えーっ!! |
ある日、「野良猫専門で、避妊・去勢手術してくれる動物病院があり、そこで避妊手術してもらった。退院後、4日経つが、飲まず食わずで、衰弱してよろよろしている」という稟告で、猫を連れてこられた。通常なら、実施した動物病院に行ってもらうのだが、その方は、私のところに、よく猫を連れてくれる人だったので、診ることにした。 診てみると、「えー!!」と叫んでしまった。縫合部から、大量に膿がでてきたのである。すぐさま、血管確保し、血液検査は、白血球が多いだけで、腎機能、肝機能は正常だったので、麻酔し、縫合部を確認した。縫合部は、4-0の鋼線で縫ってあり、それを取ると、大量の膿が出てきた。化膿は、鼡径部まで及んでいた。壊死した皮膚を切除し、膿は、鋭匙で可能な限り掻爬し、ドレーンを入れて、縫合し直した。臍の左右まで、皮膚は壊死していた。腹膜は、1-0の絹糸 ?で縫合してあった。 入院3日目までは、全く食べず、4日目から食べ始め、その後、みるみる回復して、入院10日目に抜糸し、退院した。
また、ある日、ウサギや猫で診察によく来られる飼主が、「8ヶ月前に、先生のところで、健康診断やウイルス検査してもらったメス猫が、安く避妊手術
してくれるところで、手術してもらったら、手術で死んだんです。」と言われた。私は思わず、「えー!!」と叫んでしまった。 そうなった経緯は、避妊手術は、どこの動物病院でしても、大差はないと思い、福岡市役所の助成金が利用出来る動物病院のリストから、あちこち電話して、問い合わせたそうだ。その中で、ある動物病院からボランティア団体を紹介されて、そこからチケットを入手出来れば、半額(13000円)で手術できると言われたんだそうだ。そのチケットは、指定された動物病院でしか利用出来ないそうだ。 亡くなった経緯は、下記のとおりだった。
「手術は夕方に行うとのことだったので、朝食を抜いて、午後1番で連れて行きました。1泊入院をさせて、翌朝お迎えに行ったのですが、その時にはすでに亡くなっていて、病院から連絡をもらったらしいのですが、その時間はもう、お向かえのために出かけてました。 この動物病院の先生の説明には、納得がいかない。 また、ある日、別のボランティア団体に所属している人が、手術の傷口を診て欲しいと来院した。 その手術を見て、20年ぐらい前に見たテレビ番組を思い出した。内容は、猫の避妊手術を安くしている?といったような内容だったと思う。術者は、手術着ではなく、白衣を着て、素手で手術をしていた。手術内容は、卵摘(卵巣だけの切除)だった。一人でしていた。 これだったら、安くすむなと思ったのを思い出した。
現在の私のところの避妊手術は、実費を正直に言うと、ノンパウダーの手術用手袋、使い捨てのサージカルキャップ、マスク等で一人分が約500円、必ず手術助手をつけるので、二人分必要になる。一人でも手術は出来るが、手術助手がいると、それだけ手術時間が短縮でき、麻酔のリスクが回避出来るので、必ずつけている。それに手術まわりの助手もつけている。ガス麻酔の調整や何かあったときのための器材出し
等に、必ず一人つけている。
私のところは、残った縫合糸を、アルコールに漬けて再利用する、ディスポ製品を再生するようなことは、一切していない。 先日、あちこちで、犬の帝王切開をした経験があるブリーダーの人が、言っていた。「ある動物病院は、安いけれど、帝王切開の手術を診たが、手術用の手袋はしていたが、キャップもマスクも術衣も着ないでしていたので、不安になって、行くのを 止めた。」と。
安ければ、何でもいいという人は別だが、きちんとしたことをして欲しいと思う人は、他の人の評判、実際に手術に立ち会ってみるというのもひとつの方法かもしれない。 先日、野良猫の保護活動をしている人が、ある動物病院に連れて行ったら、猫を見えないところに連れて行って、5分ぐらいして戻ってきて、「検査と治療をしました。もう大丈夫です。元気になります。」と言われて、連れて帰ったら、翌日死亡したと言って、さんざんその動物病院の悪口を言って帰られた。私のところは、治療・処置しているところも、オープンでみせてくれるので、納得出来ると言われた。 獣医師も様々である。動物病院が建てられないところに、ペット美容室を建てると虚偽申請して、動物病院にする人や、ノミと条虫がいたので、レボリューションで駆除したというのに耳ダニがたくさんいたりと辻褄が合わない ことをする人もいる。難しい問題だな。 |
先日、福岡市の避妊・去勢手術の助成に応募したら、当選したという飼主が、私のところに、手術に来られた。「せっかく当選したのにどうして?」と聞いたところ、「福岡市が指定する動物病院とは、料金が折り合わなかった」と言われた。 どんなにぼったくっているのだろうと思ってしまった。 |