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外交文書“北京の共産党政権の承認見越す”
7月24日 20時08分

外交文書“北京の共産党政権の承認見越す”

日本政府が台湾の国民党政権を中国唯一の合法政府として承認していた1964年に、当時の大平外務大臣がアメリカの国務長官と会談した際、「台湾が中国本土をも支配しているというのはフィクションだ」などと、将来的に北京の共産党政権を承認することを見越した認識を伝えていたことが、24日に公開された外交文書で明らかになりました。

これは、1964年1月26日、当時の大平外務大臣が、日本を訪れたアメリカのラスク国務長官と会談した内容を記した外交文書で明らかになったものです。
この中で、大平氏は、中国を巡る問題について、「日本は、国民党政権が、民主的な繁栄した国として、台湾で立派な発展を遂げることを望んでいる」と述べる一方、「台湾が中国本土をも支配しているというフィクションによって、いろいろな問題が出てくる。トラブルが起こるのは、国民党政権が中国全体に対する正当な政府であるとの考えに基づくからだ」などと述べています。
日本政府は当時、台湾の国民党政権を中国唯一の合法政府として承認しており、大平氏はこうした政府の立場と異なる見解を伝えていたことになります。
また、大平氏は、2日後に行われたラスク長官との別の会談で、「世論調査でも、ソ連をいちばん嫌いな国としており、中国の共産党政権に対しては、あまり敵意を持っていない」と述べるなど、将来的に北京の共産党政権を承認することを見越した認識を伝えています。
この会談の8年余りあとの1972年9月、再び外務大臣となった大平氏は、当時の田中総理大臣とともに北京を訪れて、周恩来首相と会談し、中国との国交正常化に尽力しました。
外交史が専門の国立公文書館アジア歴史資料センターの波多野澄雄センター長は「1960年代の初め、外務当局は、将来的に北京の共産党政権を承認するという基本的な将来像を持って、台湾をどうするかという議論をしていたのだと思う。中国大陸は共産党が現実的に支配しているという現状を前提にした現実的な対応を検討していたことがよく分かる」と話しています。

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