強豪国やダークホースを次々撃破しベスト4まで進出した。
強固な守備から鋭いカウンターを仕掛けるその戦術からは、
かつてのオランイェに欠けていた勝利への執念が覗えた。
チームのキャプテンが語った、ブラジルW杯とは――。
PK戦を制し、マラカナン行きを決めたアルゼンチンの選手が、サポーターと喜びを爆発させる。青いベンチコートに身を包んだファンペルシは、監督のファンハールと共に、その様子を身じろぎもせずに見つめていた。
W杯優勝。オランダ代表は「悲願」を今回も達成できなかった。4年前の南ア大会では決勝で涙を飲んでいるだけに、雪辱を果たせなかった痛みはなおさら大きい。
しかし冷静に振り返るなら、ブラジル大会で得たものは少なくない。準決勝進出は一つのサプライズでもあったからだ。
オランダ代表は、欧州予選で圧倒的な強さを発揮。ファンペルシは、本大会で、優勝を狙いにいくと断言していたが、彼の言葉を真に受けた人間はいなかった。
オランダが入った組は、予選グループB。優勝候補のスペインが順当に1位で通過すれば、オランダは決勝トーナメントの1回戦でブラジルと当たる形になる。ファンハール率いるオレンジの集団は、早々と姿を消すだろうというのが大方の読みだった。
驚愕のダイビングヘッドとオランダらしからぬ勝負強さ。
1983年8月6日、オランダ生まれ。'02年フェイエノールトでデビューし、'04年にアーセナルへ。'11-'12シーズンに得点王。'12年にマンUに移籍し、2季連続で得点王に。代表デビューは'05年で、'10年南アW杯では準優勝。今大会では3得点しベスト4進出。183cm、71kg。
ところが予想はいきなり覆される。大会2日目、オランダはスペインを5-1で破り、関係者やファンの度肝を抜いたのである。
しかもこの試合では、スペインに先制されながらも同点に追いつき、最終的には完膚なきまでに因縁の相手を叩きのめしている。
反撃の口火を切ったのは、ファンペルシだった。44分、センターライン付近から出されたボールにステップを合わせた点取り屋は、ペナルティエリアに入ると同時にダイビングヘッドを放ち、GKをふわりと越えるシュートでネットを揺らしてみせた。
華と才能のある選手を揃えている反面、勝負強さに欠ける集団。従来のイメージと照らし合わせても、スペイン戦におけるオランダは、あまりにオランダらしくなかった。
一体、何がオランダを変えたのか?
チームを主将として束ねるファンペルシは、理由を次のように説明する。
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