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KOIL(柏の葉オープンイノベーションラボ)

【開催レポート】- CCC代表 増田氏、武雄市長 樋渡氏、柏市長 秋山氏 登壇! - 体験を創造する未来の街づくり

ロフトワークは2014年6月28日、人々に新たな体験を提供する地域文化拠点を題材に、未来の街づくりを考えるセミナーを開催。オープン以来多くの人で賑わう「代官山T-SITE」や「武雄市図書館」は人と街にどのような変化をもたらしているのか。立役者であるカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社代表取締役社長兼CEOの増田氏をはじめ、武雄市長 樋渡氏、柏市長 秋山氏という豪華な顔ぶれを迎え、そのワクワクするチャレンジの裏側に迫りました。

街の力=市民の力。小さなアメーバーみたいなユニットが増殖して街を盛り上げる

セミナー会場となったのは、千葉県柏市に誕生した地域文化拠点、柏の葉オープンイノベーションラボ「KOIL」。公民学連携を謳う柏の葉地域は、柏市の街づくりのあり方が体現された象徴的なエリアのひとつです。

 柏市 市長 秋山 浩保氏柏市 市長 秋山 浩保氏

柏市長の秋山浩保氏はオープニングトークの冒頭で、「いい街って何?見た目がかっこいいこと?」と問いかけ、「街の力=市民の力。大勢の熱いハートを持った市民が、文化を育て、イベントを創り上げ、問題を解決していく。そんな小さなアメーバーみたいなユニットが増殖して、街の力につながっていく」と強調。

●プロジェクションマッピング
柏駅前でそごう柏店の壁面に光の舞台を作り出し、1万数千人が来場。警備や宣伝などを含め運営の中心は市民。
●柏市民芸術祭
税金を一切使わず、観る人が楽しめるイベントとして市民団体が企画し、有料で開催。
●ユルベルトKASHIWAX
柏市内150店以上のお店を食べ歩きできる企画。店のオーナーが協力し合って企画。
●かしわ街ごとキッザニア
170店舗で、子どもたちの職業体験イベントを開催。税金は一切使わず、街の経済団体が協力し、市民自らが企業をくどいて実現。
●まちのクラブ活動
家でも会社でも学校でもない、もうひとつのコミュニティ。住民の「あったらいいな」をクラブ活動として企画。

さらに、2016年の完成に大きな期待がかかるのが、「柏の葉T-SITE(仮称)」。「代官山T-SITEも本当に美しい。美しさは理由なく人が集まるきっかけになる。柏の葉T-SITEも、なんとなく集まって、なんとなくいろんな会話が行われるうちにアイデアが生まれ、問題意識を持った市民がじゃぁやろうよ!と立ち上がる。そんな場所になるだろう」と秋山氏。

最後に、「生活する上では損得も大事だけれど、それ以上に大事なのは、この街でいろんなことに関われる仲間がどれだけいるか。これから出来る柏の葉は、そういう匂いのする街。2年後にT-SITEが出来、数年後にはイキイキとしている人で溢れている。そんな街でありたい」と熱く語りました。

時代の変化を捉え、リアルなプラットフォームのイノベーションを実現

続いて、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(以下、CCCと略)の増田宗昭氏が登壇。はじめに、「1985年に企画会社として創業して以来、文化の基盤(カルチュア・インフラ)を提供するような企画を考えることをミッションとしてきた」と増田氏。

カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 代表取締役社長兼CEO 増田 宗昭氏カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 代表取締役社長兼CEO 増田 宗昭氏

たとえば、函館蔦屋書店は、ライフスタイルを提案するためのメディアとして本という商材を使い、武雄市図書館は、アーカイブ的な本だけでなく新しい書籍や雑誌も買えて、スタバのコーヒーを飲みながらすべての本が読める。映画や音楽も視聴できる。そんな挑戦をしたら、TSUTAYAは日本で一番の本屋になり、来館者の少なかった武雄市図書館は、日本三大公共施設と言われるまでになりました。今後も、企画会社としてイノベーションを進めていきたいと思います。

函館 蔦屋書店函館 蔦屋書店

では、企画会社として仕事をする上で、どんなことを考えているのでしょうか。捉えるべきは、次に示すような「時代の変化」だと言います。

●人口クラスタの変化
戦前から人口構成が大きく変化しており、若年人口減少への対応として、若い人だけでなく、団塊世代前後のプレミアエイジを意識する必要がある。一方で、労働人口が減り、一人当たりの所得も減っている現実があり、低所得者層の存在も無視できない。それぞれの人に対応する総花的な戦略がポイントになるだろう。

