Updated: Tokyo  2014/07/25 18:46  |  New York  2014/07/25 05:46  |  London  2014/07/25 10:46
 

日立会長:三菱重との経営統合に向けた協議「可能性否定しない」 (1)

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  7月25日(ブルームバーグ):日立製作所 の中西宏明会長は24日のブルームバーグのインタビューで、火力発電事業などの分野をすでに統合した三菱重工業 との全面的な経営統合を協議する可能性について、「否定してはいけないと思う」との見解を示した。

日立と三菱重工は2月、火力発電システム事業で米ゼネラル・エレクトリック(GE)や独シーメンスといった海外勢に対する競争力を構築するため同事業を統合。日立が35%、三菱重工が65%出資する形で三菱日立パワーシステムズを設立し、火力発電事業を集約した。中西氏は原発など他の分野で協力関係を深めることについて「事業によって状況は違う」とした上で、三菱重工とは「非常にフランクに話し合える関係にある」と述べた。

火力発電事業の統合を発表した2012年11月の会見で、当時社長だった中西氏は「市場がグローバル化していることが今回の統合の一番の背景」と発言。重電業界では世界的に再編の動きが加速しており、6月にはGEが同社にとって過去最大の企業買収となる仏アルストムのエネルギー事業買収があった。

GEはアフリカや中東市場に強い仏アルストムのエネルギー事業を170億ドル(約1兆7300億円)で買収することで合意。ドイツのシーメンスと共同でアルストム買収提案に臨んだ三菱重工は競り負け、GEのグローバル化に拍車がかかることになった。日立も三菱重工・シーメンス連合の提案に加わっていた。

結果としてGEが買収できたのはアルストムのガスタービン事業にとどまる。蒸気タービンと再生可能エネルギー、送配電の3つの事業分野ではGEはアルストムと合弁会社を設立することになった。さらにGEの鉄道信号事業はアルストムに譲り渡した。

アフリカが課題  

中西氏は「われわれの次の課題はエネルギーの需要が強いアフリカ」だと指摘。アフリカに強いアルストムのガスタービン事業がGEの手に渡ったことは「具体的な脅威になると考えている」と述べた。GEの買収は「そういう戦略性をもった動きという認識なので対抗策も講じたし、これからも継続的にやっていく必要がある」と話した。

今後アフリカが主要な天然ガスの産出エリアの一つになることから、GEもアルストムのガスタービン事業に「一番の狙いを込めたということだと思う」との見方を示した。さらに、GEによるアルストムの完全買収を阻んだことは「成功だと思う」と語ったものの、ガスタービン事業の買収は「やられたぜ、というのが正直なところ」と明かした。

中西氏は、GEが「EPC契約」と呼ばれる発電所の設計から資材の調達、建設建設までを含む包括的な契約をあまり取らないことから、日立・三菱重工連合の対抗手段として、機器の販売にとどまらずに設計や建設工事など建設のさまざまな段階に応じて「いろいろな戦略を立案していかないといけない」と話した。

三菱重工の広報担当は、日立との全面的な統合は難しいというのが同社の見解と電話取材で話した。可能性を否定しないとの報道を受けて日立の株価 は前日比1.2%高、三菱重工の株価 は2.4%高で25日の取引を終えた。

記事についての記者への問い合わせ先:東京 菅磨澄 msuga@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Jason Rogers jrogers73@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net岡田雄至, 淡路毅

更新日時: 2014/07/25 15:41 JST

 
 
 
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