(cache) 【オススメ!】『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』ジェーン・スー:マインドマップ的読書感想文

2014年07月25日

【オススメ!】『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』ジェーン・スー

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、前作『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』が、当ブログでもヒットした、ジェーン・スーさんの新作。

基本的に女性向けであろうテーマが多かったのですが、相変わらずﾜﾛわせて頂きました（いい意味でｗ）。

アマゾンの内容紹介から一部引用。

これまで誰もが見て見ぬふりをしてきた女にまつわる諸問題(女子問題、カワイイ問題、ブスとババア問題、おばさん問題……etc.)から、恋愛、結婚、家族、老後まで――今話題沸騰中の著者が笑いと毒を交えて、自らの経験や失敗を開陳する宝石箱のようなエッセイ。20代、30代、40代女性の働き方、生き方に知恵と術を授けてくれる、女にとっての教典的物語でもある。モヤモヤ言葉にできない感情に片がつき、読後はスッキリ! 人気ブログ「ジェーン・スーは日本人です」のエントリ(検索は「ジェーン・スーは日本人です」まで)を加筆修正し、新たに書き下ろし20本を加えた全256頁。

前作にハマった方ならマストな1冊です！

Pretty women / Mighty mighty bigmac

【ポイント】

■1.貴様いつまで女子でいるつもりだ問題

　三十路を過ぎた女たちの「自称女子」が感じさせる図々しさ、そして周囲の人間がそれを不意に受け取った時のドキッとする感じや不快感、これって刺青にたとえられると思います。私たちは「女子」という墨を体に入れている。自ら彫った記憶はないけれど、気付いたら彫られていた「女子」の文字。見せる相手や場所を限定すれば、その刺青は自己を表現する大事なファクターになります。
　しかし、TPOをわきまえずにそれをひけらかすと、たちまち周囲に不協和音を生む。
「アピールしてるわけじゃなくて、自然に～。これファッションタトゥーだしぃ」と、いう方いらっしゃいますけれども、貴様の自然と世間の自然にズレがあることもございますのよ。

■2.女子会には二種類あってだな

　SNSに載る女子会が女性性の指差し確認ならば、SNSに載らない女子会は、女装ショーの楽屋打ち上げ。SNSに載る女子会が女の戦ならば、SNSに載らない女子会は、戦のあとの宴。兜の緒を締めたり緩めたり、女の集いはどちらも楽しい。
　両女子会に共通しているのは、食べ物が美味しい店で開催するということでしょうか。男性が適当に決める店って、酒は安いけど食べ物がイマイチ……というのがよく聞く声ですので、そのあたりを気を付けると男性はモテ度アップする可能性若干アリかと存じます。
　まぁ、この手の女たちにモテたいかどうかは、別の話ですが。

■3.合コンで男は、女との丁々発止を求めていない

　私は驚きました。先ほどまでこちらのテープルで丁々発止をやっていた男が、ほっこり姫と話している時には、鼻の下を伸ばして楽しそうに弛緩している。こちらのテーブルでは、あんな顔を一度も見せなかったのに！　そしてプリンセスほっこりの態度は、前回の私の合コンでの態度(聞き役＆全肯定)プラス、よく笑うの3点セットでした。
　あとからわかったことですが、私のいたテーブルは男たちから北朝鮮と呼ばれていたそうです。そして、プリンセスほっこりのテーブルに移動することを、奴らは脱北と呼んでいた。ふざけるな！　頭の回転が速い男が、必ずしも女との丁々発止を求めているわけではないことを知った苦い夜でした。

■4.メガバイト正教徒とキロバイト異教徒の絵文字十年戦争

　たとえば、屁理屈こねない愛され女子は「美味しいご飯が食べたいな」という独り言のような文面の「ご飯」のあとにナイフとフォーク、「食べたいな」のあとに目を輝かせてピコピコ動くパンダ(可愛い送信者を体現)とハートを入れることで、独り言を一気に「叶えてあげなくてはいけない願い(要求)」に昇華させます。
　これは猫なで声と同質の甘えであり、他者から無条件で愛されることを前提にしたコミュニケーション。そんなアンフェアなことはできない！　私はギリギリと奥歯を噛みました。携帯の絵文字は地獄の烙印図録。気兼ねなく絵文字を使うことは、異教徒にとって改宗と同義なのです。

■5.びっくりの脱法使用

　便利なことに、「びっくり」や「驚いた」の前後に否定的な文をつなげると、驚きとともに非難めいた意図を伝えることができるのです。私はこれを、「びっくりの脱法使用」と呼びたい。非難としての「びっくり」「驚いた」をよく耳にしますが、私はあまり好きではありません。(中略)
「遺憾の意を表明」と同じように、びっくりの脱法使用も、話者が悪者にならずにネガティブな気持ちを伝えることができます。発言者も聞いている側も「ホントびっくりね！」なんて、同じ手法であっさり不快な気持ちを表明しているのを聞いていると、オイ、自分のマイナスの感情もちゃんと自分で引き受けたまえよ！　と言いたくなるのです。

■6.女友達がピットインしてきました

　大切な女友達が男と別れました。ちゃんと付き合って、ちゃんと別れた。大人だからね。これからは、ピットにインしてきたオーバーヒートのF1カーを、女友達というメカニックが至れり尽くせりでケアするのであります。大丈夫、すぐに車道に戻したりはしないから。ただ、素早く黙々とやるよ、私たちは。手慣れたもんだぜ。(中略)
　終わりそうな予感はあんなにずっとあったのに、ああ、もうどうにもならんよな、という瞬間が、ある時突然やってくる。あなたがボロボロになった状態でピットインしてきたのがわかったから、私たちは無線で連係をとりながら、誰かはそばにいられるようにするよ。あなたがそうしてくれたように。

