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【三重】

室町の屋敷跡3つ発見 松阪の中坪遺跡、26日に現地説明会

室町時代の屋敷跡や、屋敷を区切る溝が見つかった発掘現場=松阪市立田町の中坪遺跡で

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 松阪市立田町の中坪遺跡から、室町時代の屋敷跡が複数見つかった。屋敷跡は溝で境界が区切られており、発掘に携わった県埋蔵文化財センターの谷口文隆主査(46)は「特段珍しい新発見があったわけではないが、立田町の歴史を知る上では大きな成果」と説明する。二十六日午前十時から現地説明会を開き、センター職員が遺跡を案内する。事前申し込み、参加費とも不要。

 中坪遺跡は奈良〜室町時代の遺跡で、敷地面積は約二十ヘクタール。県のほ場整備事業に伴って昨年度から発掘調査を進めており、これまでに井戸三十六基が見つかっていた。本年度は、昨年度の発掘現場に隣接する敷地約一千平方メートルを調査している。

 見つかった屋敷跡は三つ。屋敷を区切る溝が十五本見つかった。溝は調査地を越えて続いているため、屋敷跡の正確な広さは確定できていない。溝の深さは最大で幅二メートル、深さ一・五メートル。谷口さんは「排水溝や、有力農民が盗人などから屋敷を守る堀として使った可能性が考えられる」と分析する。溝からは室町時代の小皿や鍋、釜など、数多くの土器や陶器も出土した。

大量の土器が捨てられた土坑=松阪市立田町の中坪遺跡で

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 屋敷跡ではほかに建物の柱が埋まっていた「柱穴(ちゅうけつ)」や、穴の底で柱を支えた「根石(ねいし)」、十七基の井戸が見つかった。井戸からは鎌倉時代の水を入れる木製容器「曲物(まげもの)」や、墨書のある陶器製のわんなどが出土。このほか、室町時代の土器が大量に捨てられた「土坑(どこう)」も見つかった。

 谷口主査は「屋敷を区切っていた溝がはっきりと出土するのは比較的珍しい。郷土史に興味がある市民は、ぜひ説明会に足を運んで」と呼び掛けている。

 問い合わせは県埋蔵文化財センター=電0596(52)1732=へ。

 (吉野淳一)

 

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