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 【パリ】米グーグルは、欧州でネット上の個人情報を削除する「忘れられる権利」が認められたことを受け、検索結果からおそらく10万件以上に上る個人情報を削除した。関係者が明らかにした。

 この関係者によれば、グーグルは24日にブリュッセルで欧州連合(EU)の当局者と会合を持ち、これまでに「忘れられる権利」に基づき削除要請があった個人情報の50%超を削除したことを明らかにしたという。

 EUの最高裁に当たる欧州司法裁判所は5月に「忘れられる権利」を認め、利用者はグーグルなど検索エンジン運用会社に過去の個人情報を検索結果から削除することを要求できるようになった。

 グーグルはこれを受け、同月に削除要請を受け付け始めた。これまでに9万1000人から、32万8000件のURLの削除要請があった。ただ、要請はすべて処理されたわけではなく、削除率はあくまで暫定的なものだという。

 グーグルがどの程度削除したかは、検索エンジン会社が「忘れられる権利」の保護にいかに取り組んでいるかを示す最初のシグナルとなる。マイクロソフトなど他の検索エンジン会社も先例として注視している。

 グーグルが削除率を明らかにしたことで、同社とEUのプライバシー関係当局との緊張が緩和される可能性がある。しかし、削除率が50%以上になったことで、言論の自由の尊重を標榜する人権保護団体はインターネット検閲の広がりへの懸念を強めるかもしない。

 関係者によれば、同社は24日の会合で、削除要請のうち30%を拒否し、15%については要請者にさらなる情報を求めた。18日までの要請の国別内訳は、フランスが1万7500、ドイツが1万6500、英国が1万2000、スペインが約8000、イタリアが7500、オランダが5500などとなっている。

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