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857号 掲載記事

<主将が振り返るW杯> ロビン・ファンペルシ 「監督はまるで予言者だった」

大会前は決して前評判の高くなかったオランダが、
強豪国やダークホースを次々撃破しベスト4まで進出した。
強固な守備から鋭いカウンターを仕掛けるその戦術からは、
かつてのオランイェに欠けていた勝利への執念が覗えた。
チームのキャプテンが語った、ブラジルW杯とは――。

 PK戦を制し、マラカナン行きを決めたアルゼンチンの選手が、サポーターと喜びを爆発させる。青いベンチコートに身を包んだファンペルシは、監督のファンハールと共に、その様子を身じろぎもせずに見つめていた。

 W杯優勝。オランダ代表は「悲願」を今回も達成できなかった。4年前の南ア大会では決勝で涙を飲んでいるだけに、雪辱を果たせなかった痛みはなおさら大きい。

 しかし冷静に振り返るなら、ブラジル大会で得たものは少なくない。準決勝進出は一つのサプライズでもあったからだ。

 オランダ代表は、欧州予選で圧倒的な強さを発揮。ファンペルシは、本大会で、優勝を狙いにいくと断言していたが、彼の言葉を真に受けた人間はいなかった。

 オランダが入った組は、予選グループB。優勝候補のスペインが順当に1位で通過すれば、オランダは決勝トーナメントの1回戦でブラジルと当たる形になる。ファンハール率いるオレンジの集団は、早々と姿を消すだろうというのが大方の読みだった。

驚愕のダイビングヘッドとオランダらしからぬ勝負強さ。

ロビン・ファンペルシ Robin van Persie
1983年8月6日、オランダ生まれ。'02年フェイエノールトでデビューし、'04年にアーセナルへ。'11-'12シーズンに得点王。'12年にマンUに移籍し、2季連続で得点王に。代表デビューは'05年で、'10年南アW杯では準優勝。今大会では3得点しベスト4進出。183cm、71kg。

 ところが予想はいきなり覆される。大会2日目、オランダはスペインを5-1で破り、関係者やファンの度肝を抜いたのである。

 しかもこの試合では、スペインに先制されながらも同点に追いつき、最終的には完膚なきまでに因縁の相手を叩きのめしている。

 反撃の口火を切ったのは、ファンペルシだった。44分、センターライン付近から出されたボールにステップを合わせた点取り屋は、ペナルティエリアに入ると同時にダイビングヘッドを放ち、GKをふわりと越えるシュートでネットを揺らしてみせた。

 華と才能のある選手を揃えている反面、勝負強さに欠ける集団。従来のイメージと照らし合わせても、スペイン戦におけるオランダは、あまりにオランダらしくなかった。

 一体、何がオランダを変えたのか? 

 チームを主将として束ねるファンペルシは、理由を次のように説明する。

【次ページ】 5-3-2システム&カウンター戦術へ転換した理由とは?

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