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とあるおっさんのVRMMO活動記 作者:椎名ほわほわ

お仕置きに正座は基本です

 案内役の兵士に連れられて向かった先には大きな宿が。 俗に言う『お金持ちの為』の宿泊施設とでも言えば分かってもらえるだろうか? 宿自体が大きい上に、調度品まで物を知らない人でも『壊したらヤバイ』と本能で分かるような。 まあ女王陛下が逗留するなら、こういう体面も必要ではある。

「こちらの宿の最上階に向かって下さい、これを宿の者に見せれば案内してもらえる手筈になっておりますので」

 と、プラチナに輝くカードをこちらに渡してくる案内役の兵士さん、リアルじゃあ絶対に縁がない物品だな、なんて少々黄昏る。 気を取り直して目の前の高級宿の中に入る。

「いらっしゃいませ、申し訳ありませんが当店では一見様はお断りさせていただいております。 どちら様のご紹介でしょうか?」

 宿屋に入ると、1人のきちっとした制服を着た男性が、こちらにそう声をかけてくる。 ああ、やっぱりそういうレベルの高級施設って事か。 前の南の宿とはまた違った意味で一見さんお断りって体制のようだ、それにレザーアーマーを着込んだ冒険者がこんな場所に泊まれるほどのお金を持っているとも思えないだろうからな。

「申し訳ないが、これだ」

 そう言って、受け取っていたプラチナカードを出てきた宿の男性の前に出す。 その瞬間……。

「た、大変失礼いたしました! 急いでご案内させていただきます!」

 こんなやり取りがあった後、最上階のロイヤルスィートルームに案内されたのである。

────────────────────────

「こちらになります」

 最上階へテレポートで送られ、でかい扉の前まで案内された。

「では、ごゆっくりお過ごし下さい」

 そういって頭を下げている男性の職員の方に見送られ、でかい扉を開けて中に入る。 その中にはクィーンと、側近の6人、そして緑髪の見たことがない男性が1人居た。

「あ、アースさーん!」

 そう叫びながらクィーンが突撃してきたので……

「カウンターラリアットぉっ!」

 で迎撃しておく。 といっても、素手系統のスキルは一切ないのでノーダメージだが。

「な、なんで……ですか……」

 涙目になるクィーン、だが。

「正座」

 床を指差してクィーンに告げる。 え? とクィーンや側近は呆けるが、もう一度クィーンに向かって「正座」というと、しぶしぶ正座をする。

「単純な話だ。 何でこの町の出入りを封鎖した。 お前の能力ならわざわざそんなことをしなくても十分この街の責任者と話し合えるだろうが……」

 この一点だ。 確かに門番の言う万が一に備えるという点は理解できるが、こいつの能力なら普通の妖精やプレイヤーたちが押し寄せても簡単にあしらえるはずだ。 過去、自分がクィーンに対して勝てたのはまだクィーンが未熟だったということだけであり、あれから時間がたった今では絶対に勝てないだろう。

「貴方がこの街に向かっているって情報が入ったから、一日借り切って思いっきり贅沢をさせてあげようと……」

 つい、ハリセンで叩きたくなったが我慢する。

「そんな事しなくていい! 何でそんなこと考えたんだ」

 そうクィーンに問いかけると、後ろの側近の1人が手を上げた。

「はい、どうぞ」

 発言をその手を上げた銀髪の男性に対して促す。

「偶然東の砦街を巡回していたときの事ですが、街中に普段とは違う魔力が混じっていることを確認したので、現場に向かいました。 すると1人の外套をつけて、顔まで隠した女性を確認。 念のため様子を見続けると、アース様に接触。 敵意は無い様なのでそのまま観察を続けました」

 あのときの話か。

「そして翌日、また違う魔力の持ち主が現れたので観察を続行。 その魔力を持った女性もアース様と接触、その際にその大きい胸にアース様が惹きつけられていたのを確認『何言ってんの!?』」

 そして、クィーンがアホな行動に移った理由ももう分かった……。

「ねえ、私のよりおっきかったの!? わ、私のも96はあるのよ!?」

 うん、正直知らなくて良い情報だね。 何も自分はそういう部分を女性には求めないのだが……。 そう自分は呆れていたのだが、銀髪の男性は油を注ぐ。

「ちなみに、その女性は102と言っていました、陛下」

 それを聴いた瞬間、クィーンは絶望した! と言う表情を浮かべ、上半身が床に崩れ落ちる。 そんなにショックか!?

「そ、そんな……あの妹に対して圧倒的なスペックを持つこの私が……私が……!」

 表情が見えないが泣き崩れているんだろうか? でもこういう部分には何も声をかけてやれない。 女性のプライドをつつくなんてのは、実に愚かなことでしかない。 そんなわけで泣き出したクィーンは一旦放置しておく。

「それから、そちらの緑髪の男性の方はお初にお目にかかりますが、どちら様でしょうか?」

 クィーンの泣き声が少々うるさいが、あえて聞こえないようにして質問をする。

「出来ればクィーン陛下から経由していただきたかったのですが、ああなっていては仕方がありませんね……私はグリーンドラゴン、風を操るドラゴンの一族です」
次回はグリーンドラゴンさんが、なんでこっちに来たのかの説明回。

風塵狩弓Lv17 蹴撃Lv22 遠視Lv53 製作の指先Lv57 小盾Lv6
隠蔽Lv41 身体能力強化Lv34 義賊Lv26 鞭術Lv37 
妖精言語Lv99(強制習得)(控えスキルへの移動不可能)

控えスキル

木工Lv39 鍛冶Lv40 薬剤Lv43 上級料理Lv12

ExP 4

所持称号 妖精女王すら魅了した者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人
+注意+
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