関根和弘
2014年7月27日07時50分
宮崎駿さんのアニメ映画「風の谷のナウシカ」に登場する飛行装置「メーヴェ」をモデルにした小型飛行機が、27日に北海道滝川市で開かれるイベントで展示される。制作したのは東京の芸術家、八谷和彦さん(48)。きっかけは11年前に起きたあの戦争だった。
「キーン」というジェットエンジンの音を響かせながら、カモメに似た形の飛行機がふわりと飛び上がる。ヘルメットをかぶった八谷さんが機体の上にうつぶせで寝そべり、微妙な体重移動で操縦する。
24日早朝、滝川市中島町にある「たきかわスカイパーク」の滑走路で、テスト飛行が繰り返された。3日後にここで開催される「サマースカイフェスタ2014」で展示される。
「M―02J」。そう名付けた飛行機は幅9・6メートル、全長2・7メートル、重さ89キロ。「風の谷のナウシカ」のヒロインが乗る「メーヴェ」に似せてつくった。
制作のきっかけは2003年に始まったイラク戦争だ。「イラクが大量破壊兵器を持っている」と主張し、米国が攻撃。ほかの国々が反対する中、日本の小泉純一郎首相(当時)は支持を表明した。結局、大量破壊兵器は見つからず、イラクはその後、混乱の時代に突入する。
米国とイラクの戦いに巻き込まれていく日本。この構図が、当時読んでいた「ナウシカ」の漫画版に登場する列強2国と、両国の戦いに引きずり込まれる小国「風の谷」に似ていると八谷さんは思った。「日本政府の対米追従ぶりに危機感を持った。そして、ナウシカならきっと平和的な解決の道を探るだろうと思い、ナウシカに希望を託す意味で制作を決意した」と振り返る。
当初は5年ほどで完成すると考えていたが、10年以上かかる大がかりな計画になった。かかった費用も1億円弱に上る。八谷さんが仲間と一緒に設立した会社の研究開発事業と位置づけ、そこから資金をまかなうなどした。来年までには、もう少し高く飛んで計画を完結させる予定だ。その後は、海外も含めて各地で機体を見せたいという。
サマースカイフェスタ2014は入場無料。問い合わせは会場のたきかわスカイパーク(0125・24・3255)へ。(関根和弘)
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