日本の新聞に根強く残るストレートニュース至上主義
ニュース性に加えてエンターテインメント性も備えた長文の読み物「フィーチャー記事」。ストレートニュース(速報ニュース)が幅を利かせている新聞紙面上で、1面トップ扱いになることもあるのか。
徐々にであるが新聞1面でストレートニュース至上主義が揺らぎ、フィーチャー記事が入り込む余地が増えている。直近では7月8日付の朝日新聞朝刊だ。1面では安全保障法案提出や台風8号接近などのストレートニュースを押しのけて、「無戸籍 存在隠され17年」と題したフィーチャー記事を「アタマ」扱いにしている。アタマとは業界用語であり、トップ記事のことだ。
この記事は無戸籍・不就学の子どもの実態に迫ったルポで、兵庫県伊丹市に住む康子さんの物語を中心に構成されている。22歳の康子さんは小学生の国語ノートを使って「あいうえお」を練習しており、住所と名前をひらがなで書くのが精いっぱい---冒頭から衝撃的なエピソードだ。これほど学業に遅れが生じてしまったのは、17歳まで戸籍を取得しないまま父の下で社会から隠れされて育ってきたためだという。
インターネット時代になっても、日本の新聞紙面を点検するとストレートニュース至上主義がなお根強く残っている。ストレートニュースとは事実を淡々と伝えるニュースのことだ。記事の冒頭で最も重要な事実を書き、背景説明や識者コメントなどを後半に回す「逆三角形(逆ピラミッド型)」を特徴にしている。
そのため、日本の新聞紙面上では伝統的に1面から中面へ記事が流れる「ジャンプ(続く)」機能が欠落していた。ジャンプしなくても特に大きな問題は起きなかったからだ。ストレートニュースは「短ければ短いほど良い」とされており、字数に制約があっても大丈夫なのだ。
実際、今も1面の記事がすべて日付モノで、ジャンプが一切ないことも多い。ジャンプを使うケースが増えている朝日でも例外ではない。7月23日付朝刊(西部本社版)1面ではコラム「天声人語」を除くと、トップ記事「米オスプレイ 佐賀移転案」をはじめ4本の記事がそろって日付モノで、ジャンプは皆無(中面に関連記事はある)。日付モノとは、掲載日の前日や当日の日付が入った記事のことで、典型的なストレートニュースだ。
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