慶應ビジネススクール初の女性教員、誕生秘話

外資系広告代理店を経て学問の道へ

 
「プロフェッショナル対談」は、経営共創基盤のマネージングディレクターである塩野誠氏が、次の時代を切り開くリーダーと対談し、キャリアについてのホンネを引き出すコーナーです。第2回のゲストは慶応大学の山本晶准教授。前編、後編に分けてお届けします。プチ動画では、手帳について語っています。今回は前編です。(編集部)

 

想像以上に“数字”が必要だった大学院

塩野:今回は『キーパーソン・マーケティング』(東洋経済新報社)を出版した山本晶先生にお越しいただきました。実は山本さんは私と同じ大学出身でゼミの先輩になるのですが、今日は山本先生とお呼びします。

山本先生は、今、慶應ビジネススクールで市場戦略論やマーケティングを教えていますが、その前は外資系の広告代理店にいらしたんですよね。

山本:そうなんです。新卒のときの就職活動では外資系企業を中心に受けました。日本企業で働くうえで、女であることや帰国子女であることが不利になるんじゃないかと思ったもので。世間を知らない大学生の単なる想像ですが。

それで外資系の広告会社で、2年間営業をしました。担当がお酒メーカーだったので、スーパーや量販店の裏で、ダンボールに詰めた商品を運んだりもした、というか、させられましたね。

塩野:広告代理店の人はおしゃれなのに、重い紙袋を持っていたりしますよね。

山本:でも今思えば、それを経験できてよかった。その経験をしないまま大学の先生になっていたら、現場のどうしようもなさや、キレイごとじゃすまない世界があるんだということを知らずに来てしまったと思うので。

それで広告代理店で働くうちに、自分はあまりにもマーケティングとブランディングをわかっていないから、大学院で勉強し直そうと思って東大の大学院を受けました。

塩野:マーケティングを勉強されたのですか? 東大で取得したのは経済学の博士号でしたよね。

山本:東大には普通、マーケティングを勉強するときに進むような商学研究科とか経営学研究科がなくて、経済学研究科の中に経営学やマーケティングの先生がいるので、そこで学位をとると自動的に経済学の修士や博士になるんですよ。

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