国連学校の砲撃のあと子供を慰めるパレスチナ人の女性(24日) REUTERS

 【ベイトハヌーン(ガザ地区)】イスラエル軍のイスラム原理主義組織ハマスへの攻撃が続くパレスチナ・ガザ地区の住宅街で24日、避難所となっている国連運営の学校が砲撃され少なくとも15人が死亡した。

 この砲撃で200人を超えるパレスチナ人が負傷。その多くの人々は重傷で、近くの病院で治療にあたっている医師は今後死者が増えることになろうと話した。この医師は、砲弾が戦車から発射されたもののようだと述べた。

 イスラエル軍は、ハマスの兵士がこの学校の近くから攻撃を仕掛けているとして、国連と赤十字に対し、この学校から市民を午前10時から午後2時の間、避難させるように警告したと述べた。同政府はハマスが市民の避難を妨げたと非難している。

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 イスラエル軍とハマスの戦闘は同日で17日に及んだ。今回の戦闘で国連が運営する避難所が被弾したのはこれで3回目となった。国連は今週に入り、閉鎖した2つの国連運営学校にパレスチナ武装勢力がロケット弾を貯蔵しているのを発見したと発表した。これを受け、潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は、国連施設を武器貯蔵所として使えば攻撃目標になる可能性がある、と警告していた。

 この学校を含め国連はガザ地区に83の避難所を設けている。戦火を逃れようと避難するパレスチナ人の数はここにきて急増しており、22日には約10万人だったのが24日には14万1338人に上ったと国連は明らかにした。これはガザ地区に住む180万人のパレスチナ人の8%に相当する。

 パレスチナ保健省によると、今回の砲撃でパレスチナ人の死者数はイスラエル軍が8日に攻撃を開始して以来771人に上った。イスラエル側の死者は兵士が32人、一般市民が2人となっている。

 ケリー米国務長官は、ガザで23日にネタニヤフ・イスラエル首相とパレスチナ自治政府のアッバス議長とそれぞれ会談し、24日にはカイロ入りしてエジプトが提案した停戦案の詳細の詰めに入った。

 米国とアラブの政府高官によると、米国、イスラエル、他の中東同盟国は、ハマスがもしロケット弾攻撃を中止すれば、ガザ地区での同組織の経済的利益が守られることを確約できるようエジプトの停戦案を修正している。

 この停戦案では、イスラエルとハマスが数日内に戦闘行為を停止し、すぐさま米国と国際社会がガザ地区の長期的復興プログラムについて協議を開始することになっている。

 ハマスの政治指導者、カレド・メシャール氏は23日にカタールで、人道的見地から戦闘を「一時停止」する選択肢を排除しないと語ったが、同時にガザへの交易ルートを開き、ハマス指導者への金融制裁を緩和するなどの経済的利益が保証される必要があると要求した。エジプトの停戦案がロケット弾攻撃を停止するのに十分か否かについては示唆を与えなかった。

 ケリー長官は今回の停戦交渉でカタールとトルコをハマス側とのパイプ役としている。

 一方、ネタニヤフ首相は24日、ガザ地区でのイスラエル軍の武力活動について発言したものの、停戦交渉については言及しなかった。

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