クールビズ:心頭滅却でもダメ 僧侶さんにも冷感素材
毎日新聞 2014年07月25日 14時00分(最終更新 07月25日 18時11分)
猛暑の中、何枚もの法衣を重ね着して法事などを回る寺の僧侶たちが、暑さ対策に躍起になっている。宗派によって差はあるが、僧侶のスタイルは襦袢(じゅばん)、白衣、袴(はかま)、黒い衣を着て、更に袈裟(けさ)を重ねるのが定番。冷感素材の衣を着用したり、法要や会議以外は法衣を脱いだり、「僧侶版クールビズ」が定着している。
奈良市の薬師寺では6月から「絽(ろ)」という薄めの衣、7〜8月は「紗(しゃ)」という透けた生地の衣になる。若手僧侶の加藤大覺(たいかく)さん(29)は「暑くてもきちんと衣を着ることが、参拝者や仏様への敬意。襦袢の下に速乾性の下着を着るのもポイントです」と明かす。
近年はより涼しく感じる新素材の衣が人気だ。主に浄土宗の僧侶の法衣を扱う「渡辺法衣仏具店」(京都市東山区)によると、従来の絹素材に代わり、洗濯機で洗えて短時間で乾く化学繊維の衣を着る僧侶が増えている。同店の渡辺雅之さん(34)は「『涼しい』と好評で、リピーターが多い」と言う。
普段からシャツにネクタイ、布袍(ふほう)(黒い衣)、輪袈裟、念珠というスタイルの浄土真宗本願寺派(本山・西本願寺、京都市下京区)の宗務所は6〜9月、法要や会議以外はネクタイや布袍を外すことを認めている。僧侶の篠原法樹(かずき)さん(24)は「軽装になるからこそ、普段以上に僧侶としての自覚を持って過ごしています」と話している。【花澤茂人】