【感想】

◆今回もお腹一杯ｗｗ

いやもう、笑わされたり、大きくうなずかされたり、ちょっとホロリときたりと、ある意味前作を上回る充実ぶりでした。

まず初っ端の「貴様いつまで女子でいるつもりだ問題」からして秀逸。

「刺青」に例えられると、その違和感も納得であります。

おかまいなしに、バンバン露出するのか、長袖を着こんで隠し通すのか……。

ちなみに、普段は隠してる方でも、写真を撮られる時には、つい露出されてるような気が、個人的にはしてるんですけどねｗ

◆ポイントの2番目の「女子会の実態」も爆笑必至ｗ

上記で「女子」を看破したジェーンさんだけあって、「女子会」の描写も不必要に的確(？)です。

特に後者の「SNSに載らない女子会」の方は、女性に処女性を求めるような男性からしたら、目にしたくはないものかと。

ジェーンさん曰く、東京ディズニーランドのアトラクション、「カリブの海賊」の中盤で、島を襲ったあとの海賊がベロベロになりながら宴会をしているシーンが、後者の宴会の終盤にそっくり、とのこと。

　　　　　　　ﾉＬ＿＿＿_
　　　　　　　⌒　＼　／＼
　　　　　　／　（○）　（○）＼
　　　　／　　　（__人__）　　＼　　　　こんなの女子じゃないお！！
　　　　|　　　　　|::::::|　　　　　|　　　　　
　　　　＼　　　 l;;;;;;l　　　／l!| !
　　　　／　　　　　`ｰ’　　　＼ |i
　　　／　　　　　　　　　　ヽ !l　ヽi
　　（　　丶- 、　　　　　　しＥ　|そ　　ﾄﾞﾝｯ！！
　　　　`ー､＿ﾉ　　　 ∑　l､Ｅﾉ　<
　　　　　　　　　　　　　　　ﾚYＶヽｌ

……どうでもいいんですが、「女性性」と「女装ショー」で韻を踏んでいるところも素敵です☆←どうでもいいｗ

◆続くポイントの3番目の合コンのお話は、ちょっと解説が必要でして、ある時ジェーンさんは、2つの合コンを連続で「戦略的」に行いました。

それが「製薬会社の営業マン」との合コンの翌週に、「ITベンチャーの技術者」との合コンを行なうというもの。

その際、ジェーンさんが自らに課したルールが3つありました。

　・前者では可愛げをマックスまでデフォルメし、おもしろスイッチを完全にオフにする

　・後者では普段の自分を100%出して、丁々発止を楽しむ

　・どちらの合コンもエビちゃんを意識したビジュアルで決める

要は、ジェーンさんが「普通の男」に選ばれないのは、「見た目」の問題なのか、それとも「中身」の問題なのかをリサーチしたかったワケです。

上記で引用したのは、もちろん後者の合コン。

では、前者の合コンで隣に座った、ナイナイのやべっち似のモテ男に何と言われたか……については、本書にてご確認を（ネタバレ自重ｗ）。

◆……みたいなことを書いていると、本書はホントにお笑い本のようですが、中盤から終盤にかけては、意外と「深い」お話が連荘で登場します。

たとえば、上記ポイントの最後は、タイトル通り、失恋した女友達に宛てたメッセージ。

抜き出した部分以外にも、女同士の「友情」……という言葉で片付けられない、思いやりやシンパシーが溢れるフレーズが並んでいました。

ところでふと思ったのですが、男同士って、失恋について、ほとんど語ったり慰めたりはしないような（私だけ？）？

飲めば「カリブの海賊」のようになるつきあいだとしても、こういうところは「女子」がうらやましく感じた次第です。

◆なお、前作がほぼ100%「恋愛ネタ」だったのに対して、本書は上記ポイントの5番目のように、「非恋愛ネタ」も収録。

その5番目のような「社会性」のあるネタをはじめとして、ジェーンさん自らの「嗜好」（「Nissens愛してる」等）や、「家族」（「母を早くに亡くすということ」等）についても、扱われてらっしゃいます。

ただし、単に「テーマとして触れる」次元にとどまらず、その掘り下げ方は「さすが」と言うべきかと。

エッセイというと、単に「思った」「感じた」で終わっちゃいそうなところ、深く考えてまとめてらっしゃいました。

この辺の硬軟取り混ぜた作風や文体は、1人のブロガーとして、私も参考にさせて頂きたいと思います（本書のタイトルはもちろん、下記目次の小見出しの付け方も秀逸！）。

今後も読まずに「指名買い」させて頂きます！

貴様いつまで女子でいるつもりだ問題

・貴様いつまで女子でいるつもりだ問題
・女子会には二種類あってだな
・ていねいな暮らしオブセッション
・私はオバさんになったが森高はどうだ
・三十路の心得十箇条
・エエ女発見や!
・カワイイはだれのもの?
・メガバイト正教徒とキロバイト異教徒の絵文字十年戦争
・隙がないこと岩の如し
・ファミレスと粉チーズと私
・ブスとババアの有用性
・ババアの前に、おばさんをハッキリさせようではないか。
・ピンクと和解せよ。
・三十代の自由と結婚
・食わず嫌いをやめる
・歯がために私は働く
・限界集落から始めよう ……etc.