20110203(Thu)
■[COMIC]フランス・コミック界伝説のSF大作、『アンカル』を読むべし。

■L'INCAL アンカル / アレハンドロ・ホドロフスキー、メビウス
- 作者: アレハンドロ・ホドロフスキー,メビウス
- 出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクション
- 発売日: 2010/12/21
- メディア: 単行本
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R級ライセンスを持つさえない私立探偵ジョン・ディフールは、ひょんなことから宇宙の命運をつかさどると言われる謎の生命体“アンカル”を手に入れる。アンカルをめぐり、政府、ゲリラ組織、宇宙征服をたくらむ異星人など、さまざまな思惑が交錯し、ジョンは図らずも光と闇をめぐる壮大な宇宙抗争に巻き込まれていく。はたしてジョン・ディフールの運命は?カルト映画の巨匠ホドロフスキー原作!フランス発、衝撃のスペースオペラ・コミックがついに登場。
メビウスといえばフランス・コミック(バンドデシネとかBDとか言われますな)の大御所中の大御所であり、大友克洋をはじめとする日本のコミック界に多大なる影響を与えたアーティストである。また、映画「エイリアン」のコスチューム・デザイン、「フィフィス・エレメント」のコンセプト・デザインも手掛けた優れたデザイナーでもある。そしてアレハンドロ・ホドロフスキーといえば泣く子も黙るカルト・ムービー中のカルト・ムービー『エル・トポ』、そして『ホーリー・マウンテン』を監督した男だ。
ホドロフスキーはSF映画『デューン』(デヴィッド・リンチ作品とは別物で1974年に企画され、音楽はピンク・フロイド、デザイナーにH・R・ギーガー、さらにミック・ジャガーやオーソン・ウェルズ、サルバドール・ダリの出演まで予定されていた。特撮担当だったダン・オバノンはこの時のメンバーを集めて『エイリアン』を製作した。この時の数々のデザインはここで見ることが出来る)の映画化を企画していたが頓挫、そしてその時デザイナーとして抜擢されていたメビウスと出会い、その後の交友からホドロフスキー原作、メビウス画で生まれたSFコミック、それがこの『アンカル』なのである。
『アンカル』は1980年からフランスのコミック誌『メタル・ユルラン』で連載を開始され、1988年に最終巻が刊行されることで完結した。メビウスは1日1ページのペースでこの『アンカル』を描き続けた。8年の歳月を掛けて完成したこの作品は、ホドロフスキーの神秘主義とメビウスの卓越したセンスにより描き出されたグラフィックによる、銀河を股に掛けた眩いばかりのスペース・ファンタジー大作なのだ。
『アンカル』の大雑把なお話はこんな感じ。高次の精神生命体【アンカル】を手に入れた冴えないおっさんジョン・ディフールは、異星人だのロボット大統領だの邪悪な宇宙教団だのに追われ銀河中を飛び回るが、その中で様々な仲間たちと出会い、そして銀河が今、究極の破壊者【闇】の手によって滅ぼされようとしていることを知る。ジョンと仲間たちは【アンカル】の【光】の力を借りながら、宇宙全てを覆いつくそうとする強大な【闇】と戦うことを決意するが…いや、このおっさんジョン、ホントは決意も何も、面倒なことに巻き込まれているのが鬱陶しくて堪んなくて…こんな頼りないおっさんに銀河の平和を守ることが出来るのか!?
宇宙の平和の為に命を懸けて戦う仲間たちとは裏腹に、終始うんざりしながら嫌々仲間の後を付いてゆく主人公ジョンのダメさ加減が人間臭くていい。しかもこのジョン、いつも銀河娼婦を漁りたくて堪んないスケベオヤジ!しかし何故かいつもここぞ!という時に限ってジョンばかり頼りにされる。舞台は人類で溢れかえる異星の都、地底世界、黄金惑星、海洋惑星、武装人工星、原初女王が次なる種を選別する星、輝ける精神世界、その他あまたの星と場所と空間を巡り、人類、ヒューマノイド、ロボット、異星人、精神体、クリーチャーが所狭しと画面に溢れ、宇宙船が飛翔し、宇宙要塞が鎮座し、機械化された秘密基地に破壊光線が飛び交い、肉体は変容し、光と闇の狭間で精神体が舞う。およそスペース・オペラで出現するありとあらゆるものが網羅され、しかしそのテーマはスピリチュアルなものへと昇華してゆく。
オレがこの『アンカル』を読んでまず思ったのは「これは『スター・ウォーズ』だ」ということだ。ファンタジー・ストーリーに『指輪物語』があるならSF映画に『スター・ウォーズ』があり、そして同様にスペース・オペラ・コミックに『アンカル』がある、と言ってもいい程の膨大かつ濃厚な物語と圧倒的なビジュアル。『アンカル』の物語はスペース・オペラであるという部分で『スター・ウォーズ』と似ている、と言ってしまえば実も蓋もないのだが、その卓越したビジュアル・センスと自由かつ奔放な想像力、そして細部までしっかりと作りこまれた魅力溢れる世界観、といった点で『スター・ウォーズ』に通じるものを感じたのだ。完成後20年余りを経てようやく日本語版でその全容が明らかにされた文字通りフランス・コミック界における畢生の大作『アンカル』、刮目して読むべし。
- 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
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