加入率は、62.4%
 
 福岡市動物管理センターのホームページを見て、ふと疑問に思った。
 犬猫の収容・殺処分の事業統計は載せているが、犬の登録頭数と狂犬病予防注射数の事業統計は載せていない。
 何故なんだろう?載せてもいいと思うのだが、、、
 福岡市のホームページから、生活衛生関係事業統計というものがあったので、 そこから引用してみた。
 

表1 福岡市の年度別方法別の登録の状況

年月別

方 法 別

転入 再交付

市実施

開業獣医

集合

事務所        市獣委託
16年度 5,233 676 167 2,585 1,805 252 26
17年度 4,690 554 173 2,346 1,617 317 23
18年度 4,860 452 187 2,401 1,820 330 39
19年度 5,816 421 291 2,808 2,296 403 50
20年度 5,474 352 281 2,675 2,166 410 83
21年度 5,119 313 261 2,564 1,981 487 112
22年度 4,611 176 279 2,423 1,733 454 143


表2 福岡市の年度別方法別の狂犬病予防注射済票交付状況

年月別

方 法 別

再交付

市実施

開業獣医

集合

事務所        市獣委託
16年度 30,802 8,409 288 14,305 7,800 9
17年度 31,360 7,918 296 15,237 7,909 4
18年度 32,006 7,485 342 15,312 8,867 14
19年度 33,899 6,847 419 15,946 10,687 13
20年度 34,510 6,251 355 16,689 11,215 17
21年度 35,192 5,828 337 17,882 11,145 29
22年度 34,651 4,266 283 18,603 11,499 28

 新規登録は、19年度をピークに、少しずつ減ってきている。
 方法別の開業獣医の他というのは、保健所と動物管理センターで福岡市獣医師会会員以外の動物病院が発行した狂犬病予防注射済証をもとに交付した件数である。

 このような表を、福岡市動物管理センターのホームページに載せてもいいと思うのだが、何故載せないのだろう?犬の登録と狂犬病予防注射の実施を啓蒙する所轄なのに、何故だろう?
 ひょっとして、表3、表4、表5のような分析をされるのが嫌だから、載せないのかな?
 

表3 福岡市内の動物病院数と福岡市獣医師会に加入・未加入の動物病院数

福岡市内の動物病院数 市獣加入動物病院数 未加入動物病院数 市獣加入率
93 58 35 62.4%

 表3の数字のデータは、福岡市動物管理センターのホームページの「狂犬病予防注射を受けられる市内の動物病院一覧」から引用してきた。福岡市獣医師会の加入率は、62.4%である。 この数字が高いとみるか、低いとみるかは、意見の分かれるところだが、一般常識からいって、かなり低いと思う。
 かつて、福岡市の職員を経験し、福岡市内で開業した獣医師が、誰一人福岡市獣医師会に入会していないのも不思議だ。きっと何かあるのだろうと想像してしまう。
 

表4 福岡市内の動物病院1件あたりの年間注射済票交付件数(推定)

  市獣 未加入
動物病院数 58 35
年間注射票交付頭数 18,603 11,499
1動物病院あたりの年間交付頭数 320.7 328.5

 表4は、福岡市獣医師会加入動物病院とそうでない動物病院に、年間頭数に違いがあるかの表であるが、そんなに差はない。市獣以外が交付した狂犬病予防注射済証には、福岡市周辺の市町村の動物病院が交付したものも含まれるので、未加入の年間実施頭数は、若干下がる。ちなみに、私のところで行う狂犬病予防注射 頭数は、年間500頭を超える。

 

表5 22年度の福岡市の福岡市獣医師会への補助金、委託料

補助金、委託料の名称

金額

福岡市獣医師会事業費補助金 1,000,000円
猫の所有者明示推進事業補助金 600,000円
登録手数料の委託料 @3,000×10%×2,423 726,900円
注射票交付手数料の委託料 @550×20%×18,603 2,046330円

4,373,230円

 表5は、平成22年度に、福岡市が福岡市獣医師会に支払った補助金と委託料である。表1、表2にあるように、登録と注射済票交付は、福岡市獣医師会に委託しているので、当然、委託料が支払われている。登録については、登録手数料の10%、注射済票については、交付手数料の20%が支払われている。 (注:委託料は、昭和63年当時。現在は不明だが、同額か値上げしているかもしれない)
 補助金も支払われている。
 これとは別に、狂犬病予防の集合注射は、福岡市と福岡市獣医師会の共催方式なので、狂犬病予防注射料@2,500円×集合注射頭数が、福岡市獣医師会に入る。
 加入率62.4%の福岡市獣医師会に、これだけ、市民の血税が支払われている。公平の原則に背くのではないだろうか?

 

 ここからは、福岡市獣医師会に未加入の獣医師としての意見ではなく、ひとりの福岡市民としての意見を言わせてもらう。
 事業補助金とは、何なんだろう?猫の所有者明示推進事業補助金とは何だろう?
 福岡市獣医師会のホームページを見ても、福岡市からの補助金で、こういうことをしているとは、 何一つ掲載されていない。かつて、補助金に関する提言で 廃止を提言されたのに、未だに形を変えて残っている。

  市政だよりに記載してある動物愛護週間行事に何故福岡市獣医師会は参加しないのだろう。補助金をもらっているのに、、、。一市民としては不思議に思ってしまう。

 登録と注射済票交付委託についても、何故、福岡市獣医師会だけに委託するのだろう?特定非営利活動法人福岡市狂犬病予防推進協会が、何年も前から、福岡市に申請しているのに、未だに認めない。加入率60%ちょっとの福岡市獣医師会だけを厚遇するのは何故だろう?
 登録と注射済票交付委託されていると、動物病院で狂犬病の予防注射をした場合、その場で鑑札とか注射済票を渡せるが、委託されていないと、保健所か動物管理センターで手続きが必要である。委託ということにするから、委託料という概念が生まれる。動物病院の中には、委託料はいらない、無償で登録と注射済票の交付手続きをしてあげますよというところもあると思うのだが、役人の発想には、柔軟性がない。委託にこだわらず、個別に預託するという方法もあると思うのだが、、、。そうすると委託料が発生しなく、税金を使わなくてすむ。市民の利便性を考慮してもらいたいものである。

 加入率60%ちょっとの福岡市獣医師会だけに、福岡市民の血税を使って厚遇するのは、はっきり言っておかしい。委託とか補助金を止めれば、年間400万円以上の福岡市民の血税が浮き、もっと他の有益なことに使えるはずである。
 福岡市獣医師会への補助金と委託を止めたら、動物愛護事業が後退するのか?狂犬病予防注射が激減するのか?というと、そういうことはないと思う。何に使っているのかわからない補助金だし、委託を止めれば、保健所、動物管理センターの交付件数が増えるだけである。

 昭和54年頃、福岡市と福岡市獣医師会の狂犬病予防注射の料金交渉が決裂して、福岡市の職員だけで、集合注射を実施したことがある。今は、当時と比べて、集合注射会場も激減しているし、日数も激減している。共催方式を止めて、その時だけ、開業獣医師を雇いあげれば、福岡市の収入が増える。福岡市にとっては、いいことだらけだ。

 福岡市は、何を考えているのだろう?何か弱みを握られているか?議員の圧力か?
 福岡市民の血税の使い方を真摯に考えてもらいたいものである。