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とあるおっさんのVRMMO活動記 作者:椎名ほわほわ

難所もいつかは攻略される

 弓の強化も行い、補充も済ませ、いざ妖精国に再び向かおうか、と準備を整えているとインフォメーションが流れ出した。

 ──緊急インフォメーション 皆様、此度はワンモア・フリーライフ・オンラインをお楽しみ下さり真にありがとうございます。 ただいま、死者の挑戦状のシークレットボスの内の一体が撃破され、イベントが完了した事を確認しました。 よって、ただいまより武器のカテゴリーに新しく『トンファー』が追加されました、トンファーは格闘の派生となり、掴み攻撃が出来なくなりますが、その代わり盾の効果と威力が増加されております。 詳しくは公式HPの更新をお待ち下さい。 繰り返します…… ・・・


 ふむ、新しい武器が開放されたか……あの迷宮へと挑戦を繰り返している猛者がまだ居たのか。 だが、今回のインフォメーションはさらに続きがあった。


 ──そして、これをもちまして騎士剣、トンファー、ハルバード、スネークソード、大太刀、和弓の6つが開放され、その6つを封印していた死者が完全に浄化されました。 これにより21名の開放者限定イベントが開始されます。

 このインフォメーションが入った後に、女性の声が世界に流れ始めた。

『皆様、死者の迷宮にて、長き時間苦しみ続けた者達の魂を開放して下さり、ありがとうございました。 私はこの死者の迷宮を元、管理していた巫女でございます。 元々は唯の墓場だったのですが、何時しか怨念が溜まる場所へと変化し、私をも取り込まれ、迷宮へと化しておりました。 ですが皆様のお陰で特に強大であった6つの怨念が開放された為、私の魂も解放されました。』

 そういうバックストーリーが存在していたのか。

『迷宮を支えていた怨念は、現在も浄化され続けております。 後2週間も過ぎれば完全に浄化され……支えがなくなった迷宮は、自然に崩れ去るでしょう。 そのときに私もようやく天に帰る事が出来ます……ですがその前に、特に怨念の浄化に貢献して下さった21名の開放者の皆様に報奨をお渡ししたく声を掛けさせて頂いております』

 1~6人PTで各それぞれのシークレットボス撃破で合計21名か。

『ですが、その報酬は残念ながら10個しか用意が出来ませんでした。 故に、21名の皆様でPvP戦闘を行なっていただきます。 強き者の勝利の雄叫びは、私達にとって最高の慰めとなり、浄化の糧になると言う事も理由でございます』

 また面倒臭い話になってきた。

『開催時刻は貴方達人族の暦で次の土曜、夜9時開催といたします。 会場はネクシアに製作される会場にて行われ、観戦はどなたでも行なえます。 なお、参加の意志を示していただくだけでも、5万グローの参加賞は差し上げます。 この参加賞は参加する意思はあったがどうしても急な都合で参加できなくなった方も例外ではありません』

 この言葉が伝わった直後、自分の目の前にウィンドウが展開された。 【鎮魂のPvP戦闘に参加しますか? YES NO 】と表示されている。

『逆に初めから戦う意思を持たなかった方には……報奨は当然ありませんし、開放者の称号も取り上げさせていただきます。 ご了承下さい』

 この台詞を聞いたとたん、自分はNOのキーを即座に叩いていた。 これ以上目立ってたまるか! 逆に都合が良い! と瞬間的に判断した。

『ルールは、浄化した際に組んでいたPTメンバーがチームとなる方式で、1つのフィールドでひとつのチームが生き残るまで戦っていただきます。 もちろんソロの方から6人PTの方までいらっしゃいますので、人数が少ないPTには強化補正が付きます。 またチームではありますが、その中でチーム得点はとは別に、個人点が付きますのでご注意下さい。 チームが生き残っても個人点が低いと上位10位に入れない可能性は高いです』

 インフォメーションの方で説明が話されているが、それを半ば無視して操作を続ける。

 【確認 開放者の称号が消滅します! また、貴重な報酬を得る機会を永遠に失います! 本当に鎮魂のPvP戦闘への参加を放棄しますか? YES NO 】

 この文章をきちんと確認し、YESを押す。

『そして、報奨の方ですが……ええ!? し、少々お待ち下さい! もうPvPへの参戦を放棄する方が出てきてしまいましたので、確認をさせて頂きます!』

 インフォメーションから伝わって来ていた声が慌て始めた。 そんなに慌てる事かね?

『し、失礼しました。 先に報奨を述べさせていただきます。 プレイヤーの望む武器、望む属性の魔剣、これを3本。 一日一回だけ使え、失われない死者蘇生の魔法薬が3つ。 幻影を発生させて攻撃を避けやすくするマントが2つ。 腕につけることで物理攻撃、または魔法攻撃の威力を上げる事が出来る小手が2つの合計10の装備品が報奨となります。 これらを上位入賞者から選択できる形となります』

 ほう、かなり強力な物ばかりだな。 まああのダンジョンはそれだけきつかったからなぁ。 一番の目玉は死者蘇生の魔法薬だな。

『また、PvP戦闘ではありますが、ポイントで評価されることを改めて申し上げておきます。 露骨に逃げ回って最後まで生き延びたとしても評価点は最悪になり、上位入賞は出来ないでしょう』

 そりゃそうだな、生き延びるためにずーっとこそこそ隠れていて、最後に美味しい所だけ持っていって優勝なんて誰も納得するはずがない。 そんな事を考えていると再びウィンドウが開く。

 【報奨が発表されました。 それでも本当に鎮魂のPvP戦闘への参加を拒否しますか? YES NO 】

 最終確認か、本当に丁寧だねえ。 だが、出たくないのでYESを押す。 イベント製作者には申し訳ないが、もうこれ以上悪目立ちする事は避けたいんだ……。

 【非常に残念です。 宜しければ理由を教えて下さい】

 そこに文字を書き込めるスペースが存在していたので、『目立ちたくないからです』と書いて送信。

 【ご意見を受け取りました、ありがとうございました】

 とウィンドウが開き、そのウィンドウを閉じればもう反応は無かった。 報酬に魅力がないわけじゃないが、自分の戦いをもうあんまり人前でやりたくない。 ギルドのお誘いとかも、当分はお腹いっぱい……。

『……残念です。 個人的に注目していたソロの開放者の方が参加を完全に拒絶しました。 ですので20名によるPvP戦闘と変更される事をご了承下さい。 なお、ソロの方の参加拒否理由は目立ちたくないとの事です』

 おおい!? 何もそんな発表をしなくてもいいでしょうに!? まあいい、自分だとばれている可能性は運営の人達以外には存在しないはずだし、開放者称号も消えたことを確認したから、後はいくらでも誤魔化せる。

『他の20名の方は参加の意志を示されました、では、次の土曜にてお会いいたしましょう』

 この一言でインフォメーションは終了したようだ。 さて、さっさと妖精国に歩いて向かおう……。
バトル描写が面倒だったから不参加にした訳ではありません。
また、トンファーのアーツにキックはありません。

スキル

風塵狩弓Lv16 蹴撃Lv22 遠視Lv53 製作の指先Lv56 小盾Lv6
隠蔽Lv41 身体能力強化Lv32 義賊Lv25 鞭術Lv37 
妖精言語Lv99(強制習得)(控えスキルへの移動不可能)

控えスキル

木工Lv39 鍛冶Lv40 薬剤Lv43 上級料理Lv11

ExP 4

所持称号 妖精女王すら魅了した者 一人で強者を討伐した者 ???

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人
+注意+
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