政府は25日、2014年度の年次経済財政報告(経済財政白書)をまとめた。消費者物価は緩やかに上昇しており、政府が目指すデフレ脱却に向けて「着実に進んでいる」との認識を示した。物価の上昇基調が続くためには、供給に対する需要不足が改善するとともに賃金が持続的に上昇することが重要だと指摘した。
白書の副題は「よみがえる日本経済、広がる可能性」とした。甘利明経済財政・再生相は閣議後の記者会見で白書について「人材不足や産業の得意分野の変化にどう対応するかが課題になっている。需要だけでなく供給面の取り組みの強化が重要になる」と語った。
物価は円安による押し上げ効果が一巡。企業がコスト増をサービス価格に転嫁する動きが広がっている。今後も物価が上昇する見込みが強まったことで、足元の物価が押し上げられていると白書は指摘。「名目賃金が上昇する好循環が生じているなど、デフレ脱却に向けて中長期の可能性が高まっている」(内閣府幹部)とした。
4月の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の規模は2.5兆~3兆円程度と試算した。税率の引き上げ幅が大きかったことから、1997年の前回の消費増税時の2兆円程度を上回った。一方で、増税後の反動減についても「前回より大きくなる可能性がある」とした。
景気の回復や物価上昇のカギになる賃金の上昇には、同じ時間でより大きな効果を生み出せるように生産性を高めることが必要だと指摘。労働時間規制の見直しなどで働き方の柔軟性を高めたり人材育成を強化したりすることで労働の質を高めることが重要だとした。
今後、人口が減る中で女性と高齢者の就労促進が重要な課題と挙げた。高齢化で医療・介護費は増加が見込まれるが、関連産業への企業の参入や民間の保険サービスの充実を促して官民で分担することで国の財政負担を軽くできるとした。
経済財政白書