仕入れ

 
 私が昔、勤務していた職場で、突然、事務吏員が退職したことがあった。
 後任が来るまでの数ヶ月間、私が職場の中で、一番下っ端だったので、技術吏員であるけれども、事務吏員の仕事を兼任させられた。
 事務吏員の仕事は、主に経理であった。
 物品を調達するときは、2社以上から見積を取り、安い方を選ばないといけない。また、10万円を超えるものは、調達課に依頼しないといけなかった。
 会計担当者として、印鑑登録も必要だった。
 給料日や手当支給の日は、当時は現金支給だったので、前もって、金種計算をして、銀行に連絡して、1円が何枚、10円が何枚などと伝えなくてはいけなかった。そういえば、 当時、FAXもなかった。やっと普及し始めた頃だった。

 そんな経験があったので、開業してからは、最初は、前職で知っていた業者に頼んでいたが、そのうち依頼する業者が増えていった。
 いろいろ、仕入れているうちにわかったことは、動物用医薬品や動物病院用の治療食は、どこに頼んでも、同じ料金だった。
 医療器械については、 いくつかの業者に見積を出させて、一番安いところから仕入れようと思ったが、動物病院業界に関わる医療機器の業者の暗黙の了解かどうかわからないが、最初に見積を頼んだところ以外は、「どこどこに見積を頼んだでしょう」と言って、引いてしまう。
 結局、最初に見積を頼んだところとの料金交渉になり、納入してもらうようになってしまう。

 人用の医薬品については、業者によって、納入価格が違うが、動物用はどこも同じ値段である。
 最近は、ネット通販の業者も参入しているので、人用の医薬品は、一番安いところから、仕入れている。ビジネスライクに対応している。安く仕入れれば、販売価格もそれに対応して、薬価等を下げている。