沖縄密約文書:不開示確定 最高裁が上告棄却

毎日新聞 2014年07月14日 17時00分(最終更新 07月15日 03時33分)

沖縄密約文書開示訴訟の最高裁判決後、会見で厳しい表情を見せる西山太吉・元毎日新聞記者=東京・霞が関の司法記者クラブで2014年7月14日午後5時21分、藤井達也撮影
沖縄密約文書開示訴訟の最高裁判決後、会見で厳しい表情を見せる西山太吉・元毎日新聞記者=東京・霞が関の司法記者クラブで2014年7月14日午後5時21分、藤井達也撮影

 ◇最高裁判決「請求者に立証責任」

 1972年の沖縄返還を巡る日米間の密約を示す文書について、元毎日新聞記者の西山太吉さん(82)らが国に開示を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は14日、公文書がないとの理由で文書を不開示とされた場合の情報公開訴訟では「行政機関が文書を持っていることを立証する責任は請求者側が負う」との初判断を示し、西山さんらの上告を棄却した。国に開示を命じた1審判決を取り消し、原告側の逆転敗訴とした2審・東京高裁判決(2011年9月)が確定した。

 原告側は、米国で密約があったことを示す公文書が見つかったことなどから国内にも文書があると主張した。1審・東京地裁は10年4月、密約の存在を認めた上で国に文書の開示を命じた。これに対し、高裁は1審同様に密約の存在を認めたが、文書が秘密裏に廃棄された可能性を指摘し「08年の不開示決定の時点で文書はなかった」として請求を退けた。

 小法廷は、今回のように過去に文書があったことを原告側が立証した場合は、「文書の性質や作成経緯などに応じて、不開示決定の時点で文書があったと推認できるか個別に検討すべきだ」と指摘。「外交交渉で作成される文書は保管体制が通常と異なる場合も想定されることも踏まえて判断すべきだ」と述べた。

 そのうえで、密約の存在や、文書を発見できなかったとする国の調査の信用性を認めた2審の認定を踏まえ、今回は「文書があったと推認するには足りない」と結論付けた。

 西山さんは、72年5月に発効した沖縄返還協定の交渉過程で、米側が負担するはずだった土地の原状回復費用などを日本が肩代わりすることにした日米間の密約を報じた。外務省の事務官とともに国家公務員法違反で起訴され、有罪が確定した。

 政府は密約の存在を否定し続けたが、00年以降、密約を裏付ける米公文書が見つかり、外務省の有識者委員会も10年3月に「広義の密約」があったと認めた。

 西山さんらは、日米高官が米軍用地の原状回復費400万ドルや米短波放送の国外移設費1600万ドルを日本が肩代わりすることなどに合意したことを示す密約文書など7点の開示を外務・財務両省に請求。不開示決定の取り消しを求めて提訴した。【川名壮志】

 ◇解説 情報公開の壁高く

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