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 沖縄返還の前年、米軍基地に貯蔵されていた大量の毒ガス兵器を米領内に移送する際、日本政府が経費の一部を負担することを、当時の琉球政府には隠したまま米側と合意していたことが明らかになった。24日に公開された外務省の極秘文書に記されていた。沖縄では毒ガスの移送ルートをめぐって反発が続いており、日本政府が方針を押しつけたとの批判を避けるための筋書きを「口裏合わせ」していた。

 問題の文書は、1971年4月、沖縄に派遣されていた高瀬侍郎大使にあてた外務省からの公電。

 69年に米紙の報道で、沖縄の米軍基地で毒ガス漏出事故が起き、米兵が搬送されたことが明らかになり、地元で撤去を求める声が高まった。71年1月からハワイ南西の米ジョンストン島へ船で運ばれることになったが、桟橋までの輸送経路になった美里村(現・沖縄市)を中心に反対運動が強まり、2回目以降の輸送は住民地域を迂回(うかい)して軍用地内を通ることに決まった。だが基地内の道路建設費20万ドルを米政府は支出せず、最終的に日本政府が負担することになった。