数年前、ある患者団体の会合を取材した
数年前、ある患者団体の会合を取材した。体のだるさなど慢性症状を緩和しようと、さまざまな民間療法を試してきたことを、お互い笑い話で紹介していた。
進んだ現代医療も完璧ではなく、不信感を抱く人は少なくない。だが、科学的根拠が薄い治療法も高額だったり、効果が疑わしかったりする。
最近、「『ニセ医学』に騙(だま)されないために」という本が出版された。内科医の著者が、抗がん剤やワクチンをめぐる誤解を解き、怪しい治療法や健康法を批判している。医学論文や疫学データを基に論じているが、文章は分かりやすい。病気にかかると誰もが不安になるだけに「(周囲の)動機が善意であったとしても、医療に関する不正確な情報を拡散することは患者さんの不利益になる」という患者本位の姿勢に納得した。
著者のブログ「NATROM(なとろむ)の日記」には時折、福岡在住ならではの話題が載っている。 (根井輝雄)
=2014/07/27付 西日本新聞朝刊=