■パソコン依存は現場力ダウン?
「パソコンに接する時間が長くなると、社員の現場力や営業力、コミュニケーション能力が失われいくのではないか…」。サントリーHDの佐治信忠会長兼社長はこの種の危機感をずっと持っていたという。
こうした問題提起を受けて、社内で立ち上がったITの活用方法について検討するプロジェクトチームがプレミアムタイムの導入を決めた。
サントリーHDの担当者によると、プレミアムタイムは「コミュニケーションをとったり、現場を体感したりするための時間」に充てるという。「ITとアナログのバランスがとれた、創造的で効率的な仕事」をしてもらうのが目的だ。
「仕事が非効率になり、水曜日の残業が増えるのではないか」と疑うところだが、実際は「趣旨を理解し、むしろ時間を有効活用している。アナログの大切さが見直されている」(担当者)という。
ITの有効性は否定できない。しかし「メールで意図が正しく伝わるとはかぎらない。仕事は結局、対面によるコミュニケーションで成り立っている」(関係者)。サントリーHDはそんな“基本”へ立ち返ろうとしているのだ。
京都府精華町で建設が進む研究開発拠点「サントリー ワールド リサーチセンター」。鳥井信吾副社長は5月の起工式後、「新しい発想は領域と領域の接点で生まれる」と強調した。通信や環境関連など企業や大学が活発に、直接“顔を合わせる”ことを期待する。ここでも基本は生きている。