岡山県倉敷市で女児(11)を連れ去った自称イラストレーター、藤原武容疑者(49)の自分勝手すぎる奇行が明らかになった。親戚の披露宴に突然押しかけタダ酒をしこたま飲んだくせに、自らの結婚(後に離婚)は通知で済ませた。また、町内会の回覧板も完全拒否するなど、肉親以外との付き合いはほとんど皆無だったようだ。連れ去った少女を「好みの女性に育て、結婚したかった」という身勝手ぶりは、ほとんど“病的”というほかなさそうだ。
23日に、岡山県警は女児の携帯電話が捨てられたとみられる倉敷市内の用水路で、ウエットスーツを着た捜査員が水に潜って捜索するも見つからず、この日の捜索を打ち切った。藤原容疑者は下校途中の女児をカッターナイフで脅し車に連れ込み、自宅へ向かう途中に携帯電話に気づき、この用水路に投げ捨てたという。
自宅の監禁部屋に女児を閉じ込めてからは「言うこと聞かないと殺す」と5日間ずっと脅し続けていた。捜査員に助け出されたときに女児は「怖かった」と話したという。岡山県警は未成年者略取の疑いで藤原容疑者を再逮捕する方針だ。
藤原容疑者は調べに対し「自分好みの女性に育てて、結婚したかった」「3月に女児を偶然見かけて一目ボレした」などと供述。自分勝手な願望を実現させようとしていたことがわかっているが、親族や近隣住民からも藤原容疑者の非常識な奇行が浮かび上がった。
親族の女性は「何十年も前ですが、親戚の結婚式がありました。そこへ招待されていないはずの武がふらりとやって来たんです」と振り返る。結婚式なので招待者の席は決まっている。もちろん、藤原容疑者の席も料理はなかった。「おめでたい場なので追い返したりはせず、とりあえず席だけ用意しました。料理はなかったけど武はビールをガンガン飲み始めたんです」(前出親族)
藤原容疑者はアルコールをしこたま飲んで帰ったという。「ご祝儀はどうしたのかなと思っていたら、記帳だけして帰っていきました。親族の中でも『なんて非常識なんだ!』となりましたよ」(同)。目的はタダ酒だったわけだ。
さらに、近所の30代男性は「スーパーで大量の買い物をしていたというけど、普段はスーパーに行っているのを見たことがない。近くのコンビニからビールを1、2本ぶら下げて帰るのをよく見た」と話す。また、母親が「この子はお酒が大好きなの」と話すのを親族が聞いていた。いくら酒好きでも勝手に結婚式に来て、ご祝儀もなしというのは非常識だ。
藤原容疑者には離婚経験がある。30歳前後で結婚し、親戚にハガキで知らせただけだった。数年後、親戚の1人が「お子さんは?」と聞くと「あれはダメになった」と離婚を明かしたという。
岡山市内の私立高校を卒業後、県外の大学へ進学し「学校かどこかで、何かを教える仕事をしていたみたい。一時期、東京に住んでいたとも聞いた」(同)。親戚付き合いもあまりしていなかった。
藤原容疑者は、1人で犯行現場となった自宅に住み始めてから、町内会費の支払いでモメたこともある。近所の70代男性は「回覧板に町内に住んでいる人の名前が書いてあるのだけど、ある日『藤原』のところに×マークがついていた。今年に入ってからは名前がなくなっていた」と話す。
近所の主婦は「町内会では年に数回、ドブ掃除など行事がありますが、藤原さんが参加したことは一度もありません」。町内会は公的なものではなく、あくまで任意の団体で、入らなくてもいいとはいうものの、近隣住民との付き合いを拒んでいたのは間違いない。藤原容疑者の非社会性、非常識ぶりが事件の下地にあったようだ。