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【米軍部隊の本土移駐】岩国基地、東アジア最大に 政府、地元に「アメ」62億円 住民は「騒音、治安心配」


 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のKC130空中給油機が岩国基地(山口県岩国市)に移駐を始めた。8月末までに全15機が移り、2017年をめどに空母艦載機59機も神奈川県の厚木基地から転入する予定。数年後には東アジア最大の米軍基地となり、地元からは「市民無視」との批判も上がっている。

 ▽日米防衛の要

 瀬戸内海に面した三角州にある岩国基地。1機目の空中給油機が15日午前11時半ごろ、シュプレヒコールを上げて移駐に反対する市民団体の上を通過し、着陸した。午後には2機目も到着。

 沖縄の過重な基地負担の軽減を理由に、米軍の部隊が初めて沖縄から本土に移った。

 岩国基地には戦闘攻撃機など53機が配備され、勤務する米兵や家族らは5千人を超える。 06年に日米両政府が合意した在日米軍再編計画に基づき、 普天間、厚木からの移駐が完了すれば、所属する米軍機は127機となり、東アジア最大の米空軍基地、嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)を上回る。

 米側は既に、岩国基地に最新鋭ステルス戦闘機F35を配備する方針を表明。新型輸送機MV22オスプレイが沖縄から本土に飛行する際の中継地にもなっている。防衛省幹部は「米軍再編計画で重要度を増した日米防衛の要」と位置付ける。

KC130空中給油機(上)が着陸した米軍岩国基地。周辺には市街地が広がる=15日、山口県岩国市

 ▽補助金

 米軍の拠点化が進む一方、政府は補助金などの「アメ」を使い、地元が受け入れやすいように促してきた。

 空母艦載機受け入れの是非を問う06年3月の岩国市の住民投票では反対が89%に上った。同4月の市長選でも反対派が再選されると、政府は市庁舎建設の補助金を凍結する強引な手段に打って出た。市議会と対立した市長が辞職し、受け入れ容認派の福田良彦市長が当選した直後、政府は補助金を復活させた。

 岩国市への14年度の基地関連の補助金、交付金は総額で62億円。地元選出の岸信夫外務副大臣は5月、福田市長らに空中給油機移駐の説明をした際「広域的な補助金を検討中」とも話した。

 岩国基地近くの女性(57)は「身内が基地内で働いていたこともあり、地元が潤うのは事実。それでも騒音はひどいし複雑」とため息を漏らした。

 ▽ 警戒感

 厚木基地の騒音訴訟では5月21日、横浜地裁が自衛隊機の飛行差し止めを命じる一方、米軍機については「夜間の騒音の大半」と認定しながら、差し止めには踏み込まなかった。

 岩国基地の騒音被害を訴える爆音訴訟原告団長の津田利明さん(68)は「普天間、厚木から岩国に騒音がどんどんやってくる。訓練も実戦的になる」と警戒感を強める。

 加速度を増す岩国基地の機能強化に、周辺に住む別の女性はこう指摘した。「騒音があると若者は出て行ってしまうし、治安も心配。市民を無視して基地だけが大きくなる」

(共同通信)

2014/07/25 21:07

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