東の砦街にて
駅馬車が東の砦街に到着し、自分を含む3人は馬車を降り、街の門番のほうへ歩く。 入場許可を得て、東の砦街に入るためである。 ルナ○○Ⅱなら、駅馬車で直接街の中に突っ込めたりするのだがこちらではそうは行かない様である。
「ようこそ、東の砦街へ。 申し訳ありませんが、入国許可証を提示願いします」
門番としては、妙に歳をとった老兵がこちらに許可証の提示を求めてくる。 グレイトとリラは許可証を取り出し、自分は指輪を見せる……と、老兵が指輪を見たとたんに固まった。 フリーズでもしたか?
「し、失礼しました、そちらのお二方は問題ございません、どうぞお通りください」
そう言われ、グレイトとリラは街に通される。 あれ? 何故自分は止められた? そんな疑問を抱えていると老兵がこちらに小さく耳打ちをしてくる、「お時間を少々頂けますか?」と。
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そしてここは兵士の駐屯場。 仮眠施設などもあるようだが、あまり周りをじろじろ見るようなまねはすまい。 む、なんか既視感が。 ちなみに老兵は近くの同僚に「少々すまないが、ほんの少しだけ交替を頼む」といって自分をここまで連れてきている。
「お時間を取らせて申し訳ありません、貴方がアース様ですな。 ……私は元、南の砦街の責任者でした」
ああ、そういうことか、道理で妙に一人だけ歳をとった人が門番を何故やっているんだとは思ったが。
「女王陛下に以前仕置きを受けましてな……今更遅すぎる事ではございますが、我が娘による愚かな行為に因る多大なご迷惑をおかけした事、真に申し訳ありません」
──む? 普通に良い人……妖精みたいなのだが。
「それについては別に怒りや恨みなどを、未だに抱え続けている訳ではありませんのでご安心を」
実際、もう殆ど忘れていた。 過去の事柄で憎しみを多大に持ち続けると、何もかも上手く行かなくなるということは、学んできた経験が教えてくれる。 もちろん完全に忘れてもいけない、同じ事を繰り返すのでは、ただの愚か者になってしまうからだ。
「あの時、女王陛下直々の調べが入り、我が娘のしでかし続けてきたことが明るみになるに連れ……、私は甘やかしすぎていたと痛感致しました。 妻を失った悲しみで、忘れ形見の娘を溺愛し、何も見えなくなっていた自分が実にお恥ずかしい限りです」
元領主である目の前の老兵が教えてくれた事だが、なんでもあのバカ娘は、子飼いの私兵達に町の人々が便宜を図るように命令しただけに飽き足らず、飲食関連代金の支払いも大幅に無理やり負けさせたり、街の人達に喧嘩を吹っかけ、怪我をさせていたりしていた様で、かなりの恨みを買っていた。 だからあの時、バカ娘が来たということだけで皆が俺を隠した訳だ。
その上、たまに来るモンスター達の襲撃が起こると、とたんに姿をどこかに隠していたそうだ。 普段は街の中にいても、たまにいる弓や魔法がそこそこ扱える街の人がある程度前線に出て、最前線を支援しに行く事が時々あったそうだが、そこではバカ娘とその私兵の姿を一回も見たことが無かったらしい。
普段は無法者のように暴れて、肝心な時には一切役に立たない。 それでも領主の娘である事と、私兵の数は力であったため、南の砦街の市民は、下手にバカ娘達に刃を向ける事もできなかった。 そう聞くと「何で一斉に襲い掛からないんだ?」と疑問を持つ者も居るだろうが、「じゃあ、あんたが1番前に立って、奴らに襲い掛かる切っ掛けを作ってくれるのか? こっちを簡単に殺せる手段を持つ相手にだぞ?」と言い返されるだろうがな。 また、中央への密書などもことごとく私兵と協力して握りつぶしていたらしい、そういう部分だけは有能であったようだ。
「女王陛下の仕置きの後、それらの事実を証拠を沿えて見せられた時……私は逆上し、娘に始めて剣を向け……女王陛下に止められました。『ここで殺してやれば済むほど、汝の娘とその私兵達の罪は軽くない、償わせねばならぬ』とお言葉まで頂き……私は志願して最下級兵よりやり直すことを願いました」
それが、私がここに居る理由です。 改めて、我が娘によるご迷惑をおかけした事を詫びますと老兵は頭を下げた。 それから、兵の駐屯場から東の砦街への門に再びもどり、入場手続きを行ない、ようやく東の砦街へと足を踏み入れることが出来た。
南に居たときのやり取りにはそういう裏もあった訳か、だからあんなに私兵がいて街を出ることを妨害しようとしてきたわけだ……やれやれ、どこの世界にも悪事にのみは有能な奴ってのは居る者だが、こっちの世界にすら居るとはな……そういや、西に送り込んだとクィーンは言っていたが、あいつら改心するのかねぇ。 まあ、しなかったら今度こそ首の上下が永遠にお別れか。
南の砦街の皆はどうしているだろうか。 もう少ししたらあの宿屋でまた酒を一緒に飲みたい物だ。 少々あの時の事を思い出しながら東の砦街へと歩を進める、まずは宿屋探しだ。
スキル
風塵狩弓Lv17 蹴撃Lv22 遠視Lv53 製作の指先Lv56 小盾Lv6
隠蔽Lv41 身体能力強化Lv32 義賊Lv26 鞭術Lv37
妖精言語Lv99(強制習得)(控えスキルへの移動不可能)
控えスキル
木工Lv39 鍛冶Lv40 薬剤Lv43 上級料理Lv11
ExP 4
所持称号 妖精女王すら魅了した者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者
二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人

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