朴大統領:舛添都知事と会談 歴史認識問題への対応求める

毎日新聞 2014年07月25日 12時25分(最終更新 07月25日 13時36分)

 【ソウル竹内良和、大貫智子】韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は25日午前、青瓦台(大統領府)で訪韓中の舛添要一東京都知事と会談した。朴大統領は冒頭、旧日本軍による従軍慰安婦問題など歴史認識問題について触れ、日本側の対応を求めた。舛添氏は安倍晋三首相の日韓関係改善に向けたメッセージを伝えたが、朴大統領の発言は日本国内での反発を強める可能性がある。日韓首脳会談については、双方とも言及しなかった。

 朴大統領は会談で、両国国民間の交流について、「政治的な困難により国民の心まで遠のいているようで残念だ」と指摘。両国関係の最大の問題は歴史問題としたうえで「正しい歴史認識を共有し、両国が安定的に発展できるよう尽力してほしい」と日本側の前向きな姿勢が必要との認識を改めて強調した。

 慰安婦問題については「両国間の問題だけでなく、普遍的な女性の人権問題だ。真摯(しんし)な努力により解決することを期待している」として、早期に解決策を示すよう求めた。

 一方、舛添氏は会談後、記者団に対し、「安倍首相の日韓関係改善に向けた意思を伝えた」と言明。朴大統領の反応を公開するのは避けた。会談では2018年の韓国平昌(ピョンチャン)冬季五輪と20年の東京夏季五輪での協力でも一致した。

 朴大統領が日本の現職政治家と2者で会談するのは、昨年2月の就任式以来1年5カ月ぶり。

 舛添知事はソウル市などとの都市外交推進が主な課題で、安倍首相とは一定の距離もある。朴大統領は、対話への柔軟姿勢を示すため会談に応じた面があり、双方とも突っ込んだやりとりは避け、関係改善に向けた雰囲気醸成を優先した可能性が高い。

 ただ、朴大統領にとっては、歴史問題に言及しなければ国内で厳しい批判を浴びるため、あえて報道陣のいる会談冒頭で言及したものとみられる。

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