さて、しんがりは豊臣秀吉演じる麿 赤兒さんの登場です。今回の秀吉のテーマカラーは朱色。衣裳にもメイクにも、赤や朱色が効果的に使われています。衣裳は、胴服に鳳凰の柄の入った豪華な羽織。秀吉ならではの桐の家紋も入っています。物語が朝鮮出兵の時代の話となるので、その世界観を生かすために素材に西洋のものを使ったり、洋風の柄を入れてみたりもしているそう。重厚感もあり、ひたすらゴージャス!

メイクを終えた麿さんは「メイク中に顔をマッサージしてもらったから、なんだか気持ち良くなって眠くなってきちゃったよ」と、ニコニコとやわらかな雰囲気。しかし、さらに準備が整い、秀吉さが増していくと「麿さんの秀吉、これはホントに間違いない感じですねえ!」「一体、いつの時代からいらしたんですか?」とその完璧な雰囲気づくりに、各スタッフたちも納得の表情を見せています。

撮影がスタートすると、まずは河野さんが「目の前をうろちょろ飛ぶハエを睨む感じでお願いします」と注文を出すと、目をギョロッとさせてレンズを睨む麿さん。さすがの目ヂカラ、迫力満点です。続いて「怒鳴りつける感じで」と言われると、言葉にならない奇声を発しながら表情を作る麿さんに、野波さんも「そう! その感じ!」と手応え十分の笑顔で応えます。


仁王立ちをしたり、椅子に軽く座ってみたり、小道具の金色の扇をパタパタさせたり、とさまざまなパターンで撮影は続きます。この金の扇にちょうど照明の光をうまく反射させるように微調整すると、今度は「この、たわけ者が〜!という感じで」と河野さんがリクエストし、だんだんノってきた麿さんも「たわけ者!」だけではなく「ガー!」「フワ−ッ!」「ググー!」「チャー!」「キェー!!」などなど、独特の不思議なかけ声を上げながら撮影を続けていきます。



目に光が映るくらいのアップの顔を撮る際には、目を見開いたり、口をガーッと大きく開けたりと激しい表情を撮っていると、野波さんが「次は逆にクールな表情も撮りたい」と言い、冷たく静かな表情でも撮影。「うん、カッコイイ!」とOKが出ると、さらには「じゃ、今度はにっこり笑って」との指示が。すると、あっという間に怖い表情から一転、ニカッと笑顔になる麿さん。野波さんが「あれ、ちょっとかわいくなりすぎた?」と聞くと、河野さんは「いやいや、これもまたいいよ!」となんだかうれしそう。


そしてラストカットで、コミカルな表情を撮るときには「ここでは秀吉ではなく、麿さんの素の表情でいいので」と説明を受けると、「そう言われてもなあ?」と麿さんは複雑な表情。それでも1ショットごとに、笑ったり、怒ったり、クールにキメたり、舌を出したり、といろいろな表情に果敢にチャレンジしていきます。「超カッコイイ! OKです!!」と撮影はひととおり終了。

と、そこでなぜか風船ガムをふくらませることにも挑んでみることにした麿さん。大きな風船にするために、5枚ものガムをいっぺんに口に含んでしばらくクチャクチャ…。さて、いよいよ膨らませようとしたその瞬間、なんとそのガムはぽろりと床へ! その絶妙なタイミングと間にはご本人を含めその場にいた全員が笑うしかなかったのですが、しかし残念ながら幻のカットとなってしまったのでした。
麿さんにも、撮影の感想をお聞きしてきました。
――この舞台への出演が決まった時の感想は。
その、あくる朝から走り出しましたよ。体力が相当いるらしいという噂をずっと聞いていましたからね。死んでもいいかというくらいの気合いを入れていかないとイカンと思って。だから今はこれならなんとかいけるかなあーって、はかっているような状態ですね。全体のノリではもう、いけると思っていますけど。
――体力をバッチリつけて、臨もうと。
そうです。おかげで、かえって元気になりましたよ。なんせいつも、ヒマですからね。寝てばかりの毎日だったので。 ――え、でもふだんもお身体は鍛えていらっしゃるのでは? まあ、踊りをやっていますからね。それはそれで動かしていますけど。セリフを言いながらというのは久しぶりなもんですからね。だって、ただブツブツ言ってればいいってもんじゃないですから。
――やはりちょっと勝手が違いますか。
そりゃ、そうですよ。やっぱり舞台も2000人くらい入る大舞台ということを想像すると、大変なことだなーと思いますからねえ。さらに、きちんとセリフも覚えなくちゃいけないわけですからね。
――秀吉役を演じることについては。
うん。面白そうだなあと思いましたよ。他の武将たちに比べると、役づくりが自由な感じがしましてね。イメージがなんか多彩な感じがするじゃないですか。たとえば家康や信長だとなんか決まったイメージがあって、あまりふざけたことをやると「家康はあんなじゃない」とか「そんなおちゃらけた信長はいないよ」って怒られそうだけど。それに比べると、秀吉さんはなんやらもっと自由な感じがしてね。楽しくやれそうな感覚があります。
――今日の撮影は、いかがでしたか。
いや〜、なかなか面白かったですよ。「ああ、いいですね、いいですね!」ってホメられると、豚も木に登るというか。「おぉ〜」って思って、一生懸命やらせていただきました。役者なんて、そういうもんです。はい、楽しみました。

