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とあるおっさんのVRMMO活動記 作者:椎名ほわほわ

番外編・とある会議室

 ──とある会社の第6会議室内


「うむ、集まらせて済まんな、どうにもわしゃ、通信電話などが苦手でのう」

「前置きは良いわ、さっさと議題を話しなさい」

「ですな、皆極端に時間を余らせている訳ではないですからな」

「まだお主ら金を稼ぐつもりか? ほどほどで妥協しておけ」

「稼いで使う。 そうしなければ経済が回らんぞ」

「おぬしらの言う事も最もじゃが。 今回は全員が一同に揃ってほしかったのでな」

「へえ……私達をわざわざ揃える理由は?」

「単純じゃよ、ワンモアの運営を続けさせるか否かじゃ。 数ヶ月たったがの、どう見る?」

「それならまだ続行に一票を入れるぞ。 まだまだあの世界は狭すぎる」

「私も続行ね、お金が厳しくなったのかしらおじいちゃん? その分私が負担しても良いわ」

「言い出したわしも、続行させるつもりじゃ、だがとりあえずの意見をそろそろ一度は聞かねばの」

「我が娘の高くなりすぎたプライドを念入りに潰して貰うためにももっと続行してもらいたいですな」

「ああ、続行で問題なかろう」

「ふむ、満場一致で続行か、よいよい、最上の結果じゃ」

「じいさん、そこに満足するのはいいが、EAとEBはどうなった?」

「ふふ、驚け、あるプレイヤーと関わってからはEAは笑うようになり、EBは怒るようになったわい」

「私も最初見たときはびっくりしたわ、鉄面皮になりかかっていたEA、そんな姉を見ていたためか、甘えようとして奴隷のような思考に陥っていたEBの二人があそこまで変わるとはね」

「なんと……娘のエリザヴェートにばかりワンモアの世界を見せていましたが、私も直接行ってみたくなって来ましたね」

「ふふ、私はミリーとして、1人のプレイヤー視点であの世界をちょくちょく回っているし、貴方の娘のエリザもびしばし躾けているけど、あの子……ううん、あの人は面白いわ」

「ふん、お前はその心当たりのプレイヤーと面識があるのか?」

「ええ、あるわよ、それと彼の娘のエリザちゃんもね」

「ほう、それは面白い、娘から聞いてみましょうか。 それとプライドばかり高くなった娘の鼻を折って下さったのはやはり貴女でしたか」

「ふむ、そのプレイヤーには私も興味があるが、それも踏まえて続行方針を崩すわけには行かなくなったな」

「うむ、AIたちの学習的な意味でもまだワンモアの世界をプレイヤーから取り上げるには早いのう」

「まあ、もう少し夢をくれてやって良い。 あの世界の主人公はAI達で、プレイヤーは唯のエキストラに過ぎないが、使えるエキストラであり続けるのなら、サービスと称してあの世界に居させてやろう」

「そうね、使えなくなったらサービスを打ち切って、私達だけが訪ねられる世界にすれば良いだけだし、どちらに転んでも問題はないわ」

「ここまで話が出来上がったのなら、1つお願いが皆様にあるのですが」

「あ? 何だよジェントルマン」

「実は私のほうが抱えている研究班もAI技術を研究させているのですがね、8割の完成率以降研究に詰まっているのですよ……」

「ふうん? その子達の勉強の場にワンモアを使いたいって事かしら?」

「その通りでございます。 EAやEBのような変化をもたらして頂けるかも知れない以上、ぜひチャンスを頂きたいと思いましてな、ちょうど皆様が揃っておりますし」

「面白くなるのなら、わしは構わんぞい」

「私も構わんが、そのAI達もある程度の人格形成は終わっているんだろうな?」

「ええ、その辺はEAとEBのデータが大きく役に立ちました」

「ならいいぜ、突っ込んでみてどうなるか観察するのも面白そうだ」

「うーん……」

「なんじゃ、何か不満でもあるのか?」

「1つ、条件つけてもいいかしら?」

「なんでしょう? 金銭的な事でしょうか?」

「その子達をね……EAとEBを変えたあの人にぶつけてみたいのよ、その方が面白くなりそうな気がする」

「ほう? そうじゃな、ショック療法みたいなものかの」

「ええ、未実装地域でゆっくり学ばせるのもいいけれど、最初にぶつけてみて、その後時間を置かせるとどうなるかも見てみたいじゃない?」

「へえ、確かに極端なのんびりは俺の性にも合わねえし、いいぜ、それでいこう」

「面白い話ではありますが……大丈夫ですかね? その方は」

「少なくても変な偏見は持っていないわ。 そのAI達の種族は……そうね、片方をエルフ、もう片方をダークエルフに設定させましょうか。 あくまでそういう種族であると言う設定で、お互いは尊重しあっていて争ってはいないという形にすればいいわ」

「でも、その子がもしEAやEBのようにたらし込んだらもうハーレムが結成されるんじゃない?」

「あの人本人はそういう考えなさそうだけど、それも面白いわね、どうなるか予想がつかないのは楽しいでしょう、皆さんも」

 全員が頷く。

「ではその方向で開発者達に伝えようかの。 その分ボーナスを弾んでやればいいじゃろうて」

「そのボーナス資金は私の財団から出しますよ、私のわがままなのですからね」

「了解だ、じゃあ今日は解散でいいな?」

「ああ、集まらせて悪かったの」
スキル表記はありません。
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