中国で日本人に死刑執行7月25日 14時12分
覚醒剤を日本に密輸しようとした罪で中国で死刑判決が確定していた日本人の50代の男に対し、25日午前、死刑が執行されました。
中国で日本人に対する死刑が執行されたのは、2010年4月に4人に対して執行されて以来のことです。
死刑が執行されたのは、知人の日本人の男と共謀して中国東北部の遼寧省・大連から日本に覚醒剤を密輸しようとした罪で中国の裁判所で死刑判決が確定していた50代の死刑囚です。
政府関係者によりますと、大連市の中級人民法院から大連にある出張駐在官事務所に連絡があり、25日午前、大連の拘置所でこの死刑囚に対する死刑が執行されたということです。
中国で日本人に対する死刑が執行されたのは、2010年4月に遼寧省の大連と瀋陽で合わせて4人に対して執行されて以来で、1972年の日中国交正常化以降、5人目です。
今回の刑の執行については、今月、大連の出張駐在官事務所に対し、裁判所から、近く執行すると連絡があり、日本政府は、北京の日本大使館を通じて中国外務省に対し、「日本の国民感情や邦人保護の観点から、死刑判決に高い関心を持っている」と伝えていました。
関係者によりますと、先週になって家族の面会が許可され、24日、家族が死刑囚に面会したということです。
国際的な人権団体「アムネスティ・インターナショナル」によりますと、中国では、殺人などの暴力犯罪だけでなく、麻薬犯罪や汚職にも死刑が適用されることがあり、去年1年間だけで数千人に対して死刑が執行された可能性があるとしています。
「正常な手続きで刑を執行」
日本人に対する死刑が執行されたことについて、中国外務省の洪磊報道官は書面でNHKの取材に応じ「具体的なことは知らない」と述べました。
そのうえで「中国の法律では死刑制度があるが、死刑の適用は慎重に行っていて、厳格な手続きによって判決を下し、再審理も行っている。中国の司法機関は正常な手続きで死刑判決を受けた犯罪者に刑を執行している」と述べました。
「高い関心あると伝達してきている」
菅官房長官は、午後の記者会見で「死刑を執行したという通知があった。各国がいかなる犯罪にいかなる刑を科すかというのは、それぞれの国の犯罪情勢や刑事政策などを踏まえて決められるべきであり、あくまでも国内事項に関する問題だと基本的には考えている」と述べました。
そのうえで、菅官房長官は「わが国の国民感情や邦人保護の立場から、政府として、今回の件を含め、中国での日本人に対する死刑判決には高い関心を有していることを中国政府に伝達してきている。麻薬犯罪は、わが国だけではなく、国際社会にとって極めて重大な犯罪であり、死刑を含む非常に重い量刑を科している国が多いことは理解しており、国民がこうした犯罪に関わらず、巻きこまれないよう引き続き啓発を行っていきたい」と述べました。
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