メイクを終えた麿さんは「メイク中に顔をマッサージしてもらったから、なんだか気持ち良くなって眠くなってきちゃったよ」と、ニコニコとやわらかな雰囲気。しかし、さらに準備が整い、秀吉さが増していくと「麿さんの秀吉、これはホントに間違いない感じですねえ!」「一体、いつの時代からいらしたんですか?」とその完璧な雰囲気づくりに、各スタッフたちも納得の表情を見せています。
撮影がスタートすると、まずは河野さんが「目の前をうろちょろ飛ぶハエを睨む感じでお願いします」と注文を出すと、目をギョロッとさせてレンズを睨む麿さん。さすがの目ヂカラ、迫力満点です。続いて「怒鳴りつける感じで」と言われると、言葉にならない奇声を発しながら表情を作る麿さんに、野波さんも「そう! その感じ!」と手応え十分の笑顔で応えます。
仁王立ちをしたり、椅子に軽く座ってみたり、小道具の金色の扇をパタパタさせたり、とさまざまなパターンで撮影は続きます。この金の扇にちょうど照明の光をうまく反射させるように微調整すると、今度は「この、たわけ者が〜!という感じで」と河野さんがリクエストし、だんだんノってきた麿さんも「たわけ者!」だけではなく「ガー!」「フワ−ッ!」「ググー!」「チャー!」「キェー!!」などなど、独特の不思議なかけ声を上げながら撮影を続けていきます。
目に光が映るくらいのアップの顔を撮る際には、目を見開いたり、口をガーッと大きく開けたりと激しい表情を撮っていると、野波さんが「次は逆にクールな表情も撮りたい」と言い、冷たく静かな表情でも撮影。「うん、カッコイイ!」とOKが出ると、さらには「じゃ、今度はにっこり笑って」との指示が。すると、あっという間に怖い表情から一転、ニカッと笑顔になる麿さん。野波さんが「あれ、ちょっとかわいくなりすぎた?」と聞くと、河野さんは「いやいや、これもまたいいよ!」となんだかうれしそう。
そしてラストカットで、コミカルな表情を撮るときには「ここでは秀吉ではなく、麿さんの素の表情でいいので」と説明を受けると、「そう言われてもなあ?」と麿さんは複雑な表情。それでも1ショットごとに、笑ったり、怒ったり、クールにキメたり、舌を出したり、といろいろな表情に果敢にチャレンジしていきます。「超カッコイイ! OKです!!」と撮影はひととおり終了。
と、そこでなぜか風船ガムをふくらませることにも挑んでみることにした麿さん。大きな風船にするために、5枚ものガムをいっぺんに口に含んでしばらくクチャクチャ…。さて、いよいよ膨らませようとしたその瞬間、なんとそのガムはぽろりと床へ! その絶妙なタイミングと間にはご本人を含めその場にいた全員が笑うしかなかったのですが、しかし残念ながら幻のカットとなってしまったのでした。
麿さんにも、撮影の感想をお聞きしてきました。
――この舞台への出演が決まった時の感想は。
その、あくる朝から走り出しましたよ。体力が相当いるらしいという噂をずっと聞いていましたからね。死んでもいいかというくらいの気合いを入れていかないとイカンと思って。だから今はこれならなんとかいけるかなあーって、はかっているような状態ですね。全体のノリではもう、いけると思っていますけど。
――体力をバッチリつけて、臨もうと。
そうです。おかげで、かえって元気になりましたよ。なんせいつも、ヒマですからね。寝てばかりの毎日だったので。 ――え、でもふだんもお身体は鍛えていらっしゃるのでは? まあ、踊りをやっていますからね。それはそれで動かしていますけど。セリフを言いながらというのは久しぶりなもんですからね。だって、ただブツブツ言ってればいいってもんじゃないですから。
――やはりちょっと勝手が違いますか。
そりゃ、そうですよ。やっぱり舞台も2000人くらい入る大舞台ということを想像すると、大変なことだなーと思いますからねえ。さらに、きちんとセリフも覚えなくちゃいけないわけですからね。
――秀吉役を演じることについては。
うん。面白そうだなあと思いましたよ。他の武将たちに比べると、役づくりが自由な感じがしましてね。イメージがなんか多彩な感じがするじゃないですか。たとえば家康や信長だとなんか決まったイメージがあって、あまりふざけたことをやると「家康はあんなじゃない」とか「そんなおちゃらけた信長はいないよ」って怒られそうだけど。それに比べると、秀吉さんはなんやらもっと自由な感じがしてね。楽しくやれそうな感覚があります。
――今日の撮影は、いかがでしたか。
いや〜、なかなか面白かったですよ。「ああ、いいですね、いいですね!」ってホメられると、豚も木に登るというか。「おぉ〜」って思って、一生懸命やらせていただきました。役者なんて、そういうもんです。はい、楽しみました。
文:田中里津子 撮影:田中亜紀