●提案力の時代
戦後のモノがない時代から、モノがあふれる時代へ。さらにはプラットフォーム(モノを得られる場)があふれる時代に来ている。もはやプラットフォームに価値はなく、顧客価値は何なのか、“これがいいよ!”と教えてくれる提案力が必要とされている。 「たとえば代官山T-SITE。本には生活提案力がある。このことは30年前からわかっていた。家具や服を選ぶ場所はあっても、生き方を選ぶ場所がない。自己実現欲求のサンプル探し。それが本屋」(増田氏)

そして今、CCCでは、2016年秋オープンに向けて「柏の葉T-SITE」の計画が進んでいます。「日本人が思う以上に、世界中の人に東京はすごいと思われている。20年後のオリンピックに向けて、東京の役割は“企画”になる」と語る増田氏は、インターナショナル性とクリエイティブの2つをキーワードに、次のイノベーションを考えているようです。

空間にポテンシャルがあると、必ず人は集まってくる!

第3部では、「武雄市図書館」で一躍有名になった武雄市長の樋渡啓祐氏が加わり、増田氏、モデレーターを務めるロフトワーク林千晶の3名によるインタラクティブセッションを実施。セッションを前に、「私はいつ刺されてもおかしくないので、これが最期のプレゼンになるかもしれない」と、独特の語り口で会場を笑いの渦に巻きこんだのは樋渡氏です。

武雄市 市長 樋渡 啓祐氏武雄市 市長 樋渡 啓祐氏

樋渡氏は、映像を通してこれまでの取り組みを駆け足で紹介した後、中でも話題の「武雄市図書館」に触れ、「自分の地域にある図書館がいいと思っている人はいる?いないよね」と指摘。「図書館はいつ行っても閉まっていて、カビ臭いし、しゃべったら怒られる。税金を払っているのになぜ怒られるの?だったら自分たちが行きたい図書館を作ろうというのが最大のコンセプト」と説明しました。

武雄市図書館武雄市図書館

そこで善は急げ。CCCの協力を取り付け、5ヵ月という速さで実現に漕ぎ着けた図書館は、13ヵ月で来館者100万人を達成。「地方とか地域とか言い訳にならない。本当にいいものがあれば人は来る」と樋渡氏。さらに、「高齢化率に歯止めがかかり、まもなく図書館の近くにマンションが3本建つ予定。これは、図書館が街づくりのエンジンになっている証拠。空間にポテンシャルがあると、ヒト、モノ、カネを呼び込むことができる」と語りました。

「CCCの協力なくして今の武雄市はない」と言い切る樋渡氏の言葉を受け、インタラクティブセッションは、CCCと武雄市長との出会いのエピソードでスタート。途中、秋山氏も加わり、個性的なメンバーによる刺激的なトークが繰り広げられました。その一部を簡単にご紹介します。

インタラクティブセッション 「地域文化拠点のこれから」

Q:同じデータから、なぜ他とは圧倒的に違う企画が生み出せるのか?

増田氏:企画を売らないと生きていけない。徹底的に追い込まれれば、常にその立ち位置でモノを見られる。さらに、売り手ではなく買い手の気分で考える。樋渡市長の素晴らしさも、管理者目線ではなく、市民の代理人として“こうあったらいいな”という見方ができる点。
樋渡氏:顧客価値を標榜する企業、それがCCC。顧客価値を市民価値に置き換え、何をやるにも顧客として組み立ててきた。それから、世の中失敗例のほうが多いのだから、失敗例を学んで失敗するくらいなら、成功率の高いものを追う。成功からしか学べない。

Q:地域の可能性についてどう考える?

増田氏:オリンピックが決まり、都会はどんどん面白くなる。一方、地域は人口が減る一方で、再生のストーリーがないと未来はない。いいものが生まれる環境はクラウドコンピューティングに例えられる。市民がハードディスクになってモノを考え、市民のハードディスクを活用していくイメージ。それが出来ているのが柏市。
樋渡氏:プラットフォームが大事。居心地のいい場所や空間を作ると必ず人は集まってくる。
秋山氏:オフィスはあっても、なにかやりたい!という市民が集まる場所がない。街づくりをする人たちの事務所のようなものが必要。

Q:柏の葉の未来をどう考える?

増田氏:居心地が重要なポイント。本堂が蔦屋書店だとしたら、本堂までの参道がすごく大事。建物じゃない。建物と建物の距離感、高さと日陰の関係、見上げたときの空の見え方。柏の葉も、そういう光と目線を考慮した風景を作らないといけない。訪れた人の1分目の気分、3分目の気分をいうのを考える必要がある。
樋渡氏:規制がかかったら対案を示して市民に選んでもらえばいい。そういう意味で、勘に頼るのではなく、いいね!の数で可視化できるfacebookは有用。
秋山氏:いろんな形で面白い街づくりができてくると思う。5年くらい経ったときに、どんな街になっているか、ぜひ注目していただきたい。

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