韓国・全羅南道でセウォル号の運航会社会長、兪炳彦容疑者の変死体が見つかったとされる現場に集まる報道陣と警察(22日)  Agence France-Presse/Getty Images

 韓国の畑で先月発見された遺体が22日、4月に沈没したセウォル号の運航会社会長の兪炳彦(ユ・ビョンオン、73)容疑者のものと確認された件で、陰謀論が活発な同国のソーシャルメディアではさまざまな説が飛び交っている。

 ツイッターでは、警察による身元確認に1カ月以上もかかったのは怪しいとの書き込みが複数あった。遺体の近くで見つかった所持品を兪容疑者に結びつけなかった警察の失態が疑念をあおっている。

 「@wonwo21」さんは「兪炳彦はたった今どこかで笑っている」と書いた。兪容疑者が、権力者の絡んだ逃亡計画を遂行したとの見方はほかにもあった。

 兪容疑者は全国的な警察の捜査の網を何カ月もかいくぐっていたことから、影響力のある人物にかくまわれているとの説が既にささやかれていた。ネット市民の疑問は、資金力もコネもある同容疑者がなぜ一人で見つかったのかという点に移っている。

 遺体は、発見時の腐敗がひどかったことから、別人のものではないかとの疑いが浮上した。警察は、これが兪容疑者であることをDNA鑑定と指紋で確認したという。

 「@managak」さんは「私の会社には、兪炳彦の遺体だと信じている人は1人しかいない」とツイートしている。

 発表のタイミングについて、政府が他の重要なニュースから目をそらそうとしているのではないかとの見方も出た。軍のサイバー司令部の幹部がネットに政治的な書き込みをしたとする地元メディアのスクープなどだ。

 韓国では、有名人絡みや社会ネタのスクープがあると、政府が受けの悪い政策変更から注意をそらすための手段だとの見方がネットに浮上することが多い。

 また、兪容疑者が死亡時に着ていたとされるスーツのイタリア高級ブランド、ロロ・ピアーナが、韓国で最も人気のある検索エンジン「Naver」の検索ワードランキングで上昇している。

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