ちなみに、この双方の状態を再現して戦うシミュレーターを作り、開発者達が戦ってみた所、「無理だろこんなの」で一致したのはもう少し後の話。
「まさか最後は神風特攻とはな」
「そこだよ、いくらVRと言えど、ある程度の痛みは擬似的に再現しているんだ。 なのに良くやろうと決心したもんだよ、あのプレイヤー」
「びびったら負け、VRである以上そういう精神的な部分が色濃くでるからな、スキル以上に」
開発者達も一プレイヤーとして、調整の未熟な部分を探すためにプレイすることがあるが、モンスターとの戦いで恐怖したことがない開発者はほぼいない。
「そろそろ仕事にかかれー! 残業手当は出んぞ、無駄口叩いていて遅れましたなんて理由ではな!」
開発者の部長の声で業務にもどっていく。 ここからは開発者にとって普通の一日である。
スキル表記はありません。
水晶の記録
これはそのまま動画撮影ですね。 この世界では水晶球の姿をしています。
各種族
色々出てきました、彼らも後々正式に出てきますが、このゲームにおいては、『実装』とはそのエリアへのプレイヤーへの立ち入り許可でしかなく、もう各自の存在がすでに色々動いています。 そうしないと『実装』した時にAIのぎこちなさが出てしまうためです。
体調
ぐふっ。
P.S.
ドラゴンスレイヤーは「最強種」であるレッド・ドラゴンを倒した者のみの称号となります。 故に今回は付きません。

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