地方お気軽クラシック 来館者減少で和歌山県立図書館が大胆改革2014.7.25 03:57

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お気軽クラシック 来館者減少で和歌山県立図書館が大胆改革

2014.7.25 03:57

 図書館で気軽にクラシック音楽を-。来館者の減少に悩む県立図書館(和歌山市西高松)が、“音楽”を軸とした改革に取り組んでいる。2階にあるグランドピアノを備えた「メディア・アート・ホール」では、クラシックを中心とした演奏会を開催。新しく「音楽監督」の職も設け、和歌山市出身のバイオリニスト、澤和樹・東京芸大副学長(59)を招聘(しょうへい)した。立野淑郎館長は「新しい来館者を増やしたい」と意気込んでいる。(益田暢子)

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 県立図書館は平成5年、芸術文化の発信拠点として、全国でも珍しい多目的ホールを備えた複合施設として開館した。しかし、ホールはピアノ教室の発表会で使われることが大半だったという。

 図書館の“音楽改革”が始まったのは昨年。午後5時までだったホールの利用時間を9時までに延長して演奏会を開きやすくし、ホールの利用方法の企画提案をする音楽家らを公募した。今年度から始めた「エントランス・コンサート」は、ホールを訪れた演奏家からのアドバイスをもとに取り組み始め、今では2階ロビーにあふれるほどの観客が詰めかけるようになった。

 「これまで眠っていたところを掘り起こして、図書館の厳しい状況を改善する糸口にしたい」と、立野館長は言う。県立図書館(紀南図書館を含む)の昨年の来館者数は、約43万7千人と前年比5%減。貸し出し人数も同比7%減の約12万8千人だ。ここ数年の利用者減少は止まらず、苦戦を強いられているのが現状という。

 そんななか、ホールを活用した音楽文化の発信が図書館再興の希望になりつつある。来館者が減る一方で、ホールの利用件数は増加しており、25年は前年比24%増の128件。ホールの来館者数も1万2千人を超えた。

 新設された「音楽監督」は、演奏会の企画やプロの演奏家を招くなど活動は多岐にわたる。澤さんは「図書館と併設しているので、音楽と無縁だった方にも興味をもってもらえる。これから可能性が広がると思う」と期待を寄せた。

 目指すのは「お気軽クラシック」だ。「ジーパンやジャージーでも気軽に来て、質の高い音楽が味わえる演奏会をやっていきたい」と谷口義彦・文化情報センター長は力を込める。和歌山市内には小中規模のホールが少なく、「若手音楽家の発表の場にホールを活用していただければ」と話す。澤さん監修のもと、ホールに反射板を設置するなど、音響改善にも力を入れ「劇的によくなった」という。

 今後は、クラシック関連の本を集めた専用コーナーを設置するなど、ホールの活性化が図書館の利用促進につながる仕組みを考えていきたいとしている。立野館長は「県立図書館として読書促進のほか、文化を発信するという任務もある。ホールから音楽を発信し、文化度の高い街になれば」と語った。

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