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とあるおっさんのVRMMO活動記 作者:椎名ほわほわ

せっかく作るのなら良いものを

 長弓の製作をする事になったが、まずは長弓製作の練習をしないといけない。 とはいえ、弓であることに違いはないし、形状も昨日のアヤメさんの弓を直接持って学ぶことが出来ているのはとても大きい。 杖の製作よりは習得が早く進むはずだ。

 とりあえずファストの1番近くにある林エリアから数本1番質が悪い木を数本採ってきて練習用に使う。 本番用のネクシア近辺に生えている木材は数が少なすぎて取りにいけないため、手持ちにある量での一発勝負となるために、練習をしながら本番用の設計図を引く必要がある。

 最初は大雑把に。 当然製作評価は1とか2であるが、今はとにかく作ってみて長弓の大きさと形を覚えることが最優先だ。 その習得で今日のログイン時間を全部潰すつもりなのだから。 30分ほど作り続けて評価が4、たまに5が出始めてきた。 評価がよくなってきたところで、昨日のアヤメさんの長弓を撮影しておいたSSと比べることで形とバランスを整えていく。 さらに30分、製作を始めてから合計1時間たった頃に何とか評価7の長弓が1張つくれた。

長弓

Atk+18

製作評価7

 さすが長弓系、もう火力がそこそこあるのか、素材は最低レベルのものしか使っていないと言うのに。 その分大型で取り回し難いのではあるが。 それは置いておいて、今の感触を忘れないようにもう数張ほど製作してみようか。 そう考えた時だった。

「あの、その弓売ってもらえませんか?」

 そう声をかけられた。 振り返ると弓を持った1人の男性プレイヤーが居た。

「すまないが、これは練習のために作った長弓でね、Atkも18しかない長弓だ。 今出回っている長弓を買いに行った方が良いぞ」

 そういうと、「そうですか、失礼しました」と言って立ち去っていった。 直接工房に来て買おうとする人も居るのか……露天などに並ぶ前なら値引き交渉も出来るからか……?

 そんなことはどうでもいいかと頭を2、3回ほど振って思考を切り替え、また製作に取り掛かる。 次は手元にまだ残してあった森エリアの固い木を左右に配置し、過去に作った試作型木材結合弓のイメージで作ってみることにした。 弓系統である以上こういった部分は共通しているはずだ。 削りだし、磨いて結合し、弓としての形を整える……過去に苦労した経験で、耐久力などを維持する為のバランス等は頭と手にしっかりとインプットされているような物だ。

試作型木材結合長弓

Atk+26

製作評価6

 ふむ、長弓製作の経験不足による修正で評価が落ちるか。 が、これを詰めて評価8にもっていけば
Atk+30台に恐らく乗るだろう。 とはいえ今日はそろそろ寝よう、続きは明日だ。

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 そして翌日。 森に出向いて数本ほど木を入手し、昨日作った試作型木材結合長弓の評価を高めるため細かい詰めの作業を念入りに行なう所からスタートする。 結合部分の補強、バランスの見直し、弓全体の形などを何度も練り直す。

試作型木材結合長弓

Atk+30

製作評価8

 よし! とついつい小さくガッツポーズをとってしまった。 これでようやく次の段階に進める。 お次は2本の半楕円状の溝を弓の前方に掘っていく。 この溝に楕円状を縦半分にしたような形のライトメタルを2本埋め込んでて結合させる方法をとる事で、外装のように包まなくてもライトメタルのしなりを利用できる。 もちろん包み込んだときより量も少ないから効果も落ちるだろうが、手持ちのライトメタルの量ではそれが精一杯なのだ。

 溝を刻んだあと、その溝の深さと長さに合うようにライトメタルを加工し、組み合わせを試すために鍛冶場に向かい、手持ち最後であるライトメタルインゴットを炉に入れて軟らかくしていく。 そこから型に流し込み、下は楕円、上は平らと言う長く細めの棒を作る。 失敗は許されない、在庫がもうないのだから。

 しばらく経過してある程度固まったことを確認。 型から取り出し、もってきた結合長弓の2つある溝にそれぞれはめ込む。 多少のずれがあったので叩いて馴染ませ、はめ込みなおし、上下に鋼鉄の止め具で支え、間隔を開けた鋼鉄の止め具を配置して補強し、細い鋼鉄の糸できっちりと補強してから、その上に弓の持ち手を作った。

試作型木材結合長弓 ライトメタルライン補強

Atk+38

製作評価7 耐久減少

 38まで攻撃が上昇した。 耐久が減ったのは木の質が粗悪だから、多数の改造に耐えることが出来なかったのだろう。 だが本番用のネクシア周辺に生えていた木なら、X弓と言う無茶な改造しても耐久減少の文字は出ていないから問題ないはずだ。 外見は左右に薄い黒い木、中央に白い木の木材の色、中央の白い木材に2本の青いライトメタルのラインが縦に2本入り、それを押さえるための鋼鉄の止め具が、弓の中央から見て上下に2つ付き、弦を張る部分も鋼鉄製の止め具が配置されている弓となった。 肝心の重量も、自分のX弓に比べればはるかに軽い、これなら多分問題はないだろう……。 本番となる仕上げは明日だ。

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 今日で売るための弓を仕上げよう。 昨日までの試行錯誤で設計図レシピも完成している。ただメインの木材部分はライトメタルの棒を埋めるのでやや厚く切り出すことにした。 取って置いたネクシア周辺木材の良い部分を使用し、今までの苦労で出来上がった設計図の通りに切り出して組み立てて行く。 木材部分がまずは完成し、具合を確かめる。 変な音がしないと言う事や、ずれがないこと、弓の前方に掘ったライトメタルをはめ込む溝などを確認し、木材に品質劣化を抑えるための薬を塗ってゆく、この薬は最近売り出されたものである。

 土台の弓が完成したので、次はライトメタルや鋼鉄を配置していく。 薬が乾いてからライトメタルを嵌めこみ、補強具を配置し、弓の上下に止め具と弦を張るための機能を兼任する鋼鉄のパーツも配置。 止め具は銀メッキを施して少しでも美しく仕上げ、無骨さを少しでも消すようにした。 持ち手部分は昨日の様に鋼鉄の糸をしっかりと巻きつけて補強し、その上から直接手で持つ部分を製作した。 製作にかかった時間は長かったがこれでようやく完成だ。

木材結合式長弓 ライトメタルライン

Atk+47

製作品質7

 攻撃力が40代後半に届いた。 当分使っていくには十分なレベルのはずだ。 これで本当に手持ちのライトメタルと良質の木材は使い切ってしまった。 8万どころか15万ぐらい取りたい気分だが約束を違える訳にも行くまい。 売るのは明日だ、流石に精神的に疲れたので今日は寝よう……。
弓製作だけでいっぱいいっぱいでした。

風塵狩弓Lv16 蹴撃Lv22 遠視Lv53 製作の指先Lv56 ↑1UP 小盾Lv6
隠蔽Lv41 身体能力強化Lv32 義賊Lv25 鞭術Lv37 
妖精言語Lv99(強制習得)(控えスキルへの移動不可能)

控えスキル

木工Lv39 ↑3UP 鍛冶Lv40 薬剤Lv43 上級料理Lv11

ExP 7

所持称号 妖精女王すら魅了した者 一人で強者を討伐した者 開放者 ???

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人
+注意+
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