【マレーシア機撃墜から1週間】 旅客機の下でミサイル爆発 空中で破壊、四方に飛散/暗号名は「悪魔」
夏休み、帰省、国際学会―。さまざまな目的の乗客283人と乗員15人を乗せてオランダ・アムステルダムからマレーシアのクアラルンプールを目指した機体は、離陸から約4時間後の午後5時(日本時間同11時)ごろウクライナ東部に差しかかっていた。政権部隊と親ロシア派武装組織が4月以降、戦闘を続けている地域だ。
親ロ派は政権側軍用機へのミサイル攻撃を繰り返し、既に10機以上を撃ち落としていた。14日には高度6千メートル超を飛行中のウクライナ軍輸送機アントノフ26も撃墜。ウクライナ航空当局は同日、同空域で民間機に約9800メートル以下を飛ばないよう要請。マレーシア機は1万メートル超を飛んでいた。
緩やかに起伏する大地の片隅で、レーダー車両を従えた移動式ミサイルシステム、ブク地対空ミサイルが上空をにらんでいた。現場はロシア国境から20キロ弱。欧米やウクライナは、ロシアからブクを得た親ロ派組織が操作していたとみる。
| 22日、ウクライナ東部のマレーシア機墜落現場で、機体を調べるマレーシアの捜査官(ロイター=共同) |
ミサイル発射を命じたのは「ベス」(悪魔)の暗号名を持つイーゴリ・ベズレルという男だとウクライナ情報機関はみる。
「片翼はなく、きりもみ状態で落下した」「黒い破片が雨のように降ってきた」。目撃者はこう振り返る。機体の破片や遺体は約15キロ四方に飛散。乗客の旅行ガイド本やみやげ、子供のおもちゃも大地に投げ出された。
ウクライナ保安局が電話盗聴記録として公表した録音によると、撃墜から20分後、親ロ派武装組織指揮官がロシア軍情報将校に「われわれは飛行機を撃墜した。機体捜索と写真撮影に向かっている」と報告した。
その直後の別の「盗聴記録」では、親ロ派組織メンバー同士が「飛行機は空中でばらばらに破壊された。民間機なのはほぼ100パーセント確実だ」などと会話。誤爆の可能性が浮上した。
午後5時58分、ロシアのインタファクス通信が航空関係筋の話として「マレーシア機墜落」を至急電で伝えた。(共同=小熊宏尚)
(共同